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新ブランドから生産・流通の取り組みまで!いちご大研究

いちごが旬の季節がやってきました。
今回は、最新のトレンドや生産・流通の取り組みまで、いちごにまつわるアレコレを大研究🔍
読めば、いちごをもっとおいしく食べられること間違いなしです🍓

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🍓全国各地の推しいちご

子どもから大人まで人気のいちご。現在国内で販売されている品種の数は98にも上ります。
そこで今回は、全国にアンケートを実施し、推しいちごを大調査しました!

青森県:さちのか・すずあかね
岩手県:さちのか・やよいひめ
宮城県:にこにこベリー・もういっこ
山形県:おとめ心
福島県:ゆうやけベリー
茨城県:いばらキッス
栃木県:とちあいか・とちおとめ
群馬県:やよいひめ
埼玉県:べにたま・あまりん
千葉県:チーバベリー・とちおとめ
東京都:東京おひさまベリー
神奈川県:かなこまち
新潟県:越後姫
富山県:紅ほっぺ
山梨県:紅ほっぺ
長野県:サマーリリカル
岐阜県:美濃娘・華かがり
静岡県:紅ほっぺ・きらぴ香
愛知県:愛きらり®
三重県:かおりの
滋賀県:みおしずく
京都府:章姫
奈良県:古都華・あすかルビー
和歌山県:まりひめ
鳥取県:とっておき
岡山県:晴苺®
広島県:よつぼし・スターナイト
山口県:かおりの
徳島県:さくらももいちご・さちのか
愛媛県:紅ほっぺ・あまおとめ
高知県:ゆめのか・おおきみ
福岡県:博多あまおう
佐賀県:いちごさん
長崎県:ゆめのか・恋みのり
熊本県:ゆうべに・恋みのり
大分県:ベリーツ・さがほのか
鹿児島県:さがほのか

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🍓いちごのはじまりと品種・流通の最新トレンド

豊かな甘みや酸味を感じられる味わいはもちろん、見た目のかわいらしさや香りの良さ、ヘタを取るだけで簡単に食べられる手軽さなど、たくさんの魅力が詰まっているいちご。
そもそも日本でいちごが本格的に栽培され始めたのは明治時代で、「福羽(ふくば)」と呼ばれる品種の栽培に成功したことがきっかけでした。
大正時代には東京周辺に広まり、「福羽」が親となって、次々と新品種が誕生。現在販売されている品種は98にも上り、2022年産の出荷量は約14万8,900tです。
現在のいちごのトレンドは、大粒で食味の良い品種。たとえば関東圏内の品種では、栃木県の「とちあいか」、茨城県の「いばらキッス」、群馬県の「やよいひめ」、埼玉県の「あまりん」などがあります。
また、関東・九州の産地ともに生産者の高齢化などによって生産量の減少が進み、パック詰め作業の労力削減のために出荷規格の簡素化も行われています。数年前までは300gが主流だったパックを240〜260gに変更する産地が増え、160gや180gといった少量のパックを出荷する産地が出てきていることも、昨今の特徴です。
さらに、いちご栽培の長い歴史の中で変わったのが旬の時期。1960年代までは5月〜6月でしたが、温室栽培が普及したことで、現在は11月〜6月初旬頃までおいしく食べられるようになりました

いちごは品種によって味の違いが楽しめるので、食べ比べもおすすめです。ぜひ自分好みのいちごを探してみてください!

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🍓各県の推しいちごからピックアップ!注目!いちごの新ブランド

最近、各県オリジナルのブランドいちごが続々と誕生しているのをご存じですか?
そこで、このページでは、近年生まれた新しいいちごをピックアップし、味や見た目の特徴、名前の由来などを紹介します。
個性と魅力があふれるいちごばかりで、食べたくなること間違いなし!

