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セブン-イレブンと国分と全農が共同開発した「広島県産はっさく&レモンサワー」のヒットの立役者たちが商品開発にかけた想い

最近、なんじゃこれめっさおいしいんだが?!と感激したサワーがありました。手前味噌なのですが、この「広島県産はっさく&レモンサワー」です。

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さてこんにちは。JA全農 広報部 note編集部員のFです。全農が(株)セブン-イレブン・ジャパンと国分グループ本社(株)と共同開発し、先月20日に西日本エリアのセブン‐イレブン約6,800店舗で販売したこのサワー。なんと約40万本が1ヶ月で売り切れる大ヒット。その理由を各社の開発担当者に聞きました。

登場人物

セブンイレブンさま

(株)セブン-イレブン・ジャパン 商品本部 地区MD統括部 中国・四国地区 
チーフマーチャンダイザー 高田 未緒(右)
マーチャンダイザー 森本 晶(左)

中国エリアのお客様のニーズにあった品揃えを実現する為にお取引先様と一緒にチームで商品開発、販売促進を担う。

星野さま

国分グループ本社(株) 流通事業部 星野 健太
(株)セブン-イレブン・ジャパンの酒類営業担当。
NB商品の提案・地域商材の発掘等をメインとし、開発案件にも携わる。

山田さん

JA全農 営業開発部 山田 晋也
国産農畜産物を使用した商品開発に携わる。食品メーカーや商社と連携したダブルブランド商品の開発を数多く担当。

セブン−イレブンと国分と全農。3者の協業のきっかけは何だったのでしょうか。

山田:全農では、国産農畜産物の消費を増やすため、他社さんと協業しながら商品開発に取り組んでいます。以前よりつながりのあった国分の星野さんから、セブン-イレブンさんがSDGsに資する商品開発を検討されていると伺いました。そのとき、商品化したい果実の中でも特に課題があったのが大分県の名産、かぼすでした。

かぼす

かぼすは、通常、熟す前の緑色の果実を出荷します。完熟して黄色くなったかぼすは傷みやすいため流通が難しく、消費のほとんどが大分県内に限られていました。しかしながら、熟したかぼすは、甘味が増し、酸味が控えめとなる特徴があるため、これを「完熟かぼす」と表現し、ドライフルーツやグミなどを商品開発しています。この「完熟かぼす」を使用して商品化できないか、ということをセブン-イレブンさんと国分さんに相談しました。

星野:私が国分でお酒の卸の担当をしていることもあり、完熟かぼすを使って知見があるサワー商品を開発することにしました。ただ、缶の商品は最低製造数量が大きいので、九州地区のセブン−イレブンだけで販売しきれるか心配でした。そこで、セブン−イレブンの中国エリアをご担当されていた森本さんにもご協力いただきました。あと実は、森本さんが大分のご出身というご縁もありまして。

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森本:そのかぼすサワーがものすごい美味しかったんですよね。何より中国地方のお客様にもご好評いただきました。今度は、広島のおいしい柑橘を使って何かできればなと思い、今回の「はっさく&レモンサワー」を全農さん、国分さんと一緒に進めてきました。

はっさくという果物に注目した理由は?

森本:広島の柑橘を使うとなったときに、はっさくは広島県発祥の柑橘で生産量も多く地元の方に馴染みがあります。また生産量は和歌山県を筆頭に大分、大阪、愛媛、徳島でも広く栽培されています。西日本で広く馴染みのある柑橘なので手軽なサワーにする事で、より多くのお客様に喜んでいただけるのではないかと考え中国地方だけでなく関西・四国・九州エリアでも販売したいと考えました。
もう一つの理由は、広島ではレモンも有名ですが、レモンサワーはいま数多くの商品がでているので、はっさくとレモンのダブル柑橘にすることで新しさを提案出来るのではないかと考えました。

はっさく

星野:全農の山田さんから、はっさくは昔に比べて消費量が減っていると聞いていました。みかんに比べるとむくのが面倒くさいという理由もあるのかもしれません。セブン-イレブンさんが乗ってくださって販売に至れば、はっさくの生産量を伸ばすことにもつながるのではないかと考えました。

