見出し画像

アウトプット馬鹿になるな(input&output論②)

お世話になります。ドリームラーナーズの石原です。鳥取県倉吉市で進路指導と学習法指導の塾を運営しています。学習指導は中学生・高校生・大人、英語の指導は小学生から対応しています。LINEなどを活用して、遠隔地でも進路指導・学習指導に対応しています。

私は、問題集やるだけ、教科書読むだけ、みたいな人への忠告として、インプットとアウトプット(2種類)をセットで設定しろ、といつも言っています。

今回はその第二弾として、「アウトプット馬鹿になるな」「アウトプットは2種類あるからその違いを明確にしろ」という話をします。

問題が解けるだけが気持ちいい、自称「実践派」

そしてまた、問題集を解いてばかりで全然入試問題が読めるようにならないアウトプット偏重、と言うか、偏愛派もいます。

特に数学でやりがちなのですが、

解けません→解説みる→次の問題、解けません→解説みる→次の問題、解けません…

これって、実際には

解けません→解説みる(分かったつもり)→次の問題、解けません→解説みる(分かったつもり)→次の問題、解けません…

ですし、もっと言うと

解けません→解説みる(分かったつもり)→次の問題、解けません→解説みる(分かったつもり)→次の問題、解けません…

(2周目)→(一回やった問題なのに)解けません→解説見る(分かったつもり)→次の問題も、一回やったはずなのに、解けません→…

となるやつです。何も身についてないんですよね。やった感だけ残るので、インプット偏重よりも「なんかやってる感」が出てしまうのが厄介です。

分かったことを、問題文だけから説明可能になるまで、定着させてないことがこの原因なんですね。

これは、白紙再現の記事でも同じことを話しました。

今日はこの話を、アウトプットを2種類やることで

アウトプットその①:1つ1つの「基礎」を説明可能になるまでインプットの完成度を高める

これがいわゆる基礎固めというやつです。インプットと何が違うの?というところですが「実際の問題」に対して「適切に答える」という問題を解く上での必要最低限のトレーニングを積むところが違います。

歴史や数学で勘違いしがちなのですが、基礎=一問一答、基礎=計算問題をひたすらやる、ではありません。用語そのものを答えなければいけない問題でも、問題文はそれがわかりやすく書いてくれているとは限りません。

スライド11

このため、例えば数学や理科ならば「基礎」に該当するような問題であっても、証明問題をはじめとして、相当な記述量・読解量・知識量を要求する問題は多いです。

歴史や地理・公民では、用語同士の繋がり、流れの説明ができないのに、記述や論述問題が合格点に足りるほど解けるはずもありません。マーク式であっても問題文が難解なものもたくさんあります。

英語・国語はこうしたインプットとアウトプットの境目がわかりづらいですが、語彙力や読解法といった知識技術のインプットの量が、アウトプット(目の前の本文・問題文の解釈とそれに対する応答)に影響しているのは間違いありません。類比を示す語句、対比を示す語句、因果関係を示す語句、すぐにいくつかの例が出てきますか? 短文で、論理関係の適切な把握ができるようになっていますか? 英語や国語は、そうした小さいアウトプットを通じたインプットの確認が、アウトプット①と言えるでしょう。

ここを固めていく中で、最初は「パターンマッチング」で覚えていくこともありでしょうが、最終的には「なぜそのパターンに当てはまるのか」を説明可能にするまでやり込まなければいけない時が来るでしょう。

そして、こうした説明を網羅していく中で、ただひたすら覚えていくだけではやはり単なるパターンマッチングに過ぎず、限界がきてしまいます。

基礎を網羅していく中で、基礎同士を結びつけ、使用目的や意味で分けながら抽象化していき、次の段階であるアウトプット②(基礎の有機的な繋がりを見抜き、適切な解答を書き上げる練習)で対応できる問題のレベル・幅を高めていく段階に移行する必要があるでしょう。

「抽象化作業」には、

①複数の項目に渡って存在する、「応用の効きやすい原則」を理解し
②その原則が働いているものを見抜く練習をする

という2段階があります。①も②も手応えが出てくるまでにはかなりの時間と思考の訓練が必要です。

ひたすら基礎の一問一答を網羅的にやっているだけでは、これに気付きづらいことがあるので、段階に応じて問題集や参考書は変えていくことが必要なのです。

この「抽象化作業」もいつか記事にします。

アウトプットその②:問題文を読んで考えて、適切な解答を書き上げる練習

ある程度1つ1つの基礎が固まってきたら、いよいよその複合体である入試問題に手を出していきます。

複合体であるばかりでなく、何と何が合わさっているのか、何を必要としているのか、基礎1つ1つに比べても遥かに難解であるのが、このアウトプット②の特徴です。

スライド7

例え問題文が短くても、何をしていいか明確にわかるまでに試行錯誤が必要になってきます。

東大の有名な問題ですが、

πが3.05より大きいことを証明せよ
sinの加法定理を証明せよ

これらを適切に証明するのに、基礎を一問一答的に覚えているだけではとても太刀打ちできません。問題文を読んで何を考えるか、何がヒントなのか、どこにフックをかければいいのか、そうした思考の訓練を積んでいきましょう。

白紙再現の記事で書いたことを再掲します。

試験問題は、無限の範囲から考えることを要求してはいません。「問題文に書いてあること」が「思考を限定し、解答に導くためのヒント」なのです。ですから、見たことがある、ない、ではなく「何が書いてあるから」「何を考えろと言っているか」を頼りに、自分の思考の範囲を限定して普段学習している時に発揮できる知的能力を活かせるように練習しよう。

スライド29

学校はこればっかりやらせがち

進学校で受験学年だと、こればっかりやらせたがります。しかしそれは、生徒みなさんが授業の進度に合わせてアウトプットその①をやり尽くしてくれているという期待があるからでしょう!

できたら到達度確認しながらやって欲しいところですが…

アウトプットその①をある程度こなしておかないと効果が出ないのがこのやり方です。

最初は①が大半で、ある程度①ができるようになってきたら②の割合を増やし、最終的には②をやっていく中で、自然と①もできているような状態に持っていくのが理想です。あらゆる入試問題は①の集合体です。

1冊の問題集を繰り返すことで、適切な問題の形式・レベルに対して網羅的な知識・公式・考え方を持って何度も確認して実戦練習ができるようにするのが、受験生が到達すべき境地です。

先生たちが最初から難し目の問題を課すのは、これを期待しています。
しかし、それを伝えるのをオサボリしてしまう先生が多いのです。

みなさんはこうした勉強の原則を頭に入れつつ、授業中もボンヤリしないでアウトプット①を積み重ねて、なるべく②をスムーズに増やせるように普段から①をたくさんやりましょう。

本日は以上です。

難関大志望者の中で勝ち残る学習法を公式ウェブサイトで公開中!
LINEやSkypeによる無料相談も受付中!


サポートをいただいたら、大学受験用の参考書・問題集の購入に使います。解説してほしい問題などありましたらリクエストしてください。