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「多様な雇用創出で障がい者支援をするゲストハウスオーナーの鎌倉武士」後編 i-link-u(アイリンクユー)代表 高野朋也さん

前編より続く

●ゲストハウス彩(イロドリ)のダイバーシティについて

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三木:後半はこの彩の多様性、ダイバーシティについて色々お話を伺っていきたいと思います。ユニーバサルトイレがあったりとか、働いてる方も障がいを持たれてる方もいらっしゃると思うんですけど、この間も小畑さんが来てリフレクティングトークというかオープン大学の…

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高野:そうです。オープン大学の。

三木:会合をさせていただいたりとかして、結構色んな地域の人が集まるコミュニティになってきてるんじゃないですかね。

高野:そうですね。無理に作ったコミュニティっていうよりかは本当に近くに住んでる人達みたいな、すぐそこは由比ヶ浜通りっていう商店街とか色々あるんですけど、ここは本当に周りに住んでる人ばっかりなんですけど、最初始めた時「こんなところで宿泊所とかやられたらどうしよう」みたいな不安な声とかがあって。

三木:説明に行ったんだ?

高野:そうです。ここら辺200世帯くらい同じ自治会があるんですけど、「そこに挨拶したほうがいいよ」って有風亭の鎌倉で37年ぐらい人力車をやられてる方からアドバイスを受けて、「100%やっていいよっていう話は全然なくて、たぶん50%か60%かもしれないけど、でも挨拶したほうがいい」って言われて、手紙を書いたりとか。民泊とかゲストハウスって社会的にモラルの問題だったりとか住民にとったら訳の分からない人が来るみたいな感じで不安だったと思うんですけど、その中で始めましたっていう感じだったんです。

三木:最初の頃の反応はどんな感じだったんですか?

高野:そこはすごい小道なんですけど、消防車が入れないところで、古民家があるからいまだに開通してない道なんですけど、近所の人に「ここはただでさえ狭いのに車いすの人とか通ったら迷惑でしょうがねぇよ」って言われたりとか。

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でもやろうって決めたので取りあえずやっていこうと思って。始めて6ヵ月ぐらいは商店街の組合に入って自治会にも入ろうと思ったんです。だけど「ここは商売だから自治会には入れないよ」って言われたんです。

三木:そうなんですか?

高野:最初言われちゃって、僕ここに住んでたんです。なのでどうしようかなと思ってたら、近所のキーマンとなる70ぐらいのおばあちゃんがいて、僕達がここで工事してる間カフェになると思って楽しみに待ってたら「何だよ、ゲストハウス何だよ」みたいな(笑)。その人がちょくちょく遊びに来てくれて。

三木:「ゲストハウス、何だよ」ってクレームが来た(笑)。

高野:そうそう。カフェだと思って…

三木:カフェはOKなんだ。

高野:そうそう。カフェでここでお話とかしようと思ってた。でもその人は韓国から嫁いだおばあちゃんだったんですけど、すごい近所の顔役みたいな人で色んなところで「あいつ頑張ってるから」みたいに言ってくれて、そしたら自治会長の人が「最初は断ったんですけど、入ってくださいよ。この格好で防災とか火の用心とかしてくれたら全然それでOKだ」って。

三木:そうなんだ。今はその格好でやってるんだ?

高野:はい。だから自治会のセコムみたいな。

三木:この間のテレビとかも見たんですけど、今障がい者の方はお二人一緒にやられてるんでしたっけ?受付とか。

高野:そうなんです。実は今ゲストハウスは40何人ぐらい関わってるんです。

三木:ボランティアみたいな?

高野:学生の時に関わってた子達がいまだにたまに来てくれたりとかっていうボランティアさんとか、障害者手帳を持ってる人で受付をやってみたいとかツアーで歴史に自分は詳しいから歴史を話したりとかそういうイベント事だったら絶対参加するとかいう人もいれば、台湾からインターンで大学生が来たりとか。

三木:インターンでここにこれを学びたいみたいな感じですか?

高野:そう。観光とかプロモーションとかマーケティングとか勉強したい人とかがゲストハウスとか新しい泊まる形を勉強したいみたいな感じで申し込んでくれたりとか。去年の2月は4人ぐらい台湾にいた学生が来てくれたりとか。先月まではデンマークのインターンの人もいたりとかして。

三木:インターン。それも新しい観光の形を作りたいみたいな?

