『オリエント急行殺人事件』

原題「Murder on the Orient Express」

◆あらすじ◆
トルコとフランスを結ぶ豪華寝台列車オリエント急行。雪崩で脱線し立ち往生してしまった車内で、富豪のアメリカ人男性が殺される。乗り合わせていた探偵ポアロは鉄道会社の依頼で密室殺人の捜査に臨むが、乗客全員に完璧なアリバイがあった。

ベテランの役者勢が顔を揃えて演技合戦と言う面白さも然ることながらあの時代を描く映像美が素晴らしかった。

イスタンブールの喧騒さえも美しく感じてしまう美術は見応えが十二分にあった。

そして色彩に溢れたオリエンタル世界を抜けた後の映像の転換。
一気に色の無い凍てついた中にオリエント急行の内部だけが色彩を保ち乗客の服や髪の色、瞳の彩光、化粧、食器や食事の輝きなど正直字幕では無く吹替えで観たいと思うくらいに映像に見せられてしまった。

ポアロが解き明かして行く過程での犯人の心情が強く伺える内容に胸中がざわめく。

喪失感や嘆きが生むものは計り知れない。