故障って起こるもんだよね。その前提で仕組みを作ろう。
僕はことあるごとに「人間の体はそもそも左右均等じゃない」とか「バランスを崩すのは当たり前。人間だもの」などとお話してますが、この前提を認識しているだけで、体の痛みに対しての向き合い方も変わってくるので、故障に悩むことも少なくなってくるんじゃないかなーと思ってます。
走ってたら痛みが出てしまう。
これってやっぱりできることなら避けたいところ、ですよね。僕も1人のランナーとして、できることなら痛みなく走りたいと思ってますし、ランニングコーチとして、そしてセラピストとして、みなさんが痛みで困ることがないようにお手伝いしています。
ただ、その一方で・・・
人間の体はそもそも左右均等ではありません。右脳と左脳は役割が違いますし、利き手利き足もある。心臓は左寄りにあるし、肝臓は右側にある。腎臓だって左右の高さが違いますし、挙げたらキリがありません。
このようにバランスを崩す要素はたくさんあるわけですから、それを踏まえると「バランスを崩して当然」と考えてた方が、何かと健全だったりします。
この態度が馴染んでいることで、「痛みが出る」という現象に対しての認識、そして行動も変わってくるんですね。
ちょっとした脚の痛みだったとしても、その痛み情報を「バランスが崩れているサイン」として認識し、トレーニング量を調整したり、治療を受けたりする行動につながり、大きな崩れを起こす前に対処できます。つまり、ゼロベース(中庸)にバランシングするわけですね。
また、故障してしまう原因に対して「人間ってそもそもそういうもんだよね」というスタンスを取りますから、「ではいかにすれば故障しないランニングフォームを身につけることができるか?」と考えることになるはずです。
もちろん、そうやって故障しないランニングフォームを身につける過程で故障してしまうことだってあります。
しかしそれは、故障してしまった人が悪いわけではなくて、痛み情報をキャッチした際の初動に関する行動指針や、故障してしまうようなランニングフォームという「仕組み」に問題があると、僕は考えています。
少し話が横道に逸れるかもしれませんが・・・
痛み情報をキャッチした際の初動に関する行動指針に関しては、僕は「正常性バイアス」ってのがそもそもかかるもの、だと思って仕組みを作った方がいいと考えてます。
正常性バイアス。災害などで逃げ遅れる人の多くは、異常事態が起こっていても「いやいや、これはそこまで大変なことでもないでしょ」という感じで、異常事態を「正常の範囲内」として捉え、精神的な平静を保とうとすることです。
そうなると、どうしても初動が遅れてしまうので、体のバランスの崩れがエスカレートしてしまい、気がついた頃には、だいぶ症状がこじれてしまってます。
それもこれも、発端は「僕たちはそんなもんだよね」という前提を持ち合わせて仕組みを作れていないことにあるんじゃないかって思うんですね。
そもそも僕たちには正常性バイアスがかかるもんだと思っていると「痛みが軽くても、すぐに治療を受ける」という仕組みができます。それによって、痛みがこじれて大火事になることなくボヤで済みます。
それと・・・
今この記事を書きながら気づいたんですけど、「僕たちはバランスを崩して当然なんだ」という態度が馴染んでると、いざバランスを崩した自分に対して、優しい対応ができるんじゃないかなーとも。
どうしても、脚に痛みが出たりすると自己嫌悪に陥りがちじゃないですか?
それって「バランスを崩すこと=悪いこと」だという認識があるからなんじゃないかと思うんです。
でも「バランスを崩して当然」というスタンスだと、そんな自分も優しく受け入れることができるんじゃないかなーと。
バランスを崩すことは悪いことではありません。そもそもそんなもんです。ですから、そんな自分自身に対して寛容になり、仕組みに目を向けると精神衛生上、健全なのかなーと思ってます。
というわけで今日は「僕たちの体はバランスを崩して当然」というテーマでお話ししてきました。
ゼロベースランニングのロゴには、右下に「.(ドット)」がくっついています。
これは竹原博之さんが提案してくれたデザインなんですけど、僕はこのドットに大きな意味を感じています。
プラマイマークだけだと、確かにバランスが整っている。だけど、なんかこう、キレイに整いすぎて、なんかしっくりこない。
そこでこのドットです。ドットが入ると、バランスが崩れます。このバランスの崩れこそが人間っぽい感じがして、すごく気に入ってます。
それでは、今日も口角上げていきましょう!最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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