高野:場所が好きになってくれたっていうのもあると思うんです。シニアっていう形で60歳以上とか上は74歳ぐらいまでなんですけど、ここの掃除ハウスキーパーで関わってくれたりとかしてる人もいて。この縫物とかもシニアの人がやってくれてて、今僕甲冑の作り方とか教えてるんですけど、あと6領ぐらい作りたいなと思って。

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三木:基本的にボランティアの人達がかなり関わってくれてる?

高野:そうですね。有償ボランティア、無償ボランティアもいればアルバイトとかもいて、ぶっちゃけこのゲストハウスは少ないので粗利率はいいんですけど、良い時じゃないとそんなに人が雇えないっていうところがあって、まだ1件回してるだけだと障がい者の人が自立するだけの給料とかっていうのはまだまだ先のことなんですけど、でも一生懸命やりたいことをベースに職域を広げたりとかこういうことができるっていうのを今発見してる感じですね。

●ゲストハウス彩の今後の展開について

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三木:ゲストハウス以外にどういうことをやっていきたい感じですか?ここを中心にどういう展開がありそうですか?

高野:たぶん4月から通信制の高校の1年間のカリキュラムに関わることになって。僕のやってるユニバーサルツーリズムっていう障がいとか病気とか国籍に関わらずその場所を旅を通して楽しむっていうものを高校生と一緒に1年間作ってみて、それで地域の調査をしたりとか移動に困難さがあったりとか言葉に困難さがあったりとかっていう人達をおもてなしする。たぶんそれってすごい人間力を高めるし、あと人と人との壁があるとしたらそれを超えていくっていうプログラムになると思うので、僕最初そういう教育畑にいたのでまた関われるようになると思ってなかったのですごいいいきっかけだなって思うし、なかなかそういうことを「いいことだね」って言ってても学生向けに本当に…

三木:できるプログラムってないもんね。

高野:そうですね。グローバリズムとかは結構すぐいいんですけど、ユニバーサリズムとかそういうものって「それはボランティア活動かな」とかって結構あるんですけど、僕は多くの人が学べるコンテンツでプログラムにすればもっと日本の世の中が良くなるんじゃないかと思って、そういう意味で伝道師とかエバンジェリスト的なことをしていきたいなと思っています。だから僕がこれを起業してみて思ったのは例えば今回コロナウイルスとかでお客さんがちょっと少なくなったりとかオリンピックがどうなるか分からないっていうところで、外からのお客さんっていうところで考えてるとビジネスモデル的にはちょっと弱いのかなって思ったりして。でもそれでも例えば予算が税金とかっていうよりかは自分達で工夫して稼ぐとか自分達で価値を提供してその市場に値段をつけてもらうとかそういうところを挑戦したいので、連続起業じゃないですけど、宿をやった、レストランをやるとか服飾をやるとかモノづくりをやってみるとか、そういったところに今まで社会に働くっていう意味で参加できなかった人達のどんどん可能性を広げていきたいなって。

三木:大野さんもそういうことをおっしゃっていて、やるんだったらちゃんと稼げるモデル、ボランティアっていうか働かしてあげるんじゃなくてちゃんときっちりと稼いでもらうっていうことを前提に色んなLGBTの人達を採用していきたいっていうことで、逆にその人達が働いてることで大野さん達が得ることも多いらしいんですよ。気づかされることが。それも学びになるとか。

高野:そうなんですね。めちゃくちゃいいと思いますよ。目の見えないスタッフとかがいてくれてる時とか特に来てくれたお客さんはめちゃくちゃ喜ぶんですよね。こんな働き方があるんだみたいな。宿としたら設備をキレイにしなきゃいけないとかアメニティを整えるとかそういうところにいくんですけど、そういう人達が関わることによってお客さんがすぐファンになり出すんです。だから熱烈なファンが結構いて、いまだに手紙を海外から送ってくれたりとかしてるので。

三木:その熱烈なファンの中に今の奥さんがいらっしゃるとか(笑)?そういうことも差し支えない範囲で。

高野:ちょうど2年ぐらい前ですかね。

三木:2年前にこちらにお泊りになった方が?

高野:台湾の。泊まりに来て、その時は何でもなかったんですけど、でも僕も中国語を勉強したかったし、彼女は日本語を勉強したかったしみたいな感じで。

三木:それで何回かこう…

高野:そうですね。2回ぐらい行き来して。

三木:向こうにも行ったりとか?

高野:そうですね。この格好で。

三木:その格好で台湾に(笑)?飛行機にそれで乗ったんですか?

高野:一応検査されるじゃないですか。その時はこれを手荷物にして、見てるところで脱いで「これ大丈夫ですか?」って。「これもちょっと取って」とか言われて。

三木:台湾の町をそれで歩いた?