🍓福島県 ゆうやけベリー

見た目:ゆうやけのようなきれいな赤橙色
味:甘みが強く、香り高い

「ゆうやけベリー」は、「かおり野」と「とちおとめ」を交配して育成された品種。大きさ、味、硬さ、見た目が優れていることや、栽培管理が容易で耐病性のある品種の開発を目標に2012年から育成され、2022年に品種登録されました。
大果できれいな赤橙色の見た目から、明日への輝かしい希望や、幸せな気持ちが広がるような「ゆうやけ」をイメージした名前がつけられています。

🍓栃木県 とちあいか

見た目:ヘタの部分がくぼんでいる
味:酸味はやや少なめで、甘さが際立つ

2018年に品種登録された「とちあいか」。栃木県の代表的な品種「とちおとめ」よりもさらに耐病性のある品種を目指して開発されました。
いちごを縦に切ると断面がハートに見えるところも、大きな特徴の一つ。一般投票で決まった品種の名前には、全国の皆さまに“愛”される“栃”木の“果”実になってほしいという願いが込められています。

🍓埼玉県 べにたま

見た目:大粒で果肉が白い
味:また食べたい! と思わせる甘さと酸味のバランス

「べにたま」は、「身近な場所で買える、埼玉で生まれた甘いいちご」をコンセプトに、約9年の歳月をかけて育成されました。12月上旬から収穫が可能でクリスマス需要にも対応できるところや、果皮が傷みにくく輸送しやすいところなども特徴です。
品種名は、いちごの色みである「紅」と、丸い果実のイメージや「埼玉」の「玉」を合わせて名づけられました。

🍓神奈川県 かなこまち

見た目:長円錐形で大粒の割合が高い
味:甘さと酸味のバランスが良い

生産者の神奈川県オリジナル品種がほしいとの要望に応えて育成された「かなこまち」。12月中下旬から収穫でき、栽培期間を通じて酸味と甘みのバランスが安定することを目標に育成され、「紅ほっぺ」と「やよいひめ」をかけ合わせて2020年に誕生しました。
「神奈川県生まれの美しくておいしいいちご」の意味を込め、いちご生産者からの公募で名前が決まりました。

🍓滋賀県 みおしずく

見た目:大粒で明るい赤色
味:適度な酸味で爽やかな甘さが際立つ

滋賀県では近年、新規就農者を中心にいちご栽培が増加傾向にあり、優良品種が求められています。そこで2016年から5年かけて開発されたのが、滋賀県初のオリジナルいちご「みおしずく」です。
名前は、琵琶湖のある滋賀県らしい「水」をイメージし、しずくのような形や食べた時のみずみずしさを表現しています。今後、栽培試験などを経て品種登録される予定です。

🍓大分県 ベリーツ

見た目:鮮やかな赤色
味甘さと酸味のバランスが良く、シーズン通じて糖度が高い

2017年に品種登録された「ベリーツ」。「厳寒期でも収量が見込める、赤く色づいたいちごを作りたい」、「消費者にもっとおいしいいちごを届けたい」という産地の想いを背景に、8年もの歳月をかけて誕生しました。春先でも果実が硬く、傷みにくいのも特徴の一つです。
品種名は、これだけでスイーツになり得るほどの味の良さから、ストロベリーとスイーツをかけ合わせて命名されました。

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🍓未来のいちご生産者を育てる!いちご新規就農者研修事業

ここからは、いちごの生産・流通にまつわる全農グループの取り組みを紹介。
いちごが私たちの手元に届くまでには、どのような人たちが関わり、生産・流通を支えているのかを探るべく、現場に密着しました。
最初に紹介するのは、未来のいちご生産者を育てる岐阜県本部の取り組み「いちご新規就農者研修事業」です。

  • 岐阜県本部が取り組む「 いちご新規就農者研修事業」とは?

生産者の高齢化や後継者不足により、生産量の減少が課題となっている岐阜県の農業。中でもいちごは、その傾向が顕著な品目の一つです。そこで新たな担い手を育成するために2008年度から始まったのが「いちご新規就農者研修事業」。
岐阜県本部が運営する研修所で、JAグループの新たな一員となるいちご生産者を育てています。

  • 一人10aの圃場を担当し、栽培・出荷・経営管理を実践的に学びます

研修所では、4月~翌年5月までの14か月間にわたって、いちごの生産者になるための技術や知識を実践的に学びます。最初の2か月間は「体験研修」として、先輩研修生から圃場管理の指導や引継ぎなどが行われます。研修生の適性を確認した後、6月からはいよいよ実践研修。一人あたり10aの圃場が割り当てられ、育苗・定植・管理・収穫などの一連の作業を行います。最終的に、収穫したいちごをJAぎふの生産者の一員として出荷。就農後を見据え、一人ひとりが責任をもって圃場のいちごを管理しています。

圃場での作業だけでなく、生育状況の確認や管理方法の検討など技術的指導、栽培機器の取り扱い方法や経営管理などの座学研修も実施。
  • 就農準備も丁寧にサポート。卒業生の中で離農者はゼロ!

