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『叫』 黒沢清らしからぬ良くも悪くもない映画。リアルさがないので感情移入しにくい。

評価 ☆




あらすじ
東京湾岸の埋め立て地帯で、3件の殺人事件が起こった。若い男性が婚約者のを殺害。医師が息子を殺し、OLが勤めていた社長を手にかけた。いずれの殺害手口が同じだった。加害者が被害者の顔を水たまりに押しつけて、海水の中で窒息させていた。




黒沢清監督の映画『叫』を観る。さけび、と読むらしい。2006年の映画で、出演は役所広司、小西真奈美など。『CURE』も悪くないけれど、個人的にはジョン・カーペンター風の『回路』がお気に入りである。黒沢清の映画となると『ニンゲン合格』くらいだと、「まぁ、いいんじゃないの?」という気になるくらいのファンです。



映画『叫』だが、途中から先が読めるからあんまり面白くない。幽霊がベラベラ喋るのもよろしくない。幽霊は何もいわずに、じっとしていたまえ。自己顕示欲の強い幽霊だな、と思っていたら葉月里緒菜だった。実物も「私が! 私が!」と言いそうである。こういう女性は苦手。



役所公司は相変わらずで別に良いとも悪いとも思わない。うまいなぁでも、下手だなぁでもない作りである。観ながら物語というものを考える。「観客になんてわからなくていいや」と思って作っている監督っていないんだろうな。もちろん『叫』も伝わってくるところはある。でも、話が飛躍しすぎてわかりにくいし、感情移入しにくい。



『キュア』や『回路』には重みがあった。しかし、この映画はリアルな感覚が希薄なせいで共感できない。そのせいか、驚かそうとされても驚くことができない。



小西真奈美も、加瀬亮も、オダギリ・ジョーも登場している。誰ひとりとして「うまい」と感じさせない。なぜなんでしょう。黒沢清監督は俳優の上手い下手、存在感のあるなしなんて関係ないのかもしれない。空飛ぶシーンはふわふわしてて気持ちよさそうだった。飛び降りるシーンはイヤだが。



というわけです。カンヌで人気を集めていた『トウキョウソナタ』に期待しようかな。それとも別の映画を観ようか。



初出 「西参道シネマブログ」 2008-09-29



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