高野:そうですね。

三木:どのようなご反応だったでしょうか?

高野:面白がりますね。向こうのご両親も喜んだというか驚いたというか大丈夫かなと。

三木:それでどれぐらいお付き合いしてご結婚されたんですか?

高野:8ヵ月ぐらいですかね。何て言うんですかね。ストレートですよね。

三木:ストレート。表現が?

高野:うん。日本人の女性よりかはもうちょっとストレートで、怒るとすごい怒ってるけど次の瞬間忘れてる。

三木:うちの奥さんもそんな感じです。日本人ですけど。あんまりそこに後に引くものがないみたいなね。機嫌が直れば直るみたいな。

高野:そうですね。家族のことをすごく大事にしてるし温かいなと思って。

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三木:今は材木座にお住まいなんですよね?僕も材木座なのでご近所で。

高野:三木さんの家の近くで。海まで30秒ぐらいです。

宇都宮:材木座でも鎧を着て?

高野:そうです。どこに行っても目立つので。

三木:自転車で通ってるんですか?

高野:そうです。

宇都宮:馬じゃないのね。

高野:馬の活動もやってるんですけど、まだそれまでの経済力がないので。経済力っていうか馬を飼えるぐらいのコミュニティの余裕がまだ鎌倉には戻ってないかなと。

三木:このzenschoolの卒業生で馬のNPOをやってる方がいますので今度紹介します。

高野:僕も鎌倉の馬のNPOの理事をやってるんです。

三木:そうなの?じゃあ同じところかもしれないですね。

高野:KAMAMMAじゃなくてですか?違います?

宇都宮:大海さんって分かります?

高野:分かります。絵里佳さん。

宇都宮:お知り合いなんですね。

高野:そうです。絵里佳さんもここの掃除を手伝ってくれた。

宇都宮:先日zenschoolを受講されて。色々つながってますね。

高野:一緒に御殿場のファームまで行ったりとかして。大海さんの活動も僕が鎌人いち場でお祭りしてる時に僕達のスタッフに障がい者の人とかいたので、ホースセラピーやってたからみんなで参加してみようみたいな感じで行ったら、大海さんも「え~あんなに喜んでくれると思わなかった」って言ってて。

三木:つながってますよね。マインドフルシティですからね。

高野:そっか。やられました。そうでしたね。

三木:この彩の活動も高野さんの活動も非常に重要なマインドフルシティの要素なんですよ。なので今日は取材させていただいたということで。

高野:素晴らしいつながり。

三木:そうなんです。まず多様性っていうこと、コミュニティっていうこと、そこから生み出される色んな文化とかベンチャーとかをどんどん盛り上げていきたいので。

高野:全部当てはまってますね。

三木:もう何でもありみたいな。

高野:彩(イロドリ)っていう意味もカラフルっていう意味で、アルファベットで書くとIRODORIでどっちから読んでもIRODORIなんですよ。Iが人みたいでこうなってるんです。

宇都宮:それは気づかなかったです。

三木:外国人も覚えやすい感じ。IRODORI。

高野:でも「どういう意味?」って聞かれてなるほどなと思って。家はいたってシンプル、ただ古いだけなんですけど、人が色で重なり合ってっていうこういうイメージですね。

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宇都宮:それはペインティング?刺繍?

高野:これは鎌人いち場っていうお祭りで10mの麻布に、参加する人達で色を塗ってもらって、これははぎれなんですけど、コースターとかクラッチバッグにして売りに出して一応全部完売したっていう感じです。こういう色んな色同士が遠慮することなく重なり合えればいいなみたいな。

これが彩っていう名前になったきっかけですね。

三木:そうなんだ。彩の未来はこれからどうなっていく感じですか?

高野:世界観ってWhyとかが大事だと思ってて、あと誰っていうところが大事で、そうすると提供するものとかどういう風にやるかっていうのは自ずと決まってくるので、そういうみんながいられてみんなが関わられるような世界観を共有できてて、そこでやりたい人が何かやるっていうところだと色んなサービスとか色んなものが生まれるんじゃないかなと思って。

三木:彩の場合はなぜこの事業をやってるんですか?高野さんの場合はどうですか?

高野:僕は日本ってすごく息苦しかったと思うんですね。

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三木:満員電車に乗ってこうなりながらビルの中でカチカチしなきゃいけないみたいなね。

高野:良い学校に行かなきゃいけないとか、良いメーカーに勤めなきゃいけないとか、良い企業に行かなきゃいけないとか何かそういうレッテルがあったりとかしていて、僕はそういうところで人って幸せなのかなと思って。

三木:もっと肩の力を抜いていこうよみたいな?

