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【ネタバレ】私たちはもう舞台の上─劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト感想

劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト、ついに公開されました
初見はとにかく迫りくるキラめきに殴られ続けて心が追いつきませんでした
最初にこれを書いてる時点でとりあえず4回観てある程度落ち着いたので、感想というか考察というか個人的な解釈を書き連ねていきます

ロロロの記事も書いてるので、よろしければ


ワイルドスクリーンバロック

言葉自体は言わずもがな、ワイドスクリーンバロックをもじった造語
なので、wi(l)d-screen Baroqueという表記になっている
ワイドスクリーンバロックはざっくり言うと「膨大な情報と設定を盛り込んだ世界観で巻き起こるトンデモ超展開」みたいな意味(スタァライトにぴったりじゃないか…)
今回のレヴューは「ワイルドスクリーンバロック①」というようにすべて通し番号がついている
それぞれがオーディションの結果を受け入れつつも何か引っかかっていた想いや本音をさらけ出して、次の舞台へ歩き出す
「舞台少女」を卒業して「舞台女優」へ

ワイルドスクリーンバロックとは9人それぞれの「スタァライト」の結末の続き、自分自身にケリをつけて新しい自分に生まれ変わるという意味?

皆殺しのレヴュー

ばななの言葉
「強いお酒を飲んだみたい(復唱)」→「もう舞台は始まってる。はやくセリフを返して、演じて」
「しゃべりすぎ」→「セリフにないことしゃべりすぎ、演じて(あと、オーディションは他言無用のはず)」
「私たちもう死んでるよ…」

「再演」から抜け出したその先に「舞台少女の死」の可能性を見たばなな
「結末の続き」を始めたのならそれを終わらせなければいけない
過去に囚われ変わらないものはやがて朽ち果て死んでいく
みんなを守るのは再演ではなく、次の舞台へ進み変化していくこと
オーディションの結果を受け入れてそのまま変わらないみんなを焚きつけるために、あえて非情に接した…?

トマト

トマト=レヴュー(次の舞台)への参加チケット
トマトの花言葉は「完成美」
トマトを齧る(レヴューに参加)→欠けて完成形ではなくなる(生まれ変わって次の舞台へ)→未完成の舞台少女→舞台少女心得!!!!!(クソデカ感情)

決起集会

第101回聖翔祭スタァライトの脚本が未完成
前回のあのスタァライトを超えられるのか、怖い
それでもみんなで新しいスタァライトを作っていく
「過去に囚われ変わらないものはやがて朽ち果て死んでいく」
「古い肉体を壊し、新しい血を吹き込み生まれ変わる」
「今こそ塔を降りるとき」

舞台創造科の葛藤も描かれていたのがすごくよかった
パンフレットの9人の各ページには、それぞれが思うスタァライトの「結末の続き」が書き込まれているので、ぜひ読んでほしい

おやつの時間はもうお終い

バナナマフィン、バナナプリン、バナナンシェ
「再演で」みんなにたくさん食べてもらった
それでも、みんな次の舞台を求めてまた飢えて渇いていく
おやつの時間(再演)はもうお終い、次の舞台へ

でも華恋は「ひかりとの約束」に囚われたまま
「だからアイツだけ…」
このあたりは舞台 #2 にも通ずるところが…

舞台少女心得

「私たちは舞台少女 未完成の舞台少女」
トマトを齧って「未完成の舞台少女」へ

「世界は私たちの 大きな舞台だから」
私たちはもう舞台の上

決起集会のシーンの劇伴が「約束タワー」から「舞台少女心得」に
「一つ夢叶えて また私たち 次の場所を目指すよ」→「進化し続けるの そっと見守ってね 悔しさ後悔その全てが ねぇきっと 糧になる 明日の」

「塔」を降りて「次の舞台」へ
すべて舞台少女心得に収束するのか…
決起集会のシーンで舞台少女心得を感じて、オタクはここで一番泣いた

血を流して横たわる舞台少女たち

横たわる舞台少女→過去(オーディション)に囚われ変わらないものはやがて朽ち果て死んでいく
横たわる自分と向かい合う舞台少女→古い肉体を壊し新しい血を吹き込み生まれ変わる

