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全部君だけ 3

君(愛犬)と吾(私)の短歌
愛犬亡くし病みました


なんとなく『五七五七七』
連作短歌 その三

夏服を
編もうと思った
細い糸
着る君いない
クロスにするさ

      腰痛の
      原因九割
      君の世話
      老化は控えめ
      一割とする

散歩いこ
誘う君なく
録画を消化
釣瓶落としの
夜が始まる

      寄り添った
      十七年は
      愛しくて
      四季の移ろい
      君がいたんだ

から空の
彼岸の向こう
彩りて
さぞや賑わし
真紅の花火(彼岸花)

     つらいとか
     かなしいだとか
     ないんだよ
     寂しいだけの
     しずくがおちる

一年目
大人になって
二年目で
リビングのドア
バリバリ破壊

     三年目
     君は戦士で
     吾はボス
     二番の地位を
     家人と競う

吾リーダー
腹臣が君
それ以外
シモベと化した
この群れの掟

     昼花火
     あいたい思い
     乗せて揺れ
     彼岸の赤
     ふれて佇む

ワンワカワン
チャイムなる度
やかましや
君唯一の
仕事だ許そう

     ドア開き
     雨を嗅ぐ君
     散歩ナシ
     悟って悔し
     クマちゃんを喰む

福は内
君居てるから
福はある
唱える呪文は
鬼は外だけ

     鬼は外
     豆まきたいが
     君がいる
     そっと纏めて
     テーブルに置く

恵方巻き
中の具材を
吟味して
決めるは君の
好物INだけ

     夢みたよ
     犬のなる木に
     君実り
     バスケット提げて
     うれしい再会

散歩服
ステキなブランド
数多ある
懐許さぬ
手縫いで真似る

     モデルさん
     声を掛ければ
     飛んで来て
     試作の服に
     首通す君

二人して
無職はないわ
職業欄
揃えて書くよ
自宅警備員

     ミモザ咲き
     お庭巡りが
     楽しみな
     日差しの今に
     君だけいない

君がさぁ
泣いているよな
気配をする
宵待ちの月
うすく白くて

     重き雲
     間の陽光に
     君弾み
     爆走散歩
     リードが足りない

どうしても
君思い出し
泣ける日は
みじん切りでピラミッド
玉葱のせいにする

     十七年
     君のカットは
     ライオン尾
     耳だけクリクリ
     後は刈り上げ

焼肉屋
ビニール小袋
隠し持ち
君へのお土産
お牛(ぎゅう)の焼きたて

    吾に似て
    胴が太長
    カワイイね
    君をほめてる?
    ケンカ売ってる?

一番に
迎えに来ると
巷言う
虹を見つけて
再会おもう

     防寒着
     君が喜ぶ
     一番は
     吾が手編みの
     不揃いセーター

古座布団
縄で締め止め
寒避ける
強者の道行
老いの愛見る

     ワクチンの
     お知らせハガキ
     届いたよ
     コロナじゃなくて
     君の八種混合


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