MMS161_東山さん

「東大阪の町工場の女性社長が、町工場経営者を元気にする秘密のバーを開店」(株)エストロラボ 代表取締役 東山香子さん

●ご挨拶と出演者紹介

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 三木:マイクロモノづくりストリーミング第161回本日もスタート致します。本日はエストロバーという新しいサービスを始めました東山さんのほうに色々お話を伺っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

東山:よろしくお願いします。


●自己紹介と会社紹介

三木:今本業のほうをどんなことをやっているのかというのを簡単に説明していただければと思います。

東山:本業は細穴放電加工を専門にやっていて、直径3mm以下の穴を金属に開ける仕事をしています。本当に機械4台の町工場です。

三木:それが細穴屋エストロラボ。

東山:はい。屋号が細穴屋でエストロラボは会社名でやってます。

三木:従業員は何名ぐらいいらっしゃるんですか?

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東山:今10人です。ちょっとずつ増えて。

三木:以前ガイアの夜明けでも取材されたんでしたっけ?その時はどんな感じの内容だったんですか?

東山:ガイアの夜明けは町工場で女性が活躍するみたいなので、うちも女性ばかりでやっているのでということだったんですけど、その前後から男性もちょっと入れていて今は10人のうち3人が男性で。

三木:でもまだ女性が多いんですね。

東山:そうですね。

三木:東山さんは元々製造業じゃない?どういうバックグラウンドが?

東山:信楽でずっと陶芸をやっていて、一応モノを作るのは製造業ですね。

三木:何年ぐらい?

東山:10年ぐらいはやっています。陶器メーカーに勤めて“絵付け”とかを担当して、自分で作って作品を売ったりもして、元々自分で何かやりたいは思いつつ、20代か30代のうちに海外青年協力隊に行きたいという夢があったので、製陶業も3年以上という受験資格があったので3年勤めて、楽し過ぎて後7年ずっといたんですけど、29の時に合格したので仕事を辞めて行こうとしてました。

三木:行こうとしてた?

東山:合格訓練で3ヵ月ぐらい日本での時に体調を崩して行けなくなった経緯があって、その後この細穴放電加工に出会って、国際貢献じゃなくて日本でも社会貢献できるんだったらと思って起業することにしました。

三木:そんなに細穴が好きだったんですか?

東山:細穴加工はその時初めて出会って。私の祖父が鉄工所をやっていて父親が継いでこじんまりとした町工場が身近にあったので、まさか自分がその会社を作るというのは全然ライフプランはなかったですけどやってみたいという想いはあったのと、やってみようと思った年にはもう父親は会社を畳んで2年経ってたので、もし細々と続けてたらそのまま継いでたとは思います。

三木:細穴放電加工ってどういう…?

東山:放電っていう電気を放って金属を溶かすという機械なんですけど、ドリルでガリガリ削っていくよりは金属が固くてもできるという特徴があって、銅とか真鍮という棒の先からちっちゃい雷を起こして溶かしていくという機械です。

三木:どういうお客さんが多いですか?

東山:お客さんは樹脂の金型屋さんとか部品メーカーです。穴を開けるというのが基本的な作業なのでどんな用途にもなっていくんですけど、下穴であったり空気が抜ける穴とかガスが抜ける穴とか熱電対を入れる穴とか、センサーでここの温度を測りたいとかあるんですけど、それが昔より小型化していって小さい穴がほしいという需要がずっとあって、社内では100μ以上直径3mm以下みたいな領域なんですけど、どんどん0.1よりもっと下もニーズはあって、「うちは穴開けだけします」ということを今はやっています。

三木:ものすごい精密なんですね。

東山:精密です。直径に対して長さ、アスペクト比が切削だと10倍ぐらいが限界なんです。100倍とかいけちゃうので細くて深い穴が得意です。

三木:女性が多いというのは何か理由があるんですか?

東山:女性が多いのは繊細で細かい作業が向いているというのもありますし、起業の理由の1つに社会課題を解決したいという自分の欲望ですけど、問題を解決するのが好きなので、周りの友達に聞いたら働き続けられないとその当時言っていて、結婚・出産で一時期辞めたら戻った時にも働き続けた旦那さんみたいな給料はもらえないしみたいなことがリサーチしてみたら結構あったので、働き続けられる会社にしたいと思って、今女性ばかりでやることでたぶん3年ぐらいは目立つかなと思ったけど、10年経ってもいまだに言われて…

三木:今創業して10年目?

東山:13年目です。


●起業で苦労したこと

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三木:全く今まで自分がやってきた仕事と違う業種じゃないですか。リスクみたいなのは考えなかったんですか?