トマトを齧って「私たちはもう舞台の上」→次の舞台へ

キリン「共演者はあと2人」のところ、白背景にセンターバミリの左右にトマトがあってキネマシトラスのロゴっぽいのは狙ってるのかな…?笑

キリンと野菜

キリンは舞台の観客
観客が望む限り演じ続ける
観客いてこその舞台
観客は舞台少女の燃料、糧
だからキリンが野菜になってる?
何を燃やして生まれ変わる

愛城華恋

華恋、TVシリーズとロロロではある意味「群像劇を動かす」舞台装置的な役割だったのが今回はちゃんと物語の主人公になっていた

キリン「彼女は役作りの最中です」
ひかりが王立演劇学院に合格していたことを知ってしまったけど、それを隠して「私にとって舞台はひかりちゃんの愛城華恋役」を演じていた?
幼少期からひかり転入までの回想シーンが「役作り」
役作りの回想シーンが終わって、ひかりと舞台で再会

ひかりとふたりでスタァライトの主役を演じて何も無くなり、華恋のトマトは齧ることなく破裂した
トマトの破裂→舞台少女の死
ひかりからの「舞台で待ってる」というお手紙と、ひかりとふたりでスタァになるために生きてきたこれまでの自分自身を燃やして生まれ変わり(この一連のシーンすごくウテナ)、最後のセリフ「私もひかりに負けたくない」

ス、Star Parade…

レヴュースタァライト

華恋「演じきっちゃった、レヴュースタァライトを」

ひかりと一緒にスタァを目指してスタァライトを演じることが、華恋にとっての「レヴュースタァライト」?
9人それぞれにそれぞれの「レヴュースタァライト」があるはず(華恋「まひるちゃんにもあるでしょ?まひるちゃんのスタァライトが!」)
そしてそれを見届けるのが、観客(映画を観ている自分たち)にとっての「レヴュースタァライト」?

決起集会のシーンで「新しいホリゾント(背景幕)作るんでしょ?」というセリフ
その後の華恋とひかりの回想シーンで東京タワーの頂上が歪んでいて、ホリゾントのような質感
新しいホリゾントは華恋のレヴュースタァライトもしくは役作りの舞台セット?
レヴュースタァライト=ワイルドスクリーンバロック?

最後のセリフを言って、真っ二つに折れた東京タワーもとい約束タワー
タワーの断面はひし形→「赤い二つ星」
ロロロのエピローグでばななが言ってたのはそういうことだったのか…
折れたタワーの上半分の断面は菱形、下半分を逆さにすると王冠のような形…
運命の舞台のチケット…

華恋もトマトを受け取って、次の舞台へ

エンドロール

次の舞台へ向かったみんなに会いに行くひかり
京都の千華流に戻り花柳彗仙を襲名した香子
新国立第一歌劇団に入団した真矢、まひる、双葉
フランスの劇団に入団したクロディーヌ
ニューヨークの演劇学校に留学した純那
王立演劇学院に留学したばなな(ひかりも一緒?)
でも、華恋はオーディションが被っていて会えず
(華恋は事務所所属またはフリーの舞台女優?)

「ひかりちゃんと再会するのは舞台で」

私たちはもう舞台の上

主題歌ジャケットの9人の配置
元々意味深と言われていたけど、エンドロールのそれぞれの進路の組み合わせになっていた

リボンを解いたの
出てきてもいいよ
ドキドキが騒いでる
もう閉じ込められない
世界は広いんだけど ah
近くに感じていたい
キミは今ごろどんな景色を見てるかな
折り目をつけた台本には
新しいことは何もなくて
台詞はとうに馴染んでるから
閉じてしまってもいっか
まぶしいからきっと見えないんだ
私たちの行き先
すぐに見つけに行くからね
丁寧に合わす衣装のように
私にピッタリの未来が待ってるんだ

エンドロール、サビ前の盛り上がりでオタクの涙腺は崩壊した
毎度のことながら、歌詞が物語の内容そのものすぎて中村彼方さん本当に天才
作曲は再生讃美曲に続いて佐藤純一さんで、今回はよりメロディにらしさを感じる気がする(サビがfhánaっぽい)
過去を乗り越えて一歩踏み出した先の未来はきっと明るい…

エピローグ

「今日、今この時」

オーディションを受ける華恋
このオーディション会場と華恋の服装は、「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」のオーディション会場と小山百代さんの服装と同じとのこと
最後の最後にとんでもない爆弾を仕掛けてくれた…
物語は現実に溶け込んでいくのか…

まとめ

ここで、改めて今作のイントロダクションを見てみる

「スタァライト」――それは遠い星の、ずっと昔の、遙か未来のお話。
この戯曲で舞台のキラめきを浴びた二人の少女は、運命を交換しました。
「二人でスタァに」「舞台で待ってる」

普通の楽しみ、喜びを焼き尽くして、運命を果たすために。
わずか5歳で運命を溶鉱炉に。

――危険、ですねぇ。

やがて二人は再会します。
一人は悲劇の舞台に立ち続け、もう一人は飛び入り、引き離され、飛び入り、
二人の運命を書き換えて……キラめきに満ちた新章を生みだしたのでした。

もう目を焼かれて塔から落ちた少女も、幽閉されていた少女もいません。
ならば……その新章の結末は?

