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間違いない英語勉強(2024年版)

概要

フェーズ1:英単語と文法
フェーズ2:英文解釈と定型表現(イディオム中心)の暗記
フェーズ3:「ただ読む」「ただ聴く」
フェーズ4:「解く」「書く」
+ 全体にわたって音声でのアウトプット中心

前提=進学中心の公立高校普通科現役生

学校の授業は、よくある天下り式の説明が中心で、生徒たちが自力で読めるようになる技術の教授にはなってないが、課題は割としっかり出されるため英語の問題に触れるチャンスは多い(が、技術不足で活かしきれておらずただやっているだけの生徒が大半)、という想定

基本は「共通テストまで」から「英語が課されても地方大学or中堅ブロック大学(岡山・広島など)レベルまで、あわよくば旧帝大の中でも九州・北海道・東北まで狙いたい」ぐらいを想定。

東大や京大も、以下の教材で対応できんことはないだろうが、最後の演習部分は自分で詰めてもらわなくてはいけないので対応範囲外。

医学部医学科は問題のレベルが合っていればあとはやり込みで人によってはなんとかなると思うが、もっと高度な論理的支柱が欲しいところ。具体的にはウンボボ(略。

あと、現時点で英語はなかなかできないよね、という生徒を想定。すでにできている人は今のまま頑張ってください(投げやり)。

フェーズ1:英単語と文法

英単語帳

中学レベルの単語も怪しいなら学校から渡されているレベルより1つ下のところから始めてもいい。必ず音と共に単語を覚える訓練をする。アプリを使って音声と共に覚えることを推奨する。

どうしても決められないならターゲット1400あたりでいいやろ。1400を大体覚えたとなってから1900にいく、part1,2までをまず覚えていく。それぐらいは文法の勉強と並行してやらないと後がつかえてしまう。

受験生に入ってからの初学の段階で速読英単語系統はやめた方がいいと思う。まず量を音声とともに入れる。声に出して覚えてね。

英文法

網羅的ではあっても、辞書的なものを最初からはやらない。具体的には「総合英語」と名のつくものを通読しようとしない。ただし、ほとんど全ての普通科では何かしらの総合英語を交わされるため、これは有効に利用したい。

入門だからといって、説明的なもの(よくある「大岩の英文法」←これ自体はとても良い本で、苦手な人がとりあえず始めたい、という時には最適)をここで始めても、最終的な機能が総合英語と被る。別にそれから始めても構わないが、個人的には英文法10題ドリルを入門→基礎と進めるのをお勧めする。全ての問題の並ばせ方が、正確な説明と共にできるようになるのが目標。

これを進めながら、解説のワンポイント講義も十分に理解しながら、必要な補足を総合英語で「引く」=「巻末の索引から必要な情報へアクセスする」練習をしてほしい。

「情報の引き方」を侮るなかれ

「総合英語の巻末の索引で用語や定型表現を調べて引く」という基本的な情報取得方法が育ってない人は、そうである人と比べると、フェーズ1を終えた段階での仕上がり方が全く違う。「よく知らない用語」を誤魔化さずに、なるべく説明可能なものにするために、正確で十分な説明への当たり方を練習してほしい。

(番外)辞書

辞書は物書堂のアプリ一択だと思う。何冊も横断して調べられるし、早い。

パカパカ電子辞書は完全な下位互換。スマホを見なくて済む、という大きなメリットはあるにしても、クソ遅い。そしてWeb辞書やgoogle翻訳はもっとカス。(使われ方によって単語の意味が変わるという英語の常識がわかってないタコな)高校生が使いこなすのは難しいと思う。受験で使わないし、力つけたいと思ってないなら好きに使えばいいし、英語の仕組みがわかってるなら好きに使えばいい。使ってて効果が出ないのわかってて使い続けるのはカス。

