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部下の気持ちに気づいてますか?怒りは自分を守るバリア

管理職の方からの相談で一番多いのが
『部下が言うことを聞いてくれない』です。

部下との接し方が分からない

2022年に全企業において、パワハラやセクハラなどの様々なハラスメント対策が義務となり、労働者の権利が守られるようになってきました。

もちろん、いまだに表沙汰にならないハラスメントもたくさん隠れていますが、TwitterなどSNSが登場してから誰でも公に暴露できる時代になり、さまざまな出来事が表に出やすくなってきています。

労働者が守られるようになる一方で、どのように部下と接していいかわからない上司が増えています。

かつてのようにパワハラで部下をコントロールできない時代

大声で高圧的に命令口調で言えば従っていた時代から、それがパワハラだと言われる時代に入り、上司の指示に従わなかったり、なかには上司を責めたりする人も増えてきました。

このように上司の手に負えない部下のことを『モンスター部下』という表現をしたりすることもありますが、裏返せば、それほど部下をどのように動かせばいいのかわからず困っている上司が多いのでしょう。

仕事でもっとも必要なスキルはロジカルシンキング

仕事では目的・目標を持って、論理的にディスカッションすることが要求されるため、言語化能力の高い人は昇進しやすいです。

そういった上司は、自分の能力が当たり前だと思っているので、他の人に対しても論理的思考ができると思い込んでいることが多いです。

しかし、人は仕事だからといって常にロジカルに考えられるわけではありません。そこには感情が入っています。それが良いか悪いかということではなく、絶対に感情が入ってしまうのが人間という生きものなのです。

昇進していく人は感情と考えを切り分けるのが得意な傾向がありますが、どんな人でも感情と考えを完全に区別することはできません。

心のどこかでなにかしらの感情が存在します。そして、その感情を相手にわかってほしいという欲求があるものなのだと思います。

「いいや、オレは別に相手にわかってほしいと思ってない」

と思う方もいるかもしれませんが、相手がその感情を理解して共感してくれたら嬉しくなるものだと思います。そういう意味では、誰しもが心の中で同調欲求を持っているのです。

だから、人とコミュニケーションをとる上で
『正論』を言うことよりも『共感』がとても大切なのです。

共感してほしいがゆえに傷つく

例えば、人に何かお願いしたときに断られるとします。その時にどのように断られるかによって自分の傷つき具合は異なります。

①「無理です」と事務的に言われる
②「すみません。忙しいから無理なんです」と『断って残念な思いをさせてしまって申し訳ない』というニュアンスを込めて言われる

どちらも結果は同じなのに、①のように淡々と断られると傷ついてしまいます。

断られたという事実に対して、良い結果を期待していたからこそショックなのです。だから『きっと断られるだろう。万が一お願いを聞いてくれたらラッキーだ』とあらかじめ期待値を下げてお願いすれば楽になります。

さきにあげた「いいや、オレは別に相手にわかってほしいと思ってない」という気持ちも、あらかじめ期待値を下げる行為になります。

しかし、人間そんなに合理的な生きものではないので、どうしても相手に期待してしまいます。

だから、断られた時は少なからずショックを受けるんです。

本来なら、相手には自分がどう感じたのか関係ないのですが、ついつい悲しい気持ちを相手に理解してほしい、という感情を抱きます。

もちろん、そう思わない人もいますが、相手に共感を求めてしまう人の方が多いんです。

ここでもう一度振り返ってみます。

①「無理です」と事務的に言われる
②「すみません。忙しいから無理なんです」と『断って残念な思いをさせてしまって申し訳ない』というニュアンスを込めて言われる

②のように、傷ついた気持ちに共感してもらえたら悲しい気持ちは和らぎます。しかし、①の場合は、断られたことに共感してもらえない悲しさも加わり、二重の悲しみになります。

悲しさが怒りに変わる

悲しさを素直に表現できれば上司は理解しやすいのですが、この大きな悲しみに耐えきれず、怒りとして表現してしまう人もいます。

もちろん、社会人として怒りをぶつけてはいけないことは重々承知なので、10ある怒りを全てぶつけることは少ないでしょう。

ただ、陰性感情に対する共感力の高い人が多いので、小さな怒り感情であっても、少しでも漏れていれば人は察知します。この小さな怒りは無表情というかたちで現れることもあります。普段は表情豊かな人が急に無表情になると、怒り(不機嫌)感情は伝わるものです。

このように、人は自分が傷ついた悲しみに耐えきれず怒りに変えることがあります。怒り以外にも、言い訳をしたり平謝りをする人もいるかもしれません。

これら全て、これ以上自分が傷つきたくないための自己防衛反応なのです。

どのように部下と接すればいいか

「部下をどう動かしていいのかわからない」という上司は、部下の言葉をそのまま受け取っている場合が多いです。

しかし、相手をよく観察してみると見える世界が変わります。

部下の言動には自己防衛反応がところどころ紛れ込んでいます。だから、常日頃から部下が発する言葉だけでなく、その背景にある感情を読みとる努力をしてみましょう。

なぜそのような発言をするのだろう?
なぜそんな態度しかとれないのだろう?

きっとその裏には、彼らの恐れや悲しさ、悔しさが隠れていることでしょう。

それに気づけばあとは簡単です。その感情に共感してあげるだけでいいのです。

「仕事なのに、なんで感情に共感なんかしなければいけないんだ!」と思う人もいるかもしれません。しかし、共感をしなければ部下の自己防衛反応、いわゆるバリアがより強固になるだけで、全く自分の発言に聞く耳を持ってくれなくなります。

しかし、共感すると相手のバリアは外れ、言いたいことを伝えやすくなります。

ディベートのように正論をぶつけ合うのではなく、

共感』してから『正論』を言う

これが大切なのです。

相手のために共感するのではありません。
自分のために相手に共感するのです。

【まとめ】
 上司と意見が違うと部下は否定された気がして傷つく
       ↓
 傷ついたことを上司に共感してもらえず、さらに傷つく
       ↓
 部下は悲しさを素直に表現できず、怒りなど自己防衛反応を起こす
       ↓
 部下の自己防衛反応を表面上のまま受け取ると、お互い理解しあえず関係がギクシャクする

そうならないように、自己防衛反応の奥にある気持ちはなんなのか?考える習慣をつけましょう。

これは、部下だけではなく全ての人に当てはまります。相手の言葉をストレートに受け止めず、何に苦しんでいるんだろう?という目線で接してあげてください。そうすると、今まですれ違っていた相手とも分かり合えるようになりますよ。



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