『斬、』
◆あらすじ◆
250年にわたって続いてきた平和が、開国か否かで大きく揺れ動いた江戸時代末期。江戸近郊の農村を舞台に、時代の波に翻弄される浪人の男と周囲の人々の姿を通し、生と死の問題に迫る。
塚本晋也監督の作品はファンも多く評論家の評価も高いのだが何故か惹かれず前作の『野火』もスルーした。
で、新作『斬、』が丁度観たい作品の前に観られそうだったので観てみたのだ。
うーむ。
うーーむ。
うーーーむ。
なんか、グザヴィエ・ドランの作品を観た時と同じ感覚になった。
ドラン監督もずっとスルーしてて、でも1度は観てみないとって足を運んだがやっぱ苦手だった。
今回もそんな感じ。
批評家の文を読むとどうやら監督の魅力を凝縮した80分らしい。
いや、80分で良かった。
其処は監督も考えての尺なのだろうが…。
あの映像熱で120分はツライやね。
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暴力に対する非暴力の図式。
人を切る事への抵抗感をどうしても拭えない侍としての自分の資質を疑いながらそれを打ち消すように江戸に向かう事を口にする。
しかしいざ江戸へとなると身体がそれを拒否する始末。
何故武器を持つのか?
何故簡単に人を殺めるのか?
自分の刀は暴力の連鎖を生むためのものではない。
言うなれば【反戦映画】の様を呈してるのだ。
人を殺す事を強い、それに慣れてしまう【戦争】。
争う事でしか事を進められない。
戦う事でしか事を解決出来ない。
大義や正義の名の下ならいいのか?
寧ろ【悪事を働く奴に非道を働き金品せしめてる】無頼の輩達が可愛いくも見えてくる。
中村達也の無頼ぶり逸品!
池松壮亮演じる杢之進の思慮深さや優しさが本来の在る姿の筈なのに…あの結末の先に何があるのか?
いや、もしかしたら何も無いのかも知れない。
唯、在って欲しいのは【流されない自分の正気】だ。
とにかくそこに監督流のエロティシズムが挿入されて濃いアート時代劇みたい。
それにしても蒼井優のエロい事よ。
個人的には殺陣のスピード感とカッコ良さが好きだ❣️
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