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抗体詩護符賽

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記事一覧

「抗体詩護符賽」夢様について

夢様の教え  ある時から私はある種の夢のことを「夢様」と呼ぶようになった。「様」と敬称で…

Zenarchy
11か月前
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「抗体詩護符賽」映画について(1)

中学2年生、誰よりも先に部活を辞めた私は、複雑な気持ちで彼らの練習を眺めていた。やっとあ…

Zenarchy
2年前
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「抗体詩護符賽」映画について(2)

1ヶ月のヨーロッパ旅行の最初の一週間はオーストリアはリンツで開催されるアルスエレクトロニ…

Zenarchy
2年前
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「抗体詩護符賽」映画について(3)ディスクガイド

「質感」のアーカイブ

Zenarchy
2年前

「抗体詩護符賽」ライアントレカーティンと私

空港に着陸したのは夕日が沈む少し前だった。遡ること1時間ほど前のこと。私は飛行機の窓から…

Zenarchy
2年前
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「抗体詩護符賽」トシヤさんは「何も問題ない」と言った

「何も問題ないよ」 トシヤさんは事あるごとにそう発した。 「音楽かけていいですか?」 「…

Zenarchy
2年前
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「抗体詩護符賽」ウィトゲンシュタインと括弧的感覚2

「私の言語の限界が私の世界の限界を意味する」ールードヴィッヒ・ウィトゲンシュタイン つぶグミプレミアムを頬張りながらタバコに火を付ける。どこから手を付ければ良いのか。 「あいつが阿呆でなければ、おれがそうにちがいない」ーウィリアム・ブレイク 「およそ一個の人間に関して最も実際的で重大なことは、なんといってもその人の抱いている宇宙観である。 (中略) 下宿屋の女将(おかみ)が下宿人の品定めをする場合、下宿人の収入を知ることは重要なことではあるが、それにもまして重要なのは彼

「抗体詩護符賽」迷子について(3−3)-あれのこと〈3〉−まとめ−

 「あれ」がアスペクト転換の一種だという認識に至り、私の長年の捜査は一先ず終わりを迎えた…

Zenarchy
3年前
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「抗体詩護符賽」迷子について(3−2)-あれのこと〈2〉−アスペクトの閃き、類似…

その驚きはたとえばこう表現される。「同じだーそして、にもかかわらず同じではない」ルートヴ…

Zenarchy
4年前
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「抗体詩護符賽」迷子について(3−1)-あれのこと〈1〉−猫町あるいは遊歩者によ…

はじめに夢の論理、予期の撹乱、見立て、アスペクト知覚、世界の裏側、抑圧されたものの回帰、…

Zenarchy
4年前
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「抗体詩護符賽」迷子について(2)−山登り−

もう正確には何年前の事だか思い出せないが、十年ほど前のある冷え込んだ冬の日の朝、私は起き…

Zenarchy
4年前
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「抗体詩護符賽」迷子について(1)−そして朝を始めた−

起き抜けに、未だカオスが抜け切らぬ部屋を眺めていた。 バラバラに飛び散ったガラスの破片が…

Zenarchy
5年前
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「抗体詩護符賽」ドイツ銀行と私

ドイツ銀行と私の間には何の繋がりもない。私は数年前までドイツ銀行という存在すら知らなかっ…

Zenarchy
5年前
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「抗体詩護符賽」ヴィトゲンシュタインと括弧的感覚

ところでここ数ヶ月、数学とプログラミングの勉強を進めている。なぜそうなっているのかを振り返ってみよう。去年の秋頃、デレク・ジャーマンの「ウィトゲンシュタイン」を見直していて、それから数週間ウィトゲンシュタインの関連書をいろいろと読んでいた。高校時代にウィトゲンシュタインと出会ってから彼は私の中での最重要人物である。なぜ彼に惹かれるのかを説明するにはまだ言葉が足りないが、彼がゲイであること、そして治癒としての哲学を探求していたことが大きなキーワードだろう。私は彼のそういった洗練