全農としては、農産物を商品化して販売することは農業を振興するという点で当然ながらメリットがあります。卸や販売店の立場では、地域食材を使った商品開発にどのような意義がありますか。

星野:国分グループは「地域密着 全国卸」として各国、各地の食経済圏を担うメインプレーヤーを目指しています。全国で売れる商品ももちろん大事ですが、各地域で売れる商品の発掘も大事な仕事。大分のかぼすも、広島のはっさくとレモンも、それを使った商品は地域密着という考え方にフィットすると捉えています。

森本:弊社では、地域限定商品を5割まで高めることを目指しています。その地域のお客さまにセブン-イレブンを日常的に便利にご利用いただくには、食べ馴染んだ地域の原材料を使用したメニューや味わいが大切と言う考えです。
これは私の実体験でもあるのですが、広島県産のトマトを使ったサラダを開発しました。トマトの生産者さんに喜んでいただけたうえに、実際にその生産者さんが来店され、サラダを購入いただいきおいしかったという感想をいただいたことがありました。生産者さんを応援することが、地域への貢献にもつながることだと思います。そんな考えから、地域の嗜好に合わせた味わい、優良な原材料を発掘し、今後も積極的に商品を開発していきます。

店舗

はっさく&レモンサワーの開発で特にこだわった点はありますか?

山田:はっさくを絞ったそのままの果汁ではなく、濃縮果汁を使用することで味が安定しました。ただ、濃縮果汁は量が限られていたので、原料供給元となる広島果実連さんと搾汁していただいた(株)ヒロシマ・コープさんにお願いして濃縮果汁をこのサワー用に優先的に出してもらいました。おいしさは絶対欠けてはいけないので、味の安定にはこだわりました。

高田:私自身、苦味のある味わいが苦手な事があるのですが、このサワーはとても飲みやすかったんです。それを商品の裏面に載せた絵と文章で、ストーリー的に表現しました。

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星野:この商品のターゲットは、強いお酒は飲まないけどちょっと息抜きに飲みたいなという層です。そういう方の中にははっさくの苦みが苦手な方もいるかと。そんな方でも2本目を手にとっていただけるよう、レモンとのバランスをとりながら苦味を抑えました。この部分では、製造を担当していただいた三幸食品工業(株)さんに全面的にサポートいただきましたね。誰が欠けても、この商品は完成し得なかったと思います。

売れ行きはどうだったのでしょう?

森本:正直予想以上の売れ行きです。新商品は、初週に限っては売れても、2週目になると下がることが多いんです。でもはっさく&レモンサワーは4週連続でカテゴリの1位で、これまでになかったようなご好評をいただきました。特に女性のお客様にご支持いただいています。

お断り
ご好評につき、はっさく&レモンサワーは、広島を除く西日本エリアではすでに終売し、広島県内でも5月いっぱい目途の販売です。今後も各地の果汁を使ったサワー商品の開発を目指しています。

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今後の共同開発に向けての想いをお願いします。

森本:産地を訪問するとわかるのですが、生産者さんは美味しい作物を作りたいと言う強い想いを持って栽培されています。また、今回、製造を担った三幸食品工業さんも品質にこだわり・プライドを持って作っていただいています。おいしさだけではなく、そういった作り手、関わっていただいた方の想いも世の中に伝えることができたらと思います。

高田:農家さんが苦労し心を込めて作ってくださった作物をおいしい商品に仕立て、その価値をお伝えしていくことで、お客様と産地をつなぐことが少しでもできたらうれしいです。販売を担うお店と一緒になって、取り組んでいきたいと思います。

星野:産地の農家さんが喜び、購入してくれた方が誰かに伝えたくなる商品開発をしていきます。その中で、川上~川下とよく表現されますが、一方通行ではなく循環できるような仕組みを各都道府県で作っていければと強く感じます。

山田:引き続き、国産農畜産物の魅力を広め、生産者・地域の方々の笑顔につながる商品開発をしていきたいです。全農だけではその実現が難しいので、それぞれ得意分野を持つ他社さんと連携しながら取り組んでいきます。