ZEN_CFP_Boxer

京都在住、元プロボクサー、MBAの禅僧です。 普段は以下3点を兼務しております。 …

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京都在住、元プロボクサー、MBAの禅僧です。 普段は以下3点を兼務しております。 ①禅宗寺院(臨済宗)副住職 ②外資系金融機関マネージャー ③非常勤講師(専門学校) 主に拝観日に、お伝えしている法話をシェアさせて頂きます。 皆様の心に何か伝われば、幸いです。

最近の記事

11月拝観法話「取り返せないもの」

今年もはやいもので、年内最後の拝観日となりました。 泰勝寺へお参り下さり、有難うございます。 禅の修行道場には写真のような板木(はんぎ)が掛けてあります。 年末になると、板木に記された言葉を実感します。 生死(しょうじ)事大(じだい)  光陰可惜(こういんおしむべし)  無常(むじょう)迅速(じんそく)  時(とき)不待人(ひとをまたず) 板木は時間を知らせたり、何かの動作に入るための準備を知らせたりする度に打ち方も変え、一日に何回も鳴らされます。 板木で何度も戒

    • 10月拝観法話「真の自信や心の強さについて」

      実りの秋、いかがお過ごしでしょうか。 本日は泰勝寺へお参り下さり、有難うございます。 臨床心理士の河合隼雄氏が「自信や心の強さ」について以下のように述べていらっしゃいます。 人間、自分に本当の自信がなければ、謙虚になれない。 人間、本当の強さを身につけていないと、感謝ができない。 以上を踏まえ、表現をかえれば、このような考え方ができるのではないでしょうか。 他人に対して謙虚にしていくことを続けていけば、いつか深い自信が芽生えてくる。

      • 9月拝観法話「善悪、損得にとらわれない自由な心」

        心なしか凌ぎやすい季節となってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。 本日は泰勝寺へお参り下さり、有難うございます。 コロナウイルスは五月に5類感染症へ移行したこともあり、話題になることが少なってきたと感じています。 ウイルス自体は大きく変化をしていないと思いますが、私達の受け止め方は、大きく変化してきているのではないでしょうか。 「迷生寂乱 悟無好悪」(迷えば寂(じゃく)乱(らん)を生じ、悟れば好悪(こうお)無し)という禅語(出典『信心(しんじん)銘(めい)』)

        • 7月拝観法話『何を主にして生きていくのか』

          日毎に炎暑が厳しさを増す今日この頃、皆様お元気でお過ごしでしょうか。 蒸し暑い中、泰勝寺へお参り下さり、有難うございます。 少し泰勝寺の庭へ目を移してください。 庭のメインは何でしょうか。 南天、松の木、苔、三途の川、八幡山の借景、メインはなく、それぞれの個性が相重なって、泰勝寺の庭を創り出しています。 「随所に主となれば、立処皆真なり」臨済宗の宗祖・臨済義玄が修行者達に与えた言葉です。 「主」とは主体性を持って生きることです。 総じて「今の置かれた立場や環境で

        11月拝観法話「取り返せないもの」

          6月拝観法話『うさぎと亀が教えてくれる大切なこと』

          入梅の折からご清福の由、お慶び申し上げます。 本年ももう少しで折り返しです。 本年の干支はうさぎです。 うさぎが飛ぼ跳ねるが如く、時間の経つ速さを実感しております。 限られた時間の中で、泰勝寺へお参り下さり有難うございます。 うさぎで有名なイソップ寓話『うさぎと亀』を一度は読んだり、聞かれたことがあるのではないでしょうか。 うさぎと亀は山の頂上を目指して競争をしますが、途中でうさぎが居眠りをしたことで、亀が先にゴールし、勝利をおさめるという話です。 そのことから

