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大企業での心理的安全性導入実践事例

ZENTechの広報担当、松本瑚子(Ze松本)です。
今回は、ZENTechの心理的安全性マネジメント講座を修了されたH.AさんとM.F.さんに、ZENTechの萩原寛之(Ze萩原)と三浦佳恵(Ze三浦)と一緒にインタビューさせていただきました。
大企業でどのように心理的安全性を活用していったのか、事例を詳しくお聞きしました。

心理的安全性認定マネジメント講座とは

変化の時代に対応できる「学習し成長できるチーム」へ変わるために重要な「心理的安全性」について学ぶ、全5回・各回2時間45分・トータル3ヶ月間の講座です。
詳細はこちら↓
https://zentech.jp/lp/psychological-safety

H.Aさん:H.Aと申します。私は、大手化学系メーカーの研究開発部門で課長を務めております。本日はよろしくお願いします。

M.F.さん:M.F.と申します。私は、大手金融機関にバブル入社、人事部等内勤勤務を経て、現在不動産関連業務のグループ会社に役員として出向中です。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

心理的非安全な職場に対する危機感

Ze松本:どのようなきっかけで心理的安全性認定マネジメント講座を受講されたのですか?

H.Aさん:私は、研究職として、新しいことを発見し、チャレンジしていかなくてはならない環境で働いています。しかし、研究開発にも納期があるので、期日までに完成できなかったメンバーに対して「この期日までにやると言っていただろ」というコミュニケーションをしてしまっていました。そんなマネジメントが行われていたので、怒られるから相談しなくなるということが私の部署でも起こっていました。「これは心理的安全性を導入していかないと、この先まずいことになるな」と思い、受講を決めました。

Ze三浦:その状況が続いていたら、今どうなっていたと思いますか?

H.Aさん:新しい研究者の方々は、ベテランでは見えない世界を見ることができると思うんですね。なので、このままの状況が続いていたら、新しい種を潰してしまうことになっていたのではないでしょうか。そんな危機感を持っていましたね。

Ze松本:M.F.さんはどうですか?

M.F.さん:私が勤めている会社は、ダイバーシティーをすごく標榜している会社なので、いろんな方を採用しているのですが、インクルージョンは十分ではないんですよね。新しく入ってこられた方から「意見が言いにくい」や「同調圧力が強い」という声があったので、この心理的非安全な環境をもっと変える必要があるなと思い、受講を決めました。

Ze三浦:お二人とも長くお勤めなので、時代の変化も感じてこられたと思うのですが、「心理的安全性」という観点から、会社の文化はどのように変わってきていると感じていらっしゃいますか?

H.Aさん:逆に、会社の文化が変わってきているなとはあまり感じていないですね。柔軟に変わっていかなければいけないと思ってはいるのですが、時代についていけていないという危機感がありますね。

Ze三浦:会社の文化がずっと変わらないと感じている中で、みなさんが変えずに大事にしていらっしゃったことは何でしょうか?

H.Aさん:これまで使ってきた手法や「こういう考え方だよね」という暗黙のルールでしょうか。それが、「文化」なのかもしれないですね。でも、実際にその考え方でやってみても、マネージしきれなくなってきているんだけども。そのまま振舞っているのが続いてる状態です。

M.F.さん:外形的な人数などの構成要素はダイバーシティーになってきているし、会社の中で「心理的安全性」という言葉自体も出るようになってきたのですが、中間管理職が粘土のように固まっていて変わらないんです。トップは、いろんなことを見ているから「変わらないといけない」ということはわかっているし、下の層は「変わることが当たり前だ」とわかっているんです。でも、中間管理職は一番変わりづらい。心理的安全性を謳うのは、彼らにとっては居心地が悪いんです。会社としては全体的に変わってきてはいるものの、メインを握っている中間管理職やその上の方が、変わろうという気がないように感じます。

Ze三浦:お二人とも変化を感じたというより、「変わらないもの」に気づいていらっしゃったんですね。

Ze萩原:中間層の人たちは、自分たちが脅かされたくないのかも。

M.F.さん:やっぱり皆さん怖いんだと思うんですよ。だから、中間管理職の人たちこそ、心理的安全性が欲しいのかもしれない。

講座内グループワークで実践力を深める

Ze松本:実際に講座を受けてみて、最も役に立ったところはどこでしたか?

M.F.さん:一番役に立ったのは講座内グループでの演習ですね。講座で習ったことを自分事として当てはめ、尚且つ、それを自分で試行錯誤してみないと、やっぱり自分のスキルとして身につかない。この講座は演習がセットなので、そこに意味があるかなと思いました。

H.Aさん:講座内のグループワークは結構よかったですよね。みなさん職種が違うので、ケースが異なるじゃないですか。異なるケースから共通したものが見えてくると、さらに理解が深まるというのはありましたね。

行動へのハードルを下げる心理的安全性

Ze松本:講座を受けてみて、ご自身の変化はどのようなものがありましたか?

H.Aさん:「まずはやってみよう」と思えるようになりました。心理的安全性の背景にあるのは、「正解が見えないものに対してどう向かっていくか」ということだと思うんですよね。これまでは、考えて考えて、理詰めで向かっていくことを割と意識していたのですが、この講座を受けてからは、どんどん試してみるということを意識するようになって、上手くいかないことがあっても、「そこからどう改善していくかをみんなで考えよう」というようになりました。

Ze三浦:講座を受けたことによって、H.Aさんの挑戦因子が増えたように感じたのですが、それによって、チームに波及したことは何かありますか?