東山:逆にリスクとかを考える意識がなかったのでできたみたいなところがあって、今の知識があったら絶対受けてないです。女の人だけで細穴加工というアイデアを別の社長が持っていて、女の人だけでやったらウケるんじゃないかというビジネスプランに「やらないか?」というところから始まったので、今の経営やお金の計算とか色んな知識があったら怖くてできなくて、その時は出資してくれる人もいるし技術を教えてくれる人もいるし一緒に働く女性もいるので、なかなかそんな機会はないと。

宇都宮:学校とか起業塾みたいなのは?

東山:起業塾は半年経って行きました。もうあまりにも自分の知識がないので。

宇都宮:会社立ち上げてから?

東山:立ち上げてからです。大阪府がやっている起業塾で40人ぐらいのクラスに慌てて行って受講してゾッとするみたいな(笑)。受講したうちの2人だけが起業後に来てて、後の人たちは「起業するのやーめた」みたいになっていくんですよ。行政としては「リスクを分かった上でやってくださいよ」という感じで…

宇都宮:でも分かり過ぎると踏み出せないですよね。

東山:そうです。だから「やっちゃってるし」と2人で言いながら、「人を雇うということはこれだけのコストがかかるんですよ」とか「そんな今更?」みたいな感じで。

三木:創業時は何人でやってたんですか?

東山:3人です。それも2人で始めようというのが、ものを決めれないし3人だったら民主的に3人の意見が分かれるから、「もう一人雇おう」って言って固定費を…

三木:いきなり?

東山:いきなりです。だから最初から3人いて、仕事ないポツン…みたいな感じ(笑)。

三木:それで仕事はどうやって受注してたんですか?

東山:ホームページを取りあえず作って、チラシを作って配ってとか。それで問い合わされて見積もれないから…(笑)。でも修行もしたし前職のアイデアを持ってた社長に「こんなのが来たけど」って言いながら、「ちょっとまだ君たちには難しいからこれは断ったほうがいいよ」とか言われながら一生懸命やってたんですけども、最初は「これぐらいのことができたらお金をください」みたいな見積もりを書いて、成功報酬だったら出しやすいみたいなこともやってましたし。

三木:設備は最初から?

東山:2台ありました。

三木:放電加工機?

東山:はい。今もある機械ですけど新品で買って。加工機は安いので買って、工具とかも全然ないからお客さんが貸してくれたりとかしながらやってました。

宇都宮:電極とかもないの?

東山:電極は買ってましたけど、サイズとかも今みたいに揃ってなくて。

三木:1年経ってどうでしたか?

東山:1年というか3年ぐらい記憶がないぐらい忙しくて寝ないで朝から晩まで働いてたという自分の中の印象と、創業する前に日刊工業新聞とかも取材に来て、日刊工業新聞に載ったら日経に次載って、日経もたまたま関西版で取材を受けたけど全国紙に穴が空いたからそっちに載って、その後ワールドビジネスサテライトからドーって…

三木:すごい流れですね(笑)。

東山:そうなんです。だからそれも訳も分からずずっと取材を受けて、女の人3人しかいなくて機械があってというのを…

宇都宮:それが2006、2007年?

東山:そうです。もう15年までは取材がずっとあって。

三木:最初仕事ゼロの時から取材が増えて仕事が入るみたいな?

東山:でも取材が来て放映されて行列というわけには全然いかないんですけど、でもすごいインパクトがあるらしく、みんな会社名を忘れても東大阪の女の人だけの女性町工場と打ったら挙がるようにはしてたので、それで何年も経ってからというのもあるし、配り歩いたチラシの効果とか、あとは既存のお客様の口コミで徐々にという感じなんです。でもいまだに毎月くれるようなお客さんは存在してなくて、毎月細穴がいる人たちは設備されるので、まだずっと安定なんかどうやったらするんだみたいな感じです。年に何回かというお客さんが上客で必ず出してくださるので、顧客数を増やして広く浅くというのでずっとやっています。

三木:それで何年かやって何とか食べれるようになったかもと思ったのは?

東山:3年前です。

三木:3年前?それまで10年…

東山:10年はかかりました。リーマンショックがなければもっと早かったと思いますけど、リーマンショックがでかくてびっくりする売上でした。

三木:それは何か融資で回してたんですか?

東山:そうですね。資金繰りとかできなくなって「お金を貸して」と言っても貸してくれないし、機械を買ったりして設備投資のお金入れたりとか増資とかもしました。株の分割もして友達でも買いやすいように。

三木:周りの町工場の社長から?

