映画感想『悪なき殺人』
原題「仏 SEULES LES BETES/英 ONLY THE ANIMALS」
別題「動物だけが知っている」(東京国際映画祭)
人間の愚かな出来心が招く凶事をこんな風に見せてくれるとは思わなかった。
思いもよらない形で人は繋がっているんだと、そしてその何処かで何かが起こればその歪みの余波は何かしらの形で自分にも到達する。
点が線で繋がっていく演出、次は何?と期待と興味が次々と湧いて来る。
清廉潔白な聖人なんて居ないがそれでも自らの行いで避けられる禍いはあるはず。
「動物だけが知っている(ONLY THE ANIMALS)」と言うコンペティション用の別題が嵌まる。
監督のドミニク・モル曰く、原題には「動物のみが愛せる形で主人を愛する」という意味があるのだとか。
人間だけが"生"や"種の保存"或いは"純真な愛"以外の欲望に心身を投じる事を思えば劇中何度も登場する"犬が吠えるシーン"はとても象徴的だ。
貧困やマイノリティ、ネットの恐怖など社会背景を盛り込みつつ、様々な立場からの共感も反感も覚悟した監督の想いは感じられる。
欲望の闇
偶然のループ
【人間は偶然には勝てない…】
まさにこのサブタイトル通りに最後まで描かれるがラスト真犯人が露わにする利己的な欲望の気持ち悪さにゾッとした。
執着の果てに人間に宿るおぞましさだな。
まぁ「やり過ぎじゃね?」な感想もありそうだが人間の営みの中に"無知な悪"なんてそこら辺に落ちてるからなぁ。
クワバラクワバラ・・・。
2021/12/07
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