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『プアン/友だちと呼ばせて』

原題「泰วันสุดท้าย..ก่อนบายเธอ/英 ONE FOR THE ROAD」

◆あらすじ◆
ニューヨークでバーを経営するボスのもとに、タイで暮らす親友ウードから数年ぶりの電話がかかってくる。白血病で余命宣告を受けた彼の最後の頼みを聞き入れ、バンコクに駆けつけたボスは、ウードが元カノたちを訪ねる旅を運転手としてサポートすることに。カーステレオのカセットテープから流れる思い出の曲とともに、青春時代の甘い記憶が甦ってくる2人だったが…。


※英題「ONE FOR THE ROAD」は酒の席で帰り際に飲む最後の一杯の事。



期待値が高過ぎたか?
私が歳を取り過ぎているのか?ww。
白血病のウードが親友のボスを誘い元カノたちを訪ねる旅に出るロードムービーだが彼が何故親友のボスを誘ったのか、その理由が「あぁ、若さ故よね~」な感じでそれ程ガツンと来なかったのが少々残念。

それでも色彩やカメラワーク、カット割り、時系列の配置など映像や構成はちょっとビックリするほど魅せてくれて才能を感じるし、主人公2人の背景の描き方は良かった。

名匠ウォン・カーウァイのプロデュースだけある。


タイの都市を幾つか巡るがその都市それぞれの雰囲気や訊ねる元カノ達の反応、現在の様子の見せ方など一つ一つ変化があり違いをしっかり見せる作り方は巧み。

自分が訪ねる事で彼女達がどう感じ、一方的な想いが相互の想いになるのか否かと言う人間の感情の起伏が興味深い。
過去と現在、わだかまりはどう変化するのか?或いはそのまま時を留めるのか?
彼女達の反応とウードの受け止め方で過去の出来事が決して全て過去のものでは無い事や【死】は決して全てを流し許される理由にはならない事を語る。

特に最初に訪ねるアリスと3番目のタックの対比は印象的だった。

過去の恋愛の辛さを乗り越えて現在に生きる彼女達の姿はとても良く描けていたと思う。

そしてウードの旅の目的が"元カノ巡りは口実"だと言う事も物語が進むにつれ感じられる。
彼が目標とした今は亡き父親の懐古=回顧もその一つでその過程を経る事で父への想いを果たそうとする姿にはちょっとホロっとした。

が一番の目的は親友だったボスへの唯一の後悔を告白する事。

確かに若い時に起こりそうな恋愛のもつれでそう言う年齢だと物凄く酷い事のように思えてしまう。
でも、もうこの歳になると「そんな事もあるよね~」でたいして驚きもせずなのよね~(笑)

でも本人にしてみれば自分の中に燻ってたものを吐き出したいって思うんだろうね。
誰よりも信頼して欲しい相手だったって事なんだよね。

そういう意味ではちょっとウルッと来るような素直にココロで感じられる作品なのは確か。

因みに元カノエピソードで一番好きだったのは『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』のオークベープ・チュティモンが演じたヌーナーと言う女優の話だな。彼女凄く良かったと思う。


終わり方が個人的に5本の指に入るくらい大好きな『存在の耐えられない軽さ』のラストを思わせる手法が用いられていて【命の期限と未来】と言う相対するものへの言及が素敵だった。

ナタラット・ノポラタヤポーン君超かわいかった
( ✧Д✧) キラーン   要チェック君っす。

2022/09/15

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