東山:その頃は本当に初期の頃でそんなに知り合いがいないので、友達に売るために1株10万円を1万円に下げて、だからやたら株主がいる。でも同級生はそんなに出さないから親の友達とかに「こんなことやります」とプレゼンしに行って300万ぐらいかき集めました。

宇都宮:すごいご苦労が…

東山:そうですね。でも一生懸命過ぎてあんまり覚えてないですけど。

三木:その後はしばらく会社に行かなくなる体制を作るという?

東山:最初からやってもらってて自分は違うことをやっているというのを理想にしてたので、どうやったら現場を離れられるかをずっと考えていて、一生懸命従業員を育ててきたので徐々に離れていけるようになったので、結局離れて何をするかと言ったら営業活動をしていて、どこかに「こんな穴を開けます」と知ってもらうことが社長の仕事かなと思ってメディアに出たりもするし、メディアに出ると本当に全然関係ない人たちともいっぱい知り合うんですけど、そこでどんどん輪を広げていって、とにかく穴開けで困った時に思い出してもらえるように名刺に穴を開けたり色々しながらやって、現場は離せるようにはしました。

三木:営業活動を色々飛び回って?

東山:そうですね。呼ばれたら行くとか、結局メディア効果とかで講演会とかもすごい頼まれたので、そっちでも売上げ一生懸命たててました。

三木:地方の産業支援団体とかそういうのは来られるんですか?

東山:商工会議所から大学とか色々ですね。

宇都宮:色々ネットワークが広がっていく感じですか?

東山:そうですね。全然覚えれないぐらいの人数と知り合って。でも製造業の人と知り合う機会が多いので、逆にうちの事業形態を理解できる人は、広く浅いお客さんがたくさんいるというのが分かるので、「こんな加工できるところ知らない?」みたいなニーズもあって、そういうこともちょっとずつやったりしているんです。穴開け以外の。

宇都宮:製造業のそういうつながり?コーディネーターみたいな?

東山:コーディネートの仕事はしてて。ただ介護が理由で1人退職したので、その後ぐらいからこのコーディネートの仕事は介護とかとマッチングがいいと思って、そっちをどうにかしていこうかなと。今私ともう一人しかやっていないので。初め紹介しかしてなかったんですけど、「間に入ってくれ」というニーズもあって、納期調整と与信管理も。与信管理はうちとの取引があるので、私たちもお客さんに出すので相手がどういう感じかも分かっているし、モノを見たら精度のこととかも分かるので、広く作ったネットワークを生かしてできることをやったりとかはしてます。それは家でもできるかなと思っていて、それこそ女性の働きをつなぐという方向に持っていけたらいいと思ってるんですけど、図面を読むのが苦手な女性が多いというのは分かったので、好きじゃないと無理かなというのはあります。

三木:従業員の方に現場を任せて外に出かけれるようになったのは何年目ぐらいですか?

東山:黒字化してから3年後ぐらいです。

三木:それまではずっと?

東山:ほぼ会社にいて見積もりして全部やってました。ようやくイメージ通りに。平日の昼間にパソコンを持ってカフェとか行きたかったんですよ(笑)。それはもう実現しました。


zenschool関西を受講したことについて

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三木:zenschoolと出会ったのは何がきっかけですか?

東山:zenschoolは梶川社長の出会いが一番大きくて彼女から聞いたんです。

宇都宮:梶川さん結構古い付き合いなんですか?

東山:梶川社長自体は5年ぐらい前に工場見学に来てくださって。それは河原社長が連れて来たんです。大阪の営業をするのに車を出して梶川社長を乗せているついでにうちに寄ってくださって、その時初めましてで工場見学をしてもらって…

宇都宮:それで5年ぐらいの付き合いなんですか?

東山:そうです。そこからずっとお互い忙しくて、富山の何かの会で「講演して」って梶川社長が呼んでくださったんです。それで初めてフジタを見せてもらってから仲良くなって、zenschoolはその後にたぶん行かれたんだと思います。

三木:発表会にも来られた?

東山:その前に(zenschool受講された)西社長に会ってます。

宇都宮:西さんとはどういうつながりなんですか?

東山:梶川社長が「おもしろい社長がいるから」っていうので、「高野山に行くからアテンドして」みたいな感じで「はい」って言って。

宇都宮:西さんもいたんですか?

東山:西さんもいた。女性4人でそこで過ごして西社長のプレゼンの絵とかを見せられてそれが初めてです。そこから梶川社長の発表会…東京ですよね?聞きに行ってないですよ。

宇都宮:ミュージアムができてからですか?