就農準備も手厚くサポートしており、農地の選定・確保を市町村やJAにも協力してもらったり、栽培施設の検討や就農計画の作成も支援しています。そのかいもあって、2022年度までの卒業生56名の中に離農者はいません。
しかし就農環境は厳しい状況が続いているため、今後も仕組みの見直しやバックアップ体制をととのえる必要があると考えています。

先生からのコメント

JA全農 岐阜県本部 いちご新規就農者研修施設 技術主管 長谷部健一さん

研修生の中には農業未経験者もいるので、そうした方々にも理解してもらえるよう、私自身も試行錯誤しながら教えています。その中で注力しているのは、いちごの生育状況などを自分で判断できる力を身につけてもらうこと。考えながら実践していくことで理解も深まると思います。
研修所にいる間に「単収を上げる」ことも意識しながら経験を積んでもらい、就農後もここでの学びを役立ててもらいたいです。

研修生からのコメント

いちご新規就農者研修生 三浦隆志さん

以前は会社員として働いていましたが、当時からいちご栽培に興味があり、研修事業に応募しました。研修の中で特に大変だったのは、いちごに害虫が発生した時。先生に教わりながら何とか対処したことが印象に残っています。
ここでの学びを就農後も生かし、安定した収量を得られるいちご農家を目指します!

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🍓継続した障がい者雇用を生み出す農福連携事業

「いちご新規就農者研修事業」の研修所と同じ敷地で行われているのが「農福連携事業」です。2021 年度からスタートしたばかりの新しい取り組みの現場にうかがいました!

  • 岐阜県本部が取り組む、「農福連携事業」とは?

岐阜県本部の農福連携事業は、農業の分野で活躍する障がい者の継続した雇用を生み出すこと、そして生産者やJAが障がい者雇用を行う時のアドバイザーとなれるよう知識や経験を得ることを目的にスタートしました。
現在は3名の作業者が作業支援者※とともに、いちご新規就農者研修所の敷地にあるハウス1棟を活用して、いちごの栽培から出荷までの作業を行っています。また、障がい者の就業面と生活面などの相談対応を行う「障害者就業・生活支援センター」など、外部機関とも連携しながら取り組んでいます。

  • 積極的に社会参画しながら、いちご栽培のスキルアップを目指しています

作業者たちの勤務時間は基本的に8時から16時半まで。収穫やパック詰めが忙しい時期にはさらに早朝から作業することもあります。2022年度のいちごの栽培面積は10aで、前年度と比べると2倍になっていますが、作業者たちの技量がアップしているため、前年度の2倍以上のパック数を出荷することができています。また現在、JAぎふが行う農福連携事業や、いちご新規就農者研修事業の卒業生など、外部との連携も積極的に実施中。彼らの成長が事業の成長にもつながると考えています。
いちご栽培は一年を通して作業があるため、短期ではなく継続した雇用ができるところも、本事業の特長の一つとなっています。

  • チームで話し合いながら作業がしやすいよう工夫しています

作業の方法や順序、優先順位がひと目で分かるよう、文字の説明だけでなく図や表も作るなど、分かりやすく作業ができるように試行錯誤しています。また、チーム内で教え合うなど主体性をもって仕事ができる環境づくりにも取り組んでいます。

支援者からのコメント

JA全農 岐阜県本部 管理部 アグリ支援課 西本里佳さん

私は作業支援者として作業者の皆さんが健康に勤務できるようサポートしています。特に気をつけているのは、一人ひとりの体調・メンタルの変化や不調を見逃さないこと。
メンバー同士で助け合って作業ができているので、今後はさらにスキルアップしながら全員で「質の高いいちごづくり」について考えていきたいです。

作業者からのコメント

JA全農 岐阜県本部 管理部 アグリ支援課 玉田克己さん

最初はいちごの規格を覚えることなどが大変でしたが、今では少しずつ慣れてきました。今後はもっと自分たちでできることを増やしていきたいと思っています。
せっかく一年を通していちごづくりに関わっているので、さまざまな人からアドバイスをもらいながら成長していきたいです!

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🍓生産者の労力軽減や生産振興に貢献!県南VFステーション

続いては、いちごの選果・選別・包装加工を行う、福岡県本部が運営する県南VF※ステーションをピックアップ。施設の役割や作業効率化の裏側についてお聞きしました。
※ Vegetable(野菜)とFruit(果物)の頭文字

  • 福岡県本部が運営する県南VFステーションとは?