          6月拝観法話『うさぎと亀が教えてくれる大切なこと』

          5月拝観法話『かけがえのない存在』

          木々の若葉が目に鮮やかな季節になりました。 泰勝寺へお参り下さり、有難うございます。 世界を代表する企業グーグルが「心理的安全性が高まると組織やチームのパフォーマンスが向上する」と発表して以降、組織の在り方において「心理的安全性」が注目されています。 日本中を熱中させたWBC日本代表チームはまさに心理的安全性の高いチームだったと思います。 心理的安全性とは、他人の反応に怖がったり、恥ずかしいと感じたりすることなく、自然体の自分を隠さず全てオープンにできるような穏やかな

          5月拝観法話『かけがえのない存在』

          4月拝観法話『幸福の条件は捨てること』

          春風の候、本日は泰勝寺へお参り下さり有難うございます。 綺麗に咲いていた桜も散り少し寂しい気持ちもします。 一方で桜は限られた時間に咲くゆえに美しく、私たちの心になにか訴えるものがあると思います。 私たちの命もまた限られた命です。 桜が限られた時間を精一杯に咲くように、私達もまた限られた命を精一杯に生きていきたいものです。 泰勝寺の先代の住職、成仙和尚は目の前のことに精一杯に取り組む後ろ姿で語る僧侶でした。 泰勝寺の住職として、中学校の教師として、また廃寺であった単伝寺(ら

          4月拝観法話『幸福の条件は捨てること』

          3月拝観法話『鮭(サケ)と鱒(マス)の成長の違いは、厳しい環境なり』

          3月となり少しずつ春の訪れを感じる時が多くなってきました。 泰勝寺へお参り下さり、有難うございます。 私には辛い時や苦しい時に励みにしている禅語があります。 「刻苦(こっく)光明(こうみょう)必ず盛大(せいだい)なり」という禅語です。 「刻」には、骨身を削るような苦しみという意味があり、骨身を削るような苦労をしてこそ、光り輝くものが得られるという意味がある禅語です。 「辛」という字に「一」を足すと「幸」になります。今の辛い状況が、 幸につながると信じて、乗り越えることが

          3月拝観法話『鮭(サケ)と鱒(マス)の成長の違いは、厳しい環境なり』

          2月拝観法話『鬼も福も心次第』

          節分が過ぎ、少しずつ春が近づいてきています。 本日は寒い中、泰勝寺へお参り下さり、有難うございます。 節分では「福は内、鬼は外」と掛け声がありますが、福や鬼はどこにいるのでしょうか。 福も鬼も自己の心の中にあると考えます。 地獄と天国を例えた話で、この様な話があります。 地獄での食事の内容は豪華らしいです。 しかし使える箸が一メートル以上あり、ご馳走を自分の口へ入れようとしても、箸が長くて口に入りません。 イライラして、怒りだす者や、隣の人が箸でつまんだ料理を奪おうとして

          2月拝観法話『鬼も福も心次第』

          お正月法話『仏教が考える、正しいとは?』

          新年あけましておめでとうございます。 本年が皆様にとって良き一年になることを、心よりお祈り申し上げます。 新年を迎え、心を新たに、また様々な想いをもって、お正月を迎えられているのではないでしょうか。 「正しい」と「月」で、正月です。 「正」という字は「一」を「止める」と書きます。 よって正月は、「一切止めて」、今までの人生を振り返り、自分自身を見つめなおす、新たな始まりの月です。 また、正月には「どの様な生き方が、正しいのか」「今年一年の日々をどの様に、正しく生きていくのか

          お正月法話『仏教が考える、正しいとは?』

          『毎晩ひっそりとお月様が教えてくれている心』

          月に1回、拝観日に法話をお伝えしています。 その際にお伝えした法話をシェアさせて頂きます。 【12月の拝観法話】 『毎晩ひっそりとお月様が教えてくれている心』 寒冷の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。 寒い中、泰勝寺へお参り下さり有難うございます。 コロナ禍の中、本年の拝観を無事に行うことができました。 皆様のご協力に感謝申し上げます。 冬のお月様は空気が澄んでいるのか、非常に綺麗に見えます。 満月の時には綺麗な丸い月ですがそれ以外の時にはお月様はある一部分しか見えません

          『毎晩ひっそりとお月様が教えてくれている心』