「手のひらの切り返し」で骨盤の回転タイミングを整える
前回は「手のひらの操作で骨盤回転を誘導する」ということで、手のひらを上向きや下向きに操作することで骨盤回転(回旋)を誘導しやすい、というお話をしました。
ここで一旦「そもそも何で骨盤って回転した方がいいんだっけ?」ということを手短に復習しておきましょう。
僕たちはランニングするときに、エネルギーを必要とします。ATPと呼ばれるものですね。これはもちろんランニングする時だけでなく、生命を維持するために必要なものです。
僕たちはこのATPを、糖や脂肪などを原材料にして作り出します。
ちなみに、昨日公認スポーツ栄養士の吉田敦子さんと4時間くらいお話させていただいたんですが、そこで「質量のあるエネルギーと質量のないエネルギー」の話になって、それがものすごく面白かったので、今朝のVoicyでお話ししました。興味がある方はこちらからぜひ聴いてみてください。
https://voicy.jp/channel/2628/1119645
話が逸れましたが、ランニングのパフォーマンスを考えるときに、この「ATP」という視点は欠かせません。
というのも、ランニングのパフォーマンスを測る重要な指標のひとつである「ランニングエコノミー」は、いかに同じ走速度でのATP消費を抑えるか?ということを測るものだからです。
平たくいうと「どれだけエネルギーの無駄遣いを減らすか?」ということですね。
今回は「骨盤の回転」に焦点を当てていますが、胴体を回旋することも、身体を落下させることも、腱の弾性エネルギー利用を促進することを目的としています。
なぜなら、腱の弾性エネルギーを利用することで、ATP消費を抑えることができるからです。
僕たちの身体にはそういう仕組みが備わってるわけですから、この仕組みを使わない手はありません。持ち腐れにするにはあまりにもったいない。
というわけで、前置きはこれくらいにして、本題に入っていきます。
前回は「手のひらの操作」で「骨盤の回転」を大きくすることができるというお話しでした。ここでは「動きの大きさ」に着目したわけですね。
そこで今回は、動きの大きさではなく「回転のタイミング」に焦点を当てていきます。
骨盤を「どれだけ」回転させるか?も重要ですが、それと同じように、いや、それ以上に「どのタイミングで」回転させるか?が重要なんです。
では、その「タイミング」とは、どういうタイミングなんでしょうか?
それは「着地」と「骨盤回転」のタイミングです。
すごくザックリお話しすると、例えば骨盤が左から右に回転する局面を想像してみましょう。
適切な骨盤回転のタイミングは、右足着地したタイミングではまだ骨盤(へそ)は正中よりも若干左を向いていて、そこから段々と右を向きつつ、最大荷重を迎えるタイミングでクイッとさらに右を向く。
つまり、骨盤回転のスピードは終始一定というわけではなく、メリハリがついているということです。
そこで重要な意識づけが「蝶のように舞い、蜂のように刺す」。
ふざけてると思われるかもしれませんが、まさにこの表現がぴたりと当てはまるんです。
両足が浮いて、滞空してるとき。この滞空時間では、骨盤が左から右に回旋しているのを想像してください。
このときは「ふわー」っとした感覚です。滞空時間では空中遊泳を楽しみます。
しかしいざ、右足が地面に着いて最大荷重を迎える「タイミング」では、ふわーっとした空中遊泳から一転して、クイックに骨盤が右回旋から左回旋に切り替わります。
このタイミングが重要なんです。
ランメトリックスでいうところの、骨盤回転タイミング=16。
このタイミングがピシャッと合うと、腱のバネを使ってる感触が掴みやすい。走っててもそんなに努力感なく、それなりにペースを刻めている状態ですね。
ただ、ここが難しい。
ランメトリックスの「骨盤の回転」を大きくするのは、コツさえわかればそんなに難しことはないんです。
ただ、この「骨盤回転タイミング」は、なかなか難易度が高い。ただ…
今日お伝えする「手のひら返しのタイミング」から、骨盤回転タイミングを最適化する感触をつかめるかもしれません、
というわけで、今日の動画をご覧ください。
https://youtube.com/shorts/5duSe0MVUAg
手のひらを上向きにくるっと回し、そのあとクイックに下向きに回す。
まずは動画に動きを合わせてみましょう。そうすると、骨盤周囲の腱が瞬間的にストレッチされ、クイックに骨盤が反転する感触が掴めるはずです。
ぜひお試しください🙌
それではまた。
高岡 尚司(たかおか しょうじ) ゼロベースランニングクラブ・オーガナイザー 熊本国府高校陸上競技部長距離ブロックコーチ 鍼灸マッサージ師 ランニング足袋・開発アドバイザー ALTRA JAPAN アンバサダー 合同会社エフエイト・代表社員