H.Aさん:会議で、「完璧な状態ではなくてもいいから、材料だけ持ってきてごらん」というコミュニケーションが少し定着したかもしれないですね。チームメンバーも、自分で考えて、完成形を提出しなければならないという苦しみから、「こんな材料でどう組み合わせたらいいかわからないので、相談に乗ってくれませんか?」というコミュニケーションに変わっていきました。

M.F.さん:私は、人に対してアプローチするハードルが下がりましたね。以前は「私のことは自分でやるから、他の人はどうぞご勝手に」という感じだったのですが、講座を受けてからは、他の人にも少し手を差し伸べるようになったかなと思います。

大企業での心理的安全性導入実践事例

Ze松本:講座で学んだことを、どのように現場で実践されていったのですか?

M.F.さん:ダイバーシティーを会社としての成長に結びつけるために何ができるかについて議論をするコミュニティで、いろんなもやもやを吐き出そうという会がありました。そこでちらっと心理的安全性の話をしたら、みなさんすごい食いついてきたので、講演会を二回行いました。出向先では、ビル管理業務に従事しているコテコテの男性職場のメンバーに、心理的安全性についての講座を実施しました。

Ze松本:講演会はどんな反応がありましたか?

M.F.さん:ダイバーシティーのコミュニティではとても反応が良く、心理的安全性向上に向けて自分から動くようになった人もいました。出向先での講演は、一方的に話すだけで終わってしまったので、これからどうなるのか、種をまいている感じですね。

Ze松本:種まきをして、これからどうなるのか楽しみですね。

M.F.さん:そうなんですよね。上から下への命令系統がしっかりしている職場だからこそ、新人が目の前の穴に気が付いていても、上の人に言えなくて、穴に突っ込んでしまうということが多くて。そこだけでも何とかできればと思いました。

Ze松本:H.Aさんはどのようなことを実践されましたか?

H.Aさん:私は、マネージャー陣に対して「メンバーだけで話す機会を作ってもらおうよ」と声をかけ、そのような場を作るようにしました。3ヶ月程経ち、少しずつその進め方が定着してきています。

Ze萩原:僕もそうだったのですが、「このままではいけないけど、このやり方しかわからない」といった感じでマネージメントしてしまうことはよくありますよね。「自分もパワーマネジメントされてきたから、部下にもパワーマネジメントする」みたいな。

H.Aさん:確かに、「他のマネジメントの仕方を知らない」というのはありますよね。

Ze三浦:元々、私は銀行に勤めていて、組織を変えることの難しさを経験しました。何かやりたいと思っても、「それは何の意味があるの」「それをやってどうなるの?」と、いろんな圧力の中で身動きが取れない状態になり、道半ばで私は退職しました。お二人は大企業に勤めていて、きっとそのような重圧もあるのではないかなと思うのですが、それすらも凌駕する熱源をお聞きしたいです。

M.F.さん:何をやるにしても理屈が必要になり、提案が全然通らない感じ、とてもわかります。正直、女性活躍推進を担当している時、一回諦めたんですよね。散々痛い目に合い、「もう無駄だわ」と。でも、出向した小規模なグループ会社では、いろいろやってみたらできたんですよ。であれば、「できる範囲で勝手にやればいいんじゃないか」と思ったんですよね。自分ができることをやって、それが結果的にどこかに種付けばいいなという気持ちで。

心理的安全性で持ち球を増やす

Ze松本:この講座をどのような方に受けてほしいなと思いますか?

H.Aさん:割と正義感や責任感が強く「自分で何とかしなくては」と思っている人がこの講座を受けると、自分が持っている荷物を少し降ろしながら、仲間を巻き込み、 カチカチではない組織を作っていけるのではないかなと思います。おそらく、誰も意地悪をしたくてハードなマネジメントをしているわけではないと思うんですよね。コミットメントに対する覚悟や責任感を、携わるメンバー全員でシェアして、多くの目で高め合うことができる組織にする。そのために、個々のメンバーが互いの視点に立てるような仕掛けを学ぶことが重要だと思います。

Ze松本:M.F.さんはいかがですか?

M.F.さん:心理的安全性は本を読めば理解できると思うのですが、「じゃあどうすればいいの?」と疑問を持った方が参加するといいかなと思いました。実践力が付くと思います。
また、この講座は、人と接する上で必要なことを教えてくれるので、会社以外でも、一生使えるお得なスキルですよね。

H.Aさん:持ち球、引き出し、武器が増えますよね。直球しか投げられなかったのが、カーブも投げられるようになるみたいな。

Ze三浦:大組織のしがらみがある中で、「できることからやっていこう」というお二人を尊敬します。心理的安全性をもっと早く知っていたら、前職でも、まだできたことがあったのではないかと思います。

全員:ありがとうございました。


<松本コメント>
お二人のお話を聞き、組織で働く一人の人間も、会社も、「変わる」ということの難しさを感じました。大企業の、あらゆる違和感を一気に変えることはできなくても、自分の周りから少しずつ整えていけば、それが全体に波及していくのだと思います。学んで、実践して、持ち球を増やしながら臨んでいくお二人の姿はかっこいいなと感じました。

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