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イノベーションと捨てること ー Appleから学ぶシンプルの心ー

最近、Macを購入しました。
いつかは一度Appleのパソコンを使ってみたいと思っていましたが、これまでずっとMicrosoftユーザーでしたので、購入するには結構な勇気が必要でした。

購入のきっかけは、店頭でMacを触ってみたことでした。
私はITが得意ではないので、これまでパソコンに対しては道具という意識しかなく、いかにストレスなく使えるかに重点を置いてきました。

しかし、Macを触ったとき、まずフォルムにワクワク感を感じたのです。
Macユーザーの方にとっては、当たり前ですよね。
私には、初めての感覚だったのです。

家にMacが届いてからも、驚きの連続でした。
まず、箱を開けると、電源コードとパソコン本体しかありません。
「説明書もなく、これで果たして自分で起動できるのか?」と思いました。

今までは、お店の人にデータを移してもらったり、セットアップ作業を代わりにやってもらったりしていたので、かなり不安でした。
しかし、パソコンを開けてみると、入力するだけでスムーズにできるのです。
気がつけば、ストレスなくセットアップを完了していました。

今まで購入した日本製のパソコンは、梱包を開けると、説明書や付属品、ウィルスソフトなどの不必要なチラシが沢山入っていて、それらを整理するだけでストレスを感じていました。

パソコンをセットアップするのも結構、複雑で、パソコン音痴の私には苦痛な作業でしかありません。
また、用途がよく分からないソフトが山のように入っているので、必要なものだけを選ぶのも一苦労でした。

今回、Apple社の製品を体験したことで、日本の会社とのスタンスの違いがよく分かりました。

おそらく日本の会社は、付属品や機能を増やすことが顧客満足に繋がると思っていたりするのではないでしょうか。
マニアの方にはいいのでしょうが、私のようなIT音痴にとっては、機能が増えすぎることで複雑になって、混乱するのです。

これは、最近の日本製のエアコンやテレビなどにもいえることです。
いろいろな機能がありすぎて使えません。
ボタンが多すぎて、逆に複雑になっているのです。

しかし、Apple社はそれとは逆に、削っています。
時には不便さえも顧客に強いながらも、本当に必要なものだけを残しているようです。
シンプルにすることに挑戦しているように感じました。

シンプルになると、まず安心することが分かりました。
そして、「自分で何を足していこうか?」というワクワク感が生まれます。

Apple社の故スティーブ・ジョブズ氏が禅を学んでいたことは有名です。
Macには、まさに石庭に代表されるような古の日本文化の「わびさび」を感じます。
これは少し言いすぎでしょうか(笑)

日本人の原点ともいえる禅の心をアメリカのApple社がプロダクトに取り入れていることに、心から尊敬の念を覚えました。

そして、驚きは続きます。
購入して間もなく、キーボードが壊れたのです。
日本製品を使っていた私には信じられませんでした。

長年のMacユーザーの友人はこう言いました。
壊れるのは当たり前。
イノベーションに失敗はつきもの。

Apple社は壊れることをそんなに恐れていないそうです。
壊れたら直せばいい。
そうやって製品を育てていくという文化だそうです。
おかげさまで、壊れたパソコンはスムーズに修理され、返ってきました。

先日、クライアントの経営者がAppleの本社に招待されました。
そのとき、Apple社には、タスクも数字目標もないことを聴かされたそうです。
いいものを作るために、とにかくEnjoyする。
そのために、余分なタスクを削るのです。

もちろん、プレーシャーは色々あると思いますが、社内は、活気と楽しさに溢れていたそうです。
全社をあげて、楽しんでいるからこそ、製品を手に取ったユーザーの心にも楽しさが沸き起こるのでしょう。

しかし、そんなApple社も、曲がり角に来ているようです。
ジョブズ氏がいたときのようなイノベーションが起きていないのです。
最近出たiPhoneも過去の延長線上に感じます。それが売り上げにも顕著に表れ始めています。
この世にないサービスを求められる会社だけに、いかにイノベーションを起こし続けていくのが難しいかを感じます。

イノベーションとは、経営革新、技術革新など大きな変革を意味します。
ビジネスの現場では非常になじみ深いキーワードですね。

企業の一生を考えると、まず創業期があり、成長期がきます。
ここまで一気に右肩上がりの成長を遂げますが、いつしか成長は止まって安定期に入り、やがて衰退期になり、曲線は右肩さがりになっていくというものです。

 実はこれは人にも同じことが言えるのです。
人は一直線に右肩上がりだけを続けることはできません。
必ずどこかで安定期に入り、衰退期に入っていきます。

だからこそ成長期または安定期に入った頃に、第2の成長曲線を作ることが必要になってきます。
そして既存の曲線が衰退期に入る時に、新たな芽を出すことが可能になります。
しかし、分かってはいても、実際には革新的なイノベーションを起こすことに踏み切れないのです。

それはなぜでしょうか?
新たな成長曲線を作るためには、既存のものの延長を捨てなければならないからです。

まったく上手くいっていないならまだしも、まだ上手くいっている状態で、革新的な変化を起こすことには大変なリスクが伴います。
人は、一度手に入れたものに執着してしまいます。
名声やお金、過去の実績を手放したくないのです。

そして二兎を追おうとすると中途半端になります。
だからこそ「捨てる」ことが必要なのです。
既存のものを捨てることで、新たな革新にチャレンジするための時間や労力が確保できます。

まず捨てる。そして作る。

しかし新たなチャレンジを始めても、新たな成長曲線がいきなり右肩上がりにはなりません。
結果が出ない日々が続くと、焦りや不安、迷いが襲ってきます。

新たなことを始めたことを後悔するかもしれません。それでも諦めず、不安を乗り越えた頃、新たな曲線は成長軌道に乗り始めます。
アスリートでもビジネスパーソンでもこの新たな成長曲線を作ってきた人は、長く第一線で活躍できているのです。

Apple社が次のイノベーションを起こすために捨てるもの。
それはスティーブ・ジョブズかもしれません。
スティーブ・ジョブズが生前やってきた過去も仲間もすべてを捨てるという覚悟。そして何かを生み出すためには会社が潰れることも厭わない狂気ともいえるフロンティア精神。
これからApple社は、「ジョブズを捨てることが彼のスピリットを残していくこと」という皮肉な真実に直面していかなければならないのではないでしょうか。

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