東山:そうです。

三木:zenschoolを富山のミュージアムのオープニングイベントの時に、申し込まれる検討をされたじゃないですか。

東山:オープニングの時はまだ全然行く気してないです。

三木:何か怪しいなとか?

東山:怪しいなというか宇都宮さんを見て安心して、三木さんだけでは無理で、宇都宮さんとお話しておもしろそうって。何か製造業の匂いがするんです。安心感が。

宇都宮:(三木さんは)製造業の匂いがしない?

東山:しない感じです。製造業なんですよね?

三木:コンピューター。

東山:そんな流れから「すごい良いから行ったほうがいいよ」って言ってずっとお誘いいただいてたんですけどなかなか決心がつかず、大阪校が開校すると聞いて、会社の状態とか3日間空けれるというのが全部重なって「今なら行ける」というので行きました。

宇都宮:ちょうど去年(2017年)の夏ですよね?

東山:そうですね。

宇都宮:どんな感じですか?まだ1年経ってないですけど。

東山:どんな感じ?行った後の感じ?

三木:その時自社商品を生み出したいみたいなのがあったんでしたっけ?

東山:ないです。自社商品はもう生み出してるので、ちっちゃいロボットを。それも本当に仕事がなくてリーマンショックの時にやったんですけど、うちは細穴加工しかないので、ロボが出ててもう1個出るわけないわみたいな感じです。

三木:出るわけない(笑)。

東山:出るわけないというか、まず穴開けにそんなにワクワクしないからどうするんだろうと思って…

宇都宮:zenschoolを受講したのは何か理由というのは?

東山:理由というか掘り出すと書かれてて、何か教えてくれるんじゃなくて自分の中から見つけるみたいなのはすごい気に入って。

宇都宮:掘り出せないものなんですか?

東山:自分で散々掘り出しているというか自分で何がしたいかとか散々考えてきたと思っていたけど、人がやるともっと出てくるのかなと。自分自身でやると考え事をしていて堂々巡りする時があるんです。どうしても好みのほうに行くじゃないですか。客観性で違うのを出してもらったりできるのかなと思って、そういうのは体験したことがないので、1回コーチングとか受けておもしろかったので。

宇都宮:受講してみようと?近くですし。

東山:そうです。「何も教えません」がすごい気に入って、schoolとか書いてて「何も教えません」みたいな(笑)

宇都宮:初日に来て期待外れだとか期待通りだとかどんな雰囲気だったんですか?

三木:モヤモヤしてた感じがある?

東山:モヤモヤというか3日間ぐらいで出るのかなというのと、知り合い2人もいるし嫌だなみたいな感じです。全然知らない人のほうがいいなとちょっと思ったり、それこそ梶川社長に「普段の環境から離れて最後ホテルで考えるのがいいのよ」とか、家(自宅)やし、そういう感じです。すごい日常に戻れるしそれこそ朝行く前に見積もりとかしてから行ったりとかできちゃうので、効果が逆に近いと薄いなというのは思いながら、でもやっているうちに色々一見関係ない今までのこととかはすごい腑に落ちるというかそこからやらないとダメよねというのは思ったので。

三木:結構2日目ぐらいまでモヤモヤしてた感じですか?

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東山:モヤモヤしてました。貧乏性で3日間で絶対出したいみたいなのがあるし、でも出るのかなというのがあったので。

宇都宮:「ワクワクしない」とか言ってましたよね?

東山:そうそう。ワクワクはしない感じはあったし、3人ぐらいで食べ物食べながら話をするみたいなのが出たけど、60過ぎたらやろうと思っていたので、斬新じゃないし結局それかみたいな感じでワクワクしなかったけど、でもすぐやるという発想にはたぶん自分では持っていけなかったので、本当に老後1人でやるという感じで…

宇都宮:「今でしょ!」みたいな…(笑)

東山:「今でしょ!」っていうのは、言われてそうだという感じですね。それこそ村上さんには「客が死ぬよ」って言われて「あっ!ほんとうだ」みたいな(笑)、それはすごい「あーっ」って思いました。お客さんは年配の社長のイメージだったので、自分が60になったら何歳になるんだろうというのはちょっと思いました。


●エストロバーについて

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三木:それで始まったのがこのエストロバーですけども、基本的なコンセプトを説明してもらっていいですか?