「スタァライト」は作者不詳の物語。
キラめきはどこから来て、どこに向かうのか。
そして、この物語の『主演』は誰か。

私は、それが観たいのです。

ねぇ――聖翔音楽学園三年生、愛城華恋さん?

最初から答えは提示されていたのか…

「列車は必ず次の駅へ」
「なら舞台は?」
「あなた(わたし)たちは?」

「過去に囚われずに、未来へ進み続ける」
「未来は不安や暗いことばかりではなく、自分だけのまぶしいくらいに明るいこともある」
これに尽きる
人生の岐路についたときに観たい映画

されど舞台(人生)はつづく
The Show Must Go On

※Febriに古川監督のネタバレ込みのインタビュー記事が掲載されているので、ぜひ読んでください


以下、蛇足的おまけ

ここからは、スタァライトに関係ないけど個人的解釈のこじつけで繋がりを感じたあれこれを…
※あくまで個人的解釈のこじつけです

エヴァ
やっぱりスタァライトはエヴァに通ずるところが多いなぁと今回改めて感じた
というか、シン・エヴァを観て「スタァライトも同じような終わりを迎えてしまうのでは…」と思い、「続きは観たいけど観たら終わってしまうから観たくない」というまったく同じ感情で公開を迎えました(笑)
結果、ワイルドスクリーンバロックは「それぞれの"ケリ"をつけて卒業、電車に乗って新しい世界へ」って完全にNEON GENESISの「虚構(イマジナリー)から現実(リアリティ)へ」のそれだったし…
クライマックスで「Komm, süsser Tod」か「VOYAGER~日付のない墓標」が聴こえてきそうだったよ…
シン・エヴァのクレジットにキネマシトラスあるのもなんだかいろいろ勝手に考えてしまう…
両監督同士の対談とか実現しませんかね…

縁が君を導くだろう、また会えるよ
希望は残っているよ、どんなときにもね

さようなら、全ての舞台少女
さようなら、全てのスタァライト

・遊戯王
「見果てぬ先まで続くオレ達の闘いのロード!!」
「オレは未来などに導かれはしない!オレの踏み印したロード!それが未来となるのだ!!」

これはもうキリンの中の人ネタといえばそれまでだけど、この劇場版が未来に向かって進むことを描いていたからこのワードが浮かんでしまった(笑)
「肉体がある限り魂は再び蘇る」っていう古代エジプトの死生観も少し感じたり(華恋がセンターバミリになってその中から出てきて生まれ変わるのも棺桶っぽかったし、決起集会のシーンでファラオの棺桶の大道具が一瞬映るし)
古川監督も「死と再生」がテーマって言ってるし、古代エジプトを感じるのはあながち間違いではないのかも…
舞台少女は危険だからこそ、ふつくしい…

・狼狽えるな!
真矢「狼狽えるな!舞台装置だ!」

スタリラがシンフォギアとコラボしてたのもあって、シンフォギアGのマリアの「狼狽えるな!」を思い出した
マリアをやったのはクロディーヌだったけど

・Journey through the Decade
舞台 #2 あたりから「スタァライトってJourney through the Decadeじゃん」と勝手に思ってたのが今回改めて感じられましたね

On the road 誰も旅の途中
本当の自分自身出逢うため
歩き続けるのさ今を We're all travelers
僕の目の前に広がる
9つの道はいつか重なって
新しい夜明けへと続く道に変わるのだろう
目撃せよ Journey through the Decade

ちなみに、キリンの「わかります」は古川監督の口癖らしく、意味合い的には門矢士の「大体わかった」と同じっぽい

全てを破壊し、全てを繋げ!

・Girls Anthem 〜with our BIG LUV〜
ひかりとまひる、真矢とクロディーヌのレヴューのライバル云々のあたりに仮面ライダーGIRLSの「Girls Anthem 〜with our BIG LUV〜」っていう曲を感じた

仲間でもライバルでもある
負けたくないし負けらんないし
離れたくないし

仲間たちとともにステージに立つ人の等身大の気持ちを歌った歌詞でとてもいい曲なのでぜひ聴いてほしい…(宣伝)


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