県南VFステーションは、福岡県内のいちご生産者の高齢化が進む中で、生産者の労力軽減や生産振興、販売力の強化などを目的に、2018年に設置されました。施設は、選果・選別・包装加工機能、広域集出荷機能、直販機能を備えています。

  • 県南VFステーションの仕組み

県南VFステーションでは、JAくるめ・JAみづま・JAふくおか八女の生産者が収穫した青果物を集荷して買い取った後、施設内で包装加工を行っています。取り扱い品目はいちごをメインに、アスパラガス、ぶどう、みかん、柿など。いちごの出荷時期だけでなく、一年を通して集出荷ができるような体制がととのっています。
また、包装加工された商品は、福岡県本部が生協や量販店などに直接販売しています。利用する生産者は、労力がかかる包装加工の作業を県南VFステーションに委託することで、いちごの生産管理にあてる時間を増やすことができるため、規模拡大や収量増加、品質向上、手取り増加などにつなげることができると考えています。

  • いちごの入荷量は増加中。年間400tを目指します!

JA全農 福岡県本部 営農開部 平田幸一さん

いちごの入荷量は施設開設から毎年おおむね増加しており、2022年産のいちごは35名の生産者から合計約343tを入荷しました。
今後も、施設で取り扱えるいちごの最大量である約400tを目指して、生産者の力になれたらと思っています。

生産者からのコメント

JAふくおか八女 いちご部会 山下勝さん

「あまおう」の生産者として施設を3年間利用しています。これまで苗の準
備、段ボールの箱折、パック詰め、出荷などを全て自分で行ってきましたが、中でも作業時間の大半を占めていたのがパック詰めでした。
それを委託できるようになったことで、かなりの労力軽減になっています。その分、圃場管理の時間が確保できて品質向上や収量アップにつながり、家族と過ごす時間も増やすことができました。

  • 県南VFステーションの中を見学

県南VFステーションの中では、実際にどのような作業が行われているのでしょうか。施設内を見学させてもらいながら、いくつかの作業工程について詳しくうかがいました!

「① 検査(評価)」

施設の中でも特に重要な作業の一つ。効率化を図るためのシステムも導入

生産者からコンテナで持ち込まれたいちごは、計量後に予冷庫で冷やされます。その後に行われるのがいちごの等階級を評価する「検査」です。施設では等階級を重さによって5段階に分けており、一つのコンテナの中にどの等階級のいちごがいくつあるかを数えています。それぞれの重さは作業員が大きさを見ながら主に目視で判断しています。
これにより生産者の手取りが決まるため、重要な作業の一つです。

検査にはタブレット端末を使用。 等階級ごとにいちごの数を入力 すると、一つのコンテナにどの 等階級が何%入っているかがひ と目で分かる、独自のシステム を導入しています。計算機を使 っていた時期もありましたが、 システム導入により業務の簡素 化を実現できました。

「② パッケージ」

大きさや形が異なるいちごを手作業で美しくパック詰め

検査の後は、パック詰め作業が行われます。施設内にある作業用のレーンは計5つ。レーンの両側に作業者が並び、手作業でパックに詰めていきます。
大きさや形が一つひとつ異なるいちごをきれいに詰めていくためには、とにかく経験を積むことが大切!

きれいにパック詰めされたいち ごはレーン上を流れ、フィルム をかける機械に通されます。

「③ 箱詰め・検品」

最後の砦として、検査員が品質などをチェック!

パック詰めが終わったいちごは箱に入れられ、レーン上を流れていきます。出荷直前に行われるのが検査員による最終チェック。別の規格のいちごが混じっていないか、異物が混入していないかなど、品質を含めて再度確認してから出荷されます。

  • 県南VFステーションの今後の展望

施設のハード面を考えると、受け入れるいちごの量を大幅に増やすことは難しいのが現状です。
しかし今後も、生産効率を上げるためのシステムや機械の導入は積極的に検討していきたいと思っています。特に検査の作業はさらなるシステム化を目指し、将来的にはもっと負担を減らしたいです。
これからもステーションの効率化を図りながら、生産者の労力軽減や生産振興に貢献していきます。

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いちご大研究!いかがでしたか?
これから春まで、いちごが美味しい時期が続きます。
いろいろないちごを食べて、自分の推しいちごを見つけてみてくださいね。

☝HPアップ後いちごの該当記事のリンクにする予定です

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