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「恩」があだとなった、ならなかった話

<おじさんDX Vol148>

🍀苦しい時に受けた恩ほど忘れないのだろうか。

両方共に、当時の勤務先の(会社は違います)経営者から直接聞いた大昔の話です。一部をフィクションとしています。


✅事例1.倒産の危機を救った

同業他社の経営が悪化したとかで、頼み込まれて融資をしたそうですが、いくら頼み込まれたとは言え、同業に融資なんてしてしまったら、自分の首を絞めるようなものだと私は思うのです。


すでに当時、お互いの会社は、多店舗展開を行っており、活動地域が離れているとは言え、日本国内ですから、広いと言ってもですね...。

地域的には、同業でも商圏が重ならず、直接の競合相手ではなかったのです。

この時に、いずれは競合になるかも知れない可能性があったのか、今後「無用な争いはしたくない」という事から、その会社の経営者は、融資を頼まれた会社の経営者に対して、

「こちらの地域に出店しないよう」約束をしたとの事でした。
(コンプライアンス的に問題がありそうな気もしますが... 😅)


もちろん融資を受けた側の会社は、これを受入れます。

敵に塩を送るかたちになったが、これで無用な争いは避けられる。


融資を受けた会社は、資金調達が出来て倒産を免れるのですが、数年後に「約束を反故」にし、同じ地域に進出して来たのです。


「約束が、違う」と言っても後の祭りだった。

その返答は、融資の恩も忘れて「借りた金は、返したから」というドライな返答だけだったとのこと。


やがて相手の新店ラッシュが始まり、数年間競争します。


🍀結果は、負けてしまい廃業

競争に負けたから仕方ないとは言え、この時の経営者は「自分が甘かった」と後悔したそうです。


恩を受けながら約束を反故にしたのですから、卑怯な会社と思われるかも知れませんが、いずれにせよ生存競争に負けたのです。


融資を受けた会社は、その後から地域シェアを拡大し勢いを増して各地に出店をしていきます。話を聞いた際にそのグループ店舗を普段利用する機会が多かったので、まさかその会社の影にそんな歴史があったとは、思いませんでした。


🍀もし、あの時融資をしなかったら、その会社は存在していなかった。


やがて、その融資を受けた会社もグループの統合や更に大手の会社に吸収
されます。今でも看板だけは、生き残っていますが、中味は別物でお互い事実上消滅しているのです。


当時、地域の覇権を争った両社共に、存在しない...。

🍀ビジネスの世界が、弱肉強食と言える事例です。


✅事例2.まさか大企業となり、取引

小売業は、原則商品を卸してくれないと売上が作れません。メーカー直接だったり、問屋を介して商品を確保するのです。

商品を卸して欲しいと言っても、そう簡単ではありません。取引を行うのに保証金や条件等の契約があるのです。

当時の業界の慣わしなのか、あまり行儀が良い状況ではなく、支払いが滞ったり、夜逃げ同然で代金を支払わなかったり、卸したとしても足元を見た暴利という事が、多かったそうです。



そりゃ、メーカーも問屋も慎重になります。

ですから、駆け出しの取引実績もロクにない会社に商品を卸してくれる業者が、殆どなかったのです。

今では考えられない話ですが、やっと卸してもらった商品を売る日々が続いていたそうです。


やっと、卸してもらえても「売れ残り品」


こうした事もあって創業時は、苦しい状況が続きます。


そんな頃、ある小さな問屋が「ウチの商品なら卸すよ」と快諾してくれたそうです。忘れがちになりますが、商品を卸してくれる業者様は、大変ありがたい存在なのです。


創業者は、それまでの苦労もあって大変感謝したそうです。

余談ですが、この創業者の方が、取引先を思う気持ちは、この時の経験から、会社が成長しても納入価格を買い叩く行為を禁止したそうです。

「納入業者が卸してくれる商品を買い叩くなんてとんでもない」

こうした信念と感謝の気持ちは、数年後に思いもしなかった結果を迎えます。

このとある会社は「大企業に成長」するのです。


苦しい時にお世話になった問屋の商品は、全国各地の店舗に品揃えされることになります。これには、その小さな問屋も驚いたようです。

年々取引数量が右肩上がりで増えていくだけでなく、そもそも問屋の能力が不足する位の取引量です。かと言って、この問屋も大したもので、事業成績が右肩上がりでも基本を押さえて、無暗な拡大路線を歩まなかったそうです。

その逆に、創業時に取引をお願いしても対応が悪かった業者は、この会社が大きくなると、手のひらを返したように取引を求めて来たそうです。

創業者は、頑なに受け入れなかったという噂もあります。


ビジネスに感情は不要と言われる事もあります。


私は、こうした義理人情が好きです。「考えが甘い」と言われるかも知れませんが、商売は「人と人の繋がり」だと思います。

少しくらい人間味があっても良いと思いますし、人間味が許されても良いのではないでしょうか。



そう思うおじさんでした。



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