東山:製造業の町工場の人たちでよく集まってご飯を食べたり、声をかけてもらって色んな話をするのがすごい楽しくて、気づきもあるしお互いにというのもあるので、そういう町工場の人たちが元気になるようなことはしたいと。それは経験を生かせるんじゃないかというのと、今までご飯呼んでもらって喋りながら弱音を聞く機会が多かったんですけど、町工場の人たちって圧倒的に男性が多いので、従業員に言えないことが経営者としてあるし、家族とか奥さんとかにも言えない時にちょうどいいのかなと。同性には弱音を吐きたくないライバル意識みたいなのがある時に、年上だしというのできっと分かってくれるだろうというのがあるなというのはこの10年感じてきたので、それで明日も元気にやろうと思ってくれたり、そういう考え方があるのかというようなことがあったら一番いいし、問題解決が好きなのでそこの問題が解決する助けができたら、それこそzenschoolで私も感じた客観的なことが入るという良さはあると思います。「ワクワクする時はいつですか?」というのをずっと考えてて、4人だったら楽しくないので3人までというのがあるんです。

宇都宮:人数も多くないぐらい?

東山:そのほうが濃い時間が過ごせるので、4人になるともうダメという感覚はあるので3人までの狭い狭小バーをやりたいなと。

三木:経営者専用でお客さんが3人まで?

東山:2人までです。私入れて3人なので。

三木:2人までの狭小バーというのがエストロバーということ。

宇都宮:ここでも実際に何回か開催はしていますか?

東山:そうですね。テスト的にというかお客さんの気持ちも知りたかったので、発表会に向けてモニターみたいなことはしていて、仲良しの社長たちに「こういうことをやろうと思っているけど1回来てみてください」みたいなことは…

宇都宮:それって去年の秋頃からですか?

東山:そうですね。9月~12月まで。

宇都宮:どんな感じなんですか?

東山:おもしろいんですけど、とにかく閉店時間がなくてみんな長いみたいなのが…

宇都宮:平日の夜とか?

東山:そうです。向こうに言われた日にやりますという感じで…

宇都宮:何時まで?

東山:一応「フルーツが出たら帰ってください」って言いながら、フルーツ出てから1時間2時間みたいな感じで。でもきっちり閉店時間も決まってないし、平均して5時間です。

宇都宮:すごい。5時間!?

東山:はい。お酒飲まない社長だと早く帰ったりはしますけど、そこは課題ですね。

宇都宮:5時間何を話しているんですか?

東山:食事をちょっとずつ出すので、それで食事で「これ何?」とかって話もしながら近況とか色々、だいたい3時間過ぎてお酒も回ったぐらいから人には言えない話とかが出てきておもしろくなってあと2、3時間みたいになる感じだったので。

三木:実際やってみてどうですか?

東山:実際やってみて、毎日やったら体が持たないというのがあるけどすごい楽しいです。

宇都宮:ご自身の手ごたえというか満足度というか…

東山:2人のメンバーで雰囲気がガラッと変わるので、すごい手ごたえがあるというか「ああ、良かった」という時と、もうちょっと投げかけの引き出しを増やさなくちゃっていう…

宇都宮:東山さんのほうのレベルアップが必要ですか?

東山:そうです。だからいっぱい本を買いました。傾聴力とか問いかける技術とか。

宇都宮:お好きなんですか?そういうのって。人の話を聞く技術とか…

東山:それが読んだからって身につくとは思えないけど、経営者をして人の話を聞くことがものすごい大事だって分かったので、客の話も従業員の話も。自分が思っていることを伝える技術もいるじゃないですか。両方すごいいるんだなというのは思ったので、人の話を聞くようになったらうまいこといったのでおもしろいなって思って、それで興味を持ってコーチングを受けてみたんですけども、すごい人だったからこんなに気持ち良く喋れるんだな、相手によるんだなというのはすごい分かったので。

宇都宮:問いかける能力ってこれからの時代特に必要と僕らも考えてますので。

東山:そうですね。だからその辺はおもしろいと思うし、ここに来て時間過ごしてご飯を食べて楽しいだけじゃなくて何か気づきがあったとか自分が考えてることの整理がついたとか言われたいと。そこが一番やりたい。

宇都宮:某カメラマンさんの“SOCCA”みたいなものですか?

東山:そうですね。似てるかもしれない。最近月一で会ってます。マッスー(増本さん)の会で。

宇都宮:そうですよね。マッスーがまた一期生の同級生ですよね。

東山:そうです。


●zenschoolの同期生とのつながり

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三木:他の同級生とのつながりはどうでした?

東山:元々増本社長と田中社長が知り合いだったんですけど、その知り合いだったというのも私が自分で製造業の経営者の会を作ったメンバーなんです。それは年配の社長との付き合いが多いので、同世代の人とも仲良くなりたいなと思って自分でも年4回の会を作って勉強会をしているんですけど…

宇都宮:元々作ってたんですか?zenschoolの前から?

