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「美しくも、苦しい。だから尊い」経営陣の関係性

僕は「関係性のコーチング」という仕事をしている。

そして、僕の胸をキュッと締め付ける、尊い関係性に出会うことがよくある。しかも、そこそこ「よくある」のだ。

とても「美しい」。
とても「苦しい」。
だから「尊い」。

今、あなたを悩ませている関係性を進化させていく勇気になることを願い、今日は、私が出会う「美しくも、苦しく、だから尊い」経営陣の関係性について、書いてみたい。(なお、内容は特定の経営陣ではなく、いくつかの経営陣の関係性の要点を、So Whatして、デフォルメさせて書いている)

関係性コーチングの旅の入り口

「関係性のコーチング」の依頼や相談が入る時は、特定の誰かが、その人が属しているメンバーに、何かしらの課題意識を持っていることが大半だ。

例えば…

  • 代表取締役からの相談で、他の役員の経営視点の低さに苛立ちを感じていて、一向に変わらなくて困っている

  • 管理職からの相談で、メンバーの当事者意識がなくて困っている

  • 管理職からの相談で、特定の部下と相性が悪くて、もはやまともに会話をすることもできなくなっている

  • 代表取締役からの相談で、繁忙期になると、営業部門と開発部門がお互いの立場を主張し合って譲らなくなって、どちらもある意味正しい主張をしているが故の平行線を辿ってしまい、いつも自分が介入して意思決定しなければならない

…などだ。

そして契約に至った場合、まずは最初の入り口として、「その関係性を構成する個々のメンバーの個別インタビューから入る」ことが多い。

そして、全員のインタビューを終えた時、この胸をキュッと締め付けられる感覚になることが多いのだ。

似たようなことだが、何度もいう。

人って美しい。
関係性って美しい。
だからこそ、苦しい。
だからこそ、尊い。

…としみじみとする。

例えば、こんなケースだ。

「美しくも、苦しく、だから尊い」経営陣の関係性

会社を共同で設立してから長年やってきた。

同じ釜の飯を食べ、苦楽を共にした、旧知の中である。

一人の役員にインタビューをしてみる。

そのおっさん役員は、今の経営課題や自分の担当領域の課題などを雄弁に語る。

その解決策について聞いてみると、自分なりの危機感を持って、考えていることを話し出す。そして、「面倒臭いからやりたくないんだけど」という前置きをおきつつも、「自分がなんとかしないといけない」という言葉の裏に強い使命感と決意が漂っている。

話題を他の役員や他の部門の話に振ってみる。すると、大分辛口で他の役員や部門をディスってくる。

しかし、それが実に奇妙なのだ。

ディスっているその表情からは、飲みの場で「大好きな友人」のダメダメネタを嬉しそうに語るオーラが、全身の毛穴から噴き出ているのが、手に取るようにわかる。

なんだかんだ言って、大好きなんだ。そこに愛がある。

「〇〇さんのことが大好きなんですね」と返してみる。

すると、沈黙する。
間を入れて、照れ臭そうに、「まあ」と言葉を濁し、ニンマリを口角を上げるおっさん役員。可愛らしい。

「この会社の経営をより良くするために、あなたが感じている課題意識をもっと他の役員に危機感を持って伝えた方がいいように思うのですが、その課題意識は伝えているんですか?」と問うてみる。

すると、「まあ、一応は伝えている。でも、わかってくれないんだよね。」と、遠い目をする。
大好きな友人に「理解してもらえない、受け止めてもらえない寂しさや悲しさ」が声の隙間から滲み出ているように見える。

「友人に、理解されていない、受け止めてもらえていない寂しさや悲しさみたいな痛みがありそうですね」と返してみる。

「まあ、そうだね。」と呟いて、遠い目をする。

「かといって、それでも、なお問題提起し続けることは、きっとあなた自身の傷に塩を塗るような行為で、あなたにとっても辛い体験になりそうですね。」

…と聞いてみる。

「まあ、そうだね。やらないといけないのはわかっているんだけどね…」と言葉を濁す。

「必要なことだとあなたは確信しているんですね。そして聡明なあなたは、それが自分の役目だともわかっているんですよね。でも、できない。これ以上、問題提起しないことに、他にも理由があるんでしょうか?」

…と聞いてみる。

すると…

「いやさ、あいつもあいつで頑張ってんだよ。今色々とめちゃくちゃ大変なんだよ。あいつはあいつで、俺にはない才能を持っているし、だからこそ尊敬している。そこにあれもダメだ、これもダメだと、ヤンヤンと追い討ちをかけるように言ったらさ、あいつを追い込んじゃうんだよ。一時期、言い過ぎて、すげぇギスギスしたことがあって。俺は、このメンバーが好きだし、このメンバーでずっとやりたいから、なんか追い込んで辞めてもらいたくないんだよね。」

…と捲し立ててくる。

まるで、必死で友人を、私から庇っているかのような口調でだ。

僕の胸がキュッと苦しくなる。

この役員は、この関係性が大好きなのである。
そしてモンンンンンンンンのスゴい大切なのである。

この関係性を物凄い大切に思っているが故に、その関係性を壊してしまうという恐怖感から、経営陣として「本当は話さないといけない問題」「本当は向き合わなければならない問題」に向き合えず、目を背け、話を逸らし、問題を先送りにしてしまっている。

他の役員にインタビューをしても似たような心境が露わになる。

例えば…

「あいつは、うちの部門に問題意識を持っているんだと思う。早くあいつの問題意識に向き合えるようにしたい。でも、なかなか目の前の課題が片付かない。」

…という言葉を発する裏側には、友人の期待に応えられない自分への罪悪感が、身体全体から滲み出ていたりする。

涙が出そうになる時もある。

お互いが、その関係性を大切にしているからこその苦しみに悶絶している。
愛しているからこその苦しみ。

なんて人の関係性というものは、美しくて、苦しくて、そして尊いものなんだろう。

好きだから、大切に思うからこそ、苦しいのだ。

…と、言葉を失うような感動を覚える。

関係性コーチングに持ち込んでいる私の意図

とは言えど、経営の現実はそんな甘くない。

こんな経営陣の関係性がずっと続くと、先送りにしてきた問題がいずれ山積みになってくる。それは、やがて会社の存続を脅かす手のつけられないモンスター級の経営課題に膨れ上がってくる。

厳しい言い方をすれば、経営は、友達ごっこじゃない。そんな友達ごっこの戯言は言い訳でしかない。

んなこと、本人達もわかっている。

でも…

そこは人間。
そこに人間らしさが現れる。
その人間らしさがあるからこそ、面白く尊く美しくもある。
そして苦しいのだ。

なんて、尊く美しいのだ。

そんな人間らしい葛藤を抱え、苦しみながらも前に進もうと悶絶している、美しく尊い経営陣のこんがらがった関係性。そのこんがらがった関係性を少しでも解きほぐし、その関係性が本来持つ物凄い創造性とパワーを発揮できるようにしていきたい。

例えば…

  • 楽しさと厳しさと優しさと愛と力強さを持ち合わせた、創造性あふれる関係性

  • 安心して、本気で殴り合いができる関係性

  • 「経営陣の誰か、どの部門」の問題ではなく、「肩を並べた経営陣全体」の問題として、全員で取り組んでいく関係性

…だ。

僕は、そんな意図と願いを持って、関係性コーチングの旅を始めていく。

真実のコミュニケーションを経て、関係性は進化して、新たなステージへと進む。進化した先に何が待ち受けているのかは、僕にもわからない。それは進化したより創造的な関係性が、見つけていく答えだ。

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