孤独とは何か

 家庭というシステムが崩壊して、孤独の問題が日本全体の問題になっている。僕も実家でほぼ一人暮らしをしていて、孤独の真っ最中だ。ずっと孤独に苦しんできて、ずっと孤独について考えてきた。

 よく「周りに人がいても孤独な人は孤独だよ」と言われる。離婚した元カノがいるのだが、結婚している最中も孤独だったらしい。だから「孤独」というのは物理的な環境とは関係がない。東京の歩行者天国を歩いている人も、孤独な人は孤独だ。
 一方、僕みたいな引きこもりでも、孤独でないということはあり得ると思う。

 「孤独」の本質には「欲望」がある。狂おしく他人を「欲望」しているのに、得られない。「他者が欲しい」という欲望が孤独である。だからお釈迦さまは「執着や欲がほとんどなければ、大勢の中で一人で生きることができます」と言っている。

 「一人」という状態は、良くも悪くもない。「他者を欲望しつつ」「一人」なのが孤独だ。だから、他者を欲望しなければいい。
 「他者」というのは、絶対に自分の思い通りにならない。だから、他者を欲望すると、多かれ少なかれ、不幸になる。

 宗教というのは、孤独から生まれたものなのかもしれないな。今もヒマラヤには一人で修行をしている人たちがたくさんいるだろうが、彼らは瞑想によって「他者への欲望」を滅しているから、孤独ではないんだろう。一神教というのは、「絶対的で永遠な他者」に依存することで孤独を癒す。イエスも釈迦も、寂しかったんだろうな

 

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