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『バイス』

原題「Vice」

◆あらすじ◆
1960年代半ば、酒癖の悪い青年だったチェイニーは、後に妻となる恋人リンに叱責されたことをきっかけに政界の道へと進み、型破りな下院議員ドナルド・ラムズフェルドの下で政治の裏表を学んでいく。やがて権力の虜になり、頭角を現すチェイニーは、大統領首席補佐官、国防長官を歴任し、ジョージ・W・ブッシュ政権で副大統領の座に就くが……。


【VICE】には「〜の代理」の意味の他に「悪徳、悪習」なんて意味もあるんだけどこの作品はこの両方の意味をしっかり踏まえてて面白かったわぁ!

日本ではまぁ作れない映画だろうな。

実在の大物実力者をこんな風に描いちゃうのねぇ!と始終笑えるし『ボヘミアン・ラプソティ』並みに主要登場人物の擦り合わせが要らないソックリさんのオンパレード。スティーヴ・カレルのラムズフェルドなんてもうラムズフェルドにしか見えなくなるよ(笑)

「あっ、ライス居る」とか「パウエル来たぁ!」とか直ぐ判るレベルで説明いらないの凄い。
息子ブッシュのお言葉シーンは大好きなサム・ロックウェルの顔がアホ感満載のあのブッシュで(或る意味ガッカリだけど)感動した。

観終わった感想は「この男、何してくれとんねん!」だったな(笑)

しかし、クリスチャン・ベイルは素晴らしかったわ。
巨漢の人の動きとか声の出し方とか独特の表情とかもね。

それとアメリカが滅亡するまで続くだろう議論【暴力vs非暴力】【銃規制か否か】【リベラルvs南部に蔓延る偏見】等々…
ヤられる前にヤれ的なのも自分達が作ってきた歴史の中で生まれたんだろっての。

オバマでリベラルに傾いた大国が再び掲げられた【アメリカファースト】の理念に危機感を感じてるわけで。
増える銃乱射事件やヘイトクライム…
繰り返されようとしてる悪歴史を目の前に「さぁ、どーしますか?」って事なんかな?

この作品の魅力はスクリーン上の最後の最後まで楽しめるとこ。
チェイニーはフライフィッシングが趣味なんだけど彼が【毛鉤】で、釣り上げたものは何ですか?みたいな演出に結構笑えたのはアタシだけだろうか?

ブッシュの裏にチェイニー…その裏にはあの妻がっ!
ダメダメ亭主をあそこまでにした女の意地。
時代が時代なら彼女はどうなってたのか?
あの妻じゃなかったらチェイニーは違う者になってたね。

アダム・マッケイ監督『マネー・ショート 華麗なる大逆転』で得た経験を充分に活かしてると思うわぁ。

本当にヤバイよこの映画!


※最後まで席を立たないで下さい。


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