東山:そうです。それを今もやってるんですけど、そのメンバーの2人なので、でも私がzenschoolに行くってなってあの2人も別に誘い合って行ったわけじゃないんです。

宇都宮:そうなんですか?

東山:そうです。「えっ?行くの?」みたいな感じです。みんな違うルートで。

三木:すごいね。

宇都宮:変化はありました?受講前と受講後で。

東山:仲の良さ?

宇都宮:そう。マッスーとか田中さんとか。

東山:より仲良くなった気がしています。

宇都宮:以前はそういう話はしなかったんですか?zesschoolのやったような…

東山:zenschoolの話はしてないです。zenschoolのことを知っているって知らないですから。私はオープニングの時に連れて行ったんです。「こんなのがあるから行くよ」って言ってメンバーを連れて行って、田中社長だけ何かがあって来れなくて後のメンバーは全員連れて行って、みんな訳分からないで行ってるんです。

宇都宮:でも増本さんは握手してたもんね、確か。

東山:増本さんはそれプラス美術館を見て「うわーっ」ってなったのと大熊さんは元々知り合いでみたいなところとかあったみたいで、たぶん一発目で受講を決めてるんですよ。

宇都宮:すぐ入ってました。予約が。

東山:それで私は「増本さんだよ」って聞いたけど、「知り合いか、まあいいや」と思って申し込んで、申し込んだら田中さんが「東山さんマッスー行くの?行こう」みたいな感じで。「知り合いばっかり?えーっ」とか言いながら。

三木:お互いに変わっていく有り様を見てましたよね。増本さんも変わりましたか?

東山:増本さんが一番変わったと思います。私もあんなにおもしろい人だと思ってなかったです。すごいおもしろい。

宇都宮:zenschoolの受講中は僕に詰められてた気配があって。

東山:そうですね。でもあんだけ詰められても譲らないなというのとかすばらしいと思いましたよ。

宇都宮:そんなに詰めてましたっけ?僕。

東山:詰めているというか思ったことしか言ってなかったじゃないですか。増本さんって。(宇都宮さんも)思ったことしか言わないじゃないですか。だから思ったこと同士普通だったら喧嘩になってるみたいな空気もありながらも、でもそんなに傷ついたりとかもしてなくて、言われたことに対しては「違う」「違う」と言い続けて、新商品を新しく出さなくちゃと全く思ってないから…

宇都宮:発表会の時の増本さんのプレゼンがまたおもしろかったんですよね。

東山:おもしろかったですね。

宇都宮:それを見に来た人の雰囲気を僕らとしては楽しんでたんです。

東山:分かります。でも私らは見てるから分かるけど、これいきなり聞いたらみたいな、だから友達来ないと思います。マッスーの会には(笑)。

三木:すごい引いてたのがおもしろかったんですよ。

東山:でもそれに磨きがかかってる感じですよ。今はもう。

宇都宮:最近追いつかれてきてるんですよ。ああいう雰囲気を分かる人が増え始めてるんですよ。

東山:もうちょっと先行かないとダメですね。

三木:もっと分からないところに行かないと。


●zenschool受講で人が変わっていくこと

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東山:私がすごい感じたのは、私は創業したので好きでやってるけど、同世代の人たちはみんな2代目なのでやりたいことなんか考えたことがない、やりたいことをやっていいとも思ったことがないし、潰していいとも思ったことがないので、すごいそこで…

三木:辛そうなんだよね。

東山:すごい不思議で、「潰すところから事業の中身を変えるぐらいの中から選んだら」って言ってもめっちゃ狭いところで考えているので…

宇都宮:もったいないですよね。その時間が。早くzenschool来ればいいのにって。

東山:そうなんです。結局私が喋っててみんなに「東山さん本当に自由だな」と言われるけど、なぜ自由じゃない道を選んでいるのか私は理解できないから、でも最近逆にそっちの話を聞いて分かるようになってきたんです。みんな役割とかニーズがあるじゃないですか。意外と居心地が良いんじゃないかなと思う。必要とされているから。

宇都宮:それって結局承認要求、承認されてる感があって頼りにされているというのはそれはそれで居心地が良いと思うんですが、そこから上に行くということはそれを一旦手放す必要があるので怖いんですかね。

東山:と思います。でも小さい頃から継ぐと思ってる人とかだったら余計あれがあるし、もっと違うことが得意かもしれないけど、それを1個ずつ試していたら時間がないから今のやつで…zenschoolで今のやつに則ってやるとかは分かるし、バネの人の話とか私は超おもしろいと思います。

三木:バネの村井さん?

