意思能力
高山です。
2020年に施行された改正民法。
基本的にはこれまでの判例を明文化しよう、という内容になっております。
なので、「え、そんなことってあるの!?」というようなこれまでと真逆のような内容はないはずですが、
以前にも触れたように、より一層買主・借主の立場に寄り添った法律になっています。
売主・貸主は自分の資産である不動産について、うそ偽りなくというところはもとより
「買主さんや借主さんがこの契約で求めているのはなんなのか」を念頭に置く必要があるわけです。
そんな民法大改正。
今日は「意思能力」についてをお伝えしたいと思います。
「意思能力」ってなにかわかりますか?
「いし」には似たものに「意志」と「意思」があります。
「意志」とは、成し遂げようとする心のことであり、
「意思」とは考えや思い、ということになります。
固いのは「意志」、疎通ができないのは「意思」ですね。
つまり意思能力とは「考えたり思ったりする能力」。
私たちは日常で、いろいろ考えていることがありますよね。
判断ももちろんその一つですし、特に重要なことを決めるときにはしっかり考えようと努めるはずです。
それができなくなると、「意思能力がない」もしくは「意思能力が欠けている」という状態になるわけです。
具体的には、まだまだその能力が未熟な幼児や、泥酔して正常な判断ができなくなっている人などを言います。
そして、今の日本で増加中、今後もどんどん増えるだろうと予想できるのが「重度の認知症」です。
そういった方々が、たとえば本当は5000万円くらいの価値のある不動産を100万円で売却したとします。
サインもあるし、押印もある。
そういったときどうなるのか?
という内容が、実は改正前の民法では明記されていませんでした(結構びっくりですよね)。
もちろん、裁判の判例では
「意思能力のないものの行った法律行為は無効」と判決がなされています。
改正民法ではしっかりとこれを明文化しています。
もちろん、意思能力があったのかなかったのかの判断の難しさはありますが、当たり前のことを当たり前に民法の条文に表したことになります。
これはずっとお伝えしてきていることですが、いざ所有している不動産について売却などをしたいと思っても、
所有者の中の一人でも「意思能力がない」と判断されてしまえばその契約は完全には成立しなくなってしまう恐れがあります。
ゼロノワ不動産にも「元気なうちに」「そろそろ終活を考えようと思って」などの相談が増えてきました。
「まずは相談してみようと思って」
こう言っていただけると、とても嬉しいですね。
すべてのケースが緊急性のあるものではもちろんありませんが
放置しているとリスクがあるぞ、というケースがほとんどという印象です。
春になり、5月下旬ですからそろそろ不動産をお持ちの皆さんには今年度の固定資産税納付書が届いたのではないですか? 今年は三年に一度の評価見直しの年でしたから、金額が変わった、という方もいらっしゃったのでは。
お持ちの不動産の価値や今後の利用方法について、一度考えてみませんか?
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