『毎晩ひっそりとお月様が教えてくれている心』
月に1回、拝観日に法話をお伝えしています。
その際にお伝えした法話をシェアさせて頂きます。
【12月の拝観法話】
『毎晩ひっそりとお月様が教えてくれている心』
寒冷の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。
寒い中、泰勝寺へお参り下さり有難うございます。
コロナ禍の中、本年の拝観を無事に行うことができました。
皆様のご協力に感謝申し上げます。
冬のお月様は空気が澄んでいるのか、非常に綺麗に見えます。
満月の時には綺麗な丸い月ですがそれ以外の時にはお月様はある一部分しか見えません。
三日月は月が欠けているように見えますが実態の月は丸いまま変わらずあります。
ただ太陽の光の当たり方で地球にいる私達にはお月様はかけているように見えます。
時にお月様の一部分しか見えてないのに全体を見ている気になります。
私たちはお月様の見え方と同じ様に、日常に生じる出来事や物事の捉え方をその時の表面のみで判断をしていないでしょうか。
表面的にその時に表れている事柄だけで「良い悪い」を判断してしまいがちですが、時間の経過とともにお月様は満月になりすべてが見えてくるように、今生じている事柄や意味合いは変化していくのではないでしょうか。
偉人の歴史を顧みても失敗やつらい経験がその後の成長や成功のターニングポイントになったという例は沢山あります。
むしろ生まれてから死ぬまでずっとうまくいく人はいないでしょう。
生きていく中で失敗や辛いことをいかに乗り越えていくのか、そのひとつが物事の 捉え方ではないでしょうか。
またお月様は太陽の光によって綺麗に光って見えるように私たちもまた様々な「お陰」で輝くことができます。
陰とはご先祖様のことも表します。いつも陰が写るように私たちはご先祖様のお陰で今の命があります。
様々なお陰で今、生かされていることに対する「感謝の気持ち」と「物事の捉え方」が心を元気に、あるいは安心にしてくれる要諦ではないでしょうか。
年を重ねることで身体は弱っていきます。年を重ねると心はどうなるのでしょうか。
心は捉え方ひとつで「ひろく、柔軟に、元気」にできるのではないでしょうか。泰勝寺はお参り頂いた方の心に元気や安心をお届けできる寺院になれる様に来年も精進する所存です。
皆様良いお年をお迎え下さい。 合掌
【追伸】
昨晩、神田沙也加さんが亡くなられた報道を見て非常に胸が痛いです。
彼女の心の苦しみを想像すると胸が痛く辛いニュースです。
宗教とは「宗とする教え」と書きます。
世の中ではイメージとして非科学的なことを説いているのが宗教と捉われていますが、宗と言う字が示すように時代が変わっても揺るがない教えを説いているのが本当の宗教です。
(昨今、脳科学などの発展によりエビデンスなども証明されてきています。)
明日を生きたくても病で亡くなる人がいる一方で、今日を絶望し自死をされる方がいます。
仏教、禅の教えを通じて苦しんでいる方の心をサポートしていき、苦しみを和らげ、少しでもご縁あって出会えた人が豊かに生きれるような宗教家になっていかねばいけないと改めて思った昨晩のニュースでした。ご冥福をお祈りします。
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