東山:うん。あの話とかは本当に「そりゃ楽しいだろうな」と思います。

宇都宮:ちょうどこの前21期が終わったところで、そこの中でまた変化がありました。

三木:その時は80名ぐらいの工場の3代目さん、ずっと子供の頃から「そういう風になるんだよ、なるんだよ」と言われ続けて、それがすごい逆に辛くなっちゃって、受講して自分のやりたいことが見つかった。

東山:良かった。

宇都宮:「やってもいいんだよ」という…

三木:やっちゃいけないと自分で決めてるんです。新しいことをやっちゃいけない。

東山:そうなんですよ。だから私自分で作っている経営者の社長の会に1人絶対zenschoolに行ったらっていう人は詰めてます。

宇都宮:でもその人がその気になってこないとね。

東山:そうなんです。

宇都宮:でも一歩踏み越えれば新しい世界が待ってますよというのは確かにそうです。僕らが与える世界じゃなくてその人が元々持ってるモノが出てくるだけなので…

東山:そうなんです。すごいお料理が好きなんですよ。「料理屋やりいな」って言ってるんです。

三木:いいですね。

東山:私の料理にケチをつけてたからね。「これちょっと蒸し過ぎだ」とか言ってたから、

「板前をやったらいいのに」とか言いながら。「柚子胡椒これ買ってきたやつ?」「そうですけど」って言ったら「俺作るよ」とか言って、そんだけ好きなのにねと思うんですけど、また商売、ビジネスとなったら違うかもしれないですけど。

三木:zenschoolで今本を書いてて、何で人は変わるのかということ自体を僕らがよく分かってなくて、どういう仕組みなのか分からないけど変わるからやってるだけなんですけど、もう1回色んな本を読み直して、こういうことで変わるのかなというのを何となく勉強して…

東山:ハッと気づく時は何だろうね。

三木:ワークの中でどれが一番良かったですか?zenschoolの。

東山:楽しかったのは妄想のイラストを描いていく。

宇都宮:ストーリーボード

東山:あれはめっちゃ楽しかった。

宇都宮:ブワーッと書き込んですごいのになったじゃないですか。

東山:そうです。色々聞かれてそうやってリアルに思い描いたらいいのかと思ったら、あの人たちにもちろんモニターに来てもらいましたけど、すごい楽しかったです。

三木:あ~いうのをやるバーをすればいいんじゃないですか。「何ですか?この人」みたいな…

東山:あれは床の色とか聞かれて、「えっ!?そこまで?」と思いながら色々と妄想してて、内装に生きていますから。

宇都宮:すごく具体的になって解像度が上がってくると現実化しやすいですよね。

東山:それは創業塾で習いましたよ。13年前に。

宇都宮:そうなんですか?

東山:「イメージしたものしか実現できないから、ビジネスを成功させてどんな車に乗りたいとか匂いとかまで想像しないとならないよ」と言った時に、昼間にパソコンを持ってカフェに行くというのをめっちゃイメージしたんです。それを実現させるのに10年かかった(笑)。「思い描いたことしかならないよ」というのを教えてもらって、一応自社ビルの上で菜園をやっているのをもう1個思い浮かべてるんですけど、まだそこまではいってない。


●エストロバーに対する想いについて

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宇都宮:エストロラボってどういう意味なんですか?

東山:エストロゲンという女性ホルモンの名前で、女性の活躍の場を提供するみたいなのを理念に掲げてるから、名前を決める時にエストロだけ取って、ちょっと研究開発的に成長したいと思ってたのでラボラトリーをつけて、長いからエストロラボで切ったんですけど。

宇都宮:エストロバーというのもその流れなんですか?仮称だと。

東山:そうなんです。ちょっとコンセプトと違うんです。

宇都宮:仮名称エストロバーに対する東山さんの想いはどういう想いなんですか?

東山:町工場、中小企業が元気になってほしいという感じです。

宇都宮:それは元気じゃないということなんですか?

東山:そうですね。元気じゃないと思っています。

宇都宮:何が違うと思うんですか?

東山:統計的にもすごい勢いで事業所数が減ってるし、東大阪に関して言えば、私が始めた時でさえも半分になっていると言われてて、そこからなかなか続かないし、お客さんでも廃業される方がいて、「廃業できるのはいいよね」って言われるぐらい畳めないみたいな人たちもいて、畳めないけど苦しんでやっているよりは楽しくとかそれでも儲かる仕組みとか、製造業自体は全体的には減るような気はしているんですけど、でも逆に技術が上がって3Dプリンターじゃないですけどコストをかけずにできる、中小企業にとっては良い時代だと逆に今は思えるので、アイデア次第というかやり方次第で誰をお客さんにするかとかもB to BからB to Cに変えてもいいし、そういう時期だからそれをできてお客さん同士でビジネスもできたらいいかなとは思っています。

宇都宮:元気というイメージはどういうイメージですか?