高野:うん。何でこんなに勝手に命を落とす人が多いんだろうみたいな、自殺者の数が多いって息苦しさの延長ですごいもったいないなと思っていて。その源流は例えば障がい者の人が一緒に学べないとか、一緒に関わったりとか一緒に働いたりとかしてないっていうそういう、二極面で良い悪いとか正しい正しくないとか優れてる優れてないとか、そういうあんまり幸せにしないような、2つのカテゴリーで済ませようとしてるところがあんまり豊かじゃない。もうちょっとファジーなところとか地球そのものも全部入れちゃっていいと思うんですけど、そういうものを無視してるから居心地が良くなかったりとか。

三木:切り分けちゃってるんだよね。この世界とあの世界みたいな。これは違ってこっちはこうやってますみたいな。そうじゃなくて滑らかにつないでいく世界観が結構重要で。

高野:ゲストハウスっていうのはそれが壊せると思ったんです。

三木:確かにね。色んな人がここに集まって来るしね。

高野:泊まりに来てた日本人がたまたま来た海外の人と僕がサポートすることによって会話が成り立ったりとか、たぶん普通のホテルとかだと別々のところに泊まってて重ならないんですけど、ここだと重なるんですよね。

三木:みんなで語り合いとかね。

高野:分断から協調とか、色々な摩擦のある国々の人達が普通に香港のことを話したりとかカタルーニャのことを話したりとか、きれいごとで言ってしまうと友達になれば、そういう良い悪いとかじゃなくてもうちょっとお互い理解しようとか、もうちょっと言葉を交わそうとかっていう動きになるので、ゲストハウス彩っていうのは、そういう可能性の発信ができたらいいなと思って。

三木:もうすでになってますね。ここがなかったら僕はこの間イベントに参加して障がい者の方とか色んな国の人とかと交流する機会がなかったわけだし、そういう意味ではすごい重要な地域の役割を担いつつあるんじゃないですか。ホテルとも違うしね。

高野:そうなんですよ。色々ポジショニングを作ってみて泊まるってどういう行為なのかとか、リッツカールトンは超高級でどういうポジションにあって、普通のゲストハウスはこれで、彩はどこなんだろうみたいな色々探して、人が魅力になるものが一番いいんじゃないかなと思って。

三木:人が魅力っていうところを一番の売りにっていう?

高野:そうですね。観光っていう日本の字も好きで、光を観るって書くんですけど、人が魅力で人が光でその人に会いに来るみたいなそういう観光だったら。この間日本が心配になってコロナウイルスの時に来た人もいて、その人は本当に日本が大好きで「日本の友達に会うためにわざわざ大量のマスクとプレゼントするための液体ジェルを持って来たんだ」って言って。

三木:すごいね。

高野:それって人が魅力で来るわけじゃないですか。それでいいんじゃないかなと。

三木:それでいいんですよね。それが一番。

宇都宮:じゃあ和海庵もそういう感じで…

三木:そうですね。僕のお家を和海庵って命名してるんです。スタジオにしててそこで色んな対談をしてるという。

高野:ぜひ今度行ってみたい。

三木:ぜひ遊びに来てください。

●高野さんの考える「日本の○○の未来」に対する想いについて

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三木:皆さんに最後に同じ質問をしてるんですけど、○○の未来みたいな、○○はご自身で入れていただいて。

高野:人が魅力の未来。

三木:その心は?

高野:やっぱり人って可能性がたくさんあると思っていて、それは誰よりかは優れてるとかではなくて、こういうことをやりたいとかこういう風に生きてきたとかこういう風にやりたいとかっていうところで、人は自分のなりたいものになれる。そう思った瞬間に。人生をあきらめなくていい生きていけるようなそういう社会がいいんじゃないかなと思って。なのでゲストハウス彩っていう今の活動を通してもそうなんですけど、これからもそういうことはずっとやっていきたいなと思っています。これはカメラ目線でもいい?

三木:大丈夫です。最後にちょっと英語で「コロナウイルスが明けたらみんな来てね」ってPRしてください。「大丈夫だよ」って。

高野:Hello. You know, corona virus is really caused a lot of problem here in Japan and all over the world. As corona finish in next spring month, I think so, so you can come back anytime. See you.

三木:Please come to mindful-city Kamakura. Thank you. And Irodori House.ありがとうございました。

高野:かたじけない。

対談動画

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