東山:楽しんで商売をしている感じです。私は経営してておもしろくてしょうがないので、そういう風に思う人が増えたら…

宇都宮:そうじゃない人が多いということですか?

東山:そうですね。話を聞いてる限りは。「そんなに辛いなら辞めれば?」って思いますけど。

宇都宮:それを言ったらお終いですけど。

東山:そうなんです。でも辞めるという選択肢を私は持つべきだと思ってて、選ばないのはありなので、辞めるという発想自体なかったりする方が多いので…

宇都宮:それは色々お話ししていく中で「選択肢としてこういうのもある」ということを?

東山:そうです。自分で選んだ感があったら納得とかワクワクとか上がると思うんですよ。やらされてますとか潰されないとかというのだけでやったらしんどいでしょとは思うので、捉え方次第でこんなに楽しいんですよみたいな…

宇都宮:やっぱりお腹の中ですよね。そこをどれだけ出すかという…

東山:そうなんです。100年企業とか働きつなげるとか散々言ってて明日閉めれるように経理はやりたいんですよ。辞める時に誰にも迷惑かけないようにしておきたいというのがあって、それは突然自分が死ぬというのもあるけど、すごいやりたいことができたらやっちゃいそうなので、だから「えっ?辞める気もあるの?」っていう感じですけど、私はやりたくてこれをやってるという思いをしていたい。

宇都宮:エストロバーをすぐやればいいじゃないという…

東山:そうなんです。飲食店は定款に書くぐらいやりたかったんですけどやれなかったんです。雇用を増やすほうとドッキングして考えてたので、2人3人のスタッフを抱えてこんだけ売り上げて昼も夜もやって、従業員が休む時は自分が入ってとかもうやりたくないってなって、どうしてもできないから老後に1人でやろうかなぐらいに感じてたんです。

宇都宮:でも違ったんですよね?

東山:そうです。「今やればいいか、できるわ」みたいな、それはzenschoolで気づかせてもらったという感じです。

宇都宮:何がつながったんですか?

東山:分からない。でもzenschool終わってからですね。

三木:加速したのはね。とりあえずやってみようみたいな…

東山:zenschool終わって発表会で何か喋らないといけない、何かやらないとなと思って。

宇都宮:試作したわけじゃないですか。

東山:そうです。別に家もあるし、家に呼ぶという発想がなかったんです。

宇都宮:でも試作したらできそうだという手ごたえが?

東山:そうです。このままできるじゃんと思いました。

宇都宮:試作してみるというのが重要ですよね?考えるだけだとできなくて…

東山:それは大きいかもしれないです。それも期限があったので、発表会までみたいなのが結構大事で、やりながら分かることは…それも勉強したんですけどね。とにかくやりながらブラッシュアップしていったらいいみたいなことも読んだり聞いたり散々してるけど…

宇都宮:勉強と違いますよね。実践と。

東山:違いますね。

三木:発表会に来た人が来てくれたんですか?

東山:発表会に来てくれた人も来てくれました。あの時初めてプレゼンを聞いて来てくれた人も…浜名さんとか来てくれてます。大熊さんとお2人も来てくれたし。

宇都宮:zenschool卒業生にはお勧めしてあります。「大阪行ったらこういう場所あるよ」って…

東山:ありがとうございます。


●東山さんが考える「日本の○○の未来」に対する想いについて

三木:最後の質問があって、東山さんの考える「日本の○○の未来」、○○は自分で入れていいです。

東山:日本の中小企業、製造業に限らず、小さい会社に対する想いは、大きい会社だけでは成り立たないと思っていて、私は金子みすゞの言葉で『みんなちがって、みんないい』という言葉がすごい好きなんですけど、勤める人もみんなが大企業に入りたいじゃなくて、小さい会社の良さとかもあるので、たくさん選べる中の1つとして中小企業の良さを残して、中小企業をしたい人が中小企業をするというのがいいと思うし、それがうまくいって大きくなるのも自由だし、そういう変わるものなんですけど、大手の言いなりになっているような構造はなくなっていったらいいなとは思うし、そういう時代になってるとは思うので、それに気づいてみんながやるという感じです。大企業の社長が辞めて中小企業をやるとかいいですね。「あっちがいいな」みたいなのになるぐらいがいいかなと思います。

三木:どうもありがとうございます。

東山:ありがとうございます。


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東山香子さん

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