どうせスマートフォンは常に持ち歩いているのだから勉強中も機内モード・通知全オフ・画面白黒にでもして使うのがいい。

iPhoneの内蔵の英和和英辞書もウィズダムなのでそれでも単に単語だけ調べるのには使えるが、熟語や用例は引きづらいためアプリ一択だと思う。

辞書の読み方・使い方をよく知らない問題もあるが、まずカッコから入ってもらった方がいい。早いは全てを解決する。

フェーズ2:英文解釈と定型表現の暗記

英文解釈

私が「英文解釈」と呼んでいるのは

1つの文で英文法がどう使われているかを自力で見抜く練習

のことです。なるべく〈SVOC〉を振ってほしいが、めんどくさいのに手を動かして振ったらいいのかと言われると、困ってしまうが、勉強できないという自覚がある人は最初は見よう見まねでも手を動かして分析しようと方がいいと思いますよ。それが自然とできてしまうレベルの人はここを(生徒の視点では)見にきてないでしょ。めんどくさいことをサボってきた結果ができない君を生んできた。

勉強は面倒なものだが、訓練次第で、かつてめんどくさかったことが一瞬でできるようになるので、そこが面白い部分。

英文法を学んだ時点で自力でできるような気がする(誤解から全ては始まる)なら、いきなり「英文 入門問題精講」へ進んでもいいがこれ結構難しいんだよな。国公立なら地方大の英語なら、十分渡り合えるレベルなので、人によっては解釈の最終段階になるレベル。

なので、開始時期にもよるが、こちらから入るようにお勧めしている。

最初に10題ドリルから始めた人は、ここからちゃんとした講義系に移っていく。一通りやった後、Excercise Bが自力で通しでできるかどうかで「英文 入門問題精講」に進むかどうかは判断してほしい。

高校1年生だとこれもちょっと難しいかもしれないので、1冊噛ませるならば以下の問題集になる。

こういった教材は、意識的に構文をとって解説を読んで理解した後、必ず本文を音読をしてほしい。音読のスピードで、どこのタイミングで構文が判断できるのか試してほしい。なるべく左から右へ読んだ段階で理解したいのだ。

せっかく音声がついている教材を選んだのだから、音声レベルでやり込むのを基本としてほしい。

で、これらをやっている間も、学校では長文を読んだりプリントをやったりうんざりするぐらい課題が出るとは思うので、そこで学んだ知識を活かして〈SVOC〉を取る練習ぐらいはしてほしい。音読も定期試験対策を考えれば同様である。

定型表現の暗記

一般的に、入門的な英文法の教材だと、どうしても「定型表現」の習得については量が足りないことが多い。まあルールの把握のためには、この「定型表現」のボリュームを抑える必要があるのは致し方ないと思う。解答のワンポイント講義などで補足している場合が多いため、実はここまでの進め方次第で大きく変わるポイントでもある。

ただ、解釈にあたって、定型表現をたくさん知っておくことは、読解の省力化につながる。実際の長文にあたる際にも「例外処理」として「定型表現」を知っておけば楽になる。ただし知ってる表現ばかりとは限らないし、それに当てはまらないなら、ルールに則った解釈をすることになる。

最終的には、「定型表現」での見抜きと、「ルールに則った解釈」とを自在に行ったり来たりできるようにしないといけない。どちらか片方だけでは限界が近くなる。

で、解釈の勉強をしながらのタイミングで、たとえば「熟語帳」や「会話表現」を色々入れていくのが良い。学校から渡されがちな「ネクステ系」と呼ばれる文法演習(笑)教材のイディオムや会話表現の部分は、この目的ではとても有効に使えるだろう。

フェーズ3:「ただ読む」「ただ聞く」

(なるべく)ただ読む

解釈が進んできた、一通り終わった、復習をしている、という段階で、「ただ読む」教材を使って、英文解釈まで得た知識を技能に転換するために、慣らしてほしい。

普通に英語長文の問題集で良いのだが、できれば解く段階で負担がかかりすぎないものが良い。なるべく読むのに集中したい。

お勧めなのは、以下のようなステップで進めて、シームレスに「解く」段階へ移るのを目指すことだ。例となる問題集も合わせて挙げておく。

①「読む」が中心の長文問題集

基本的に読むのが中心で、ほとんど「解く」ことをしない。ただひたすら読むだけで、構文の解説が中心となっている、やり込み型の本を想定している。

ぐんぐん読める英語長文(できるだけBASICから始める)とか

Z会の速読シリーズあたりが適当だろう。現在はどのレベルでも構文の解説が必ずついている。速読英単語・英熟語シリーズは自分の現在到達レベルにあわせて良い。

②「解く」レベルがやさしめの長文問題集

意外と冊数が少ないのがここである。
長文の問題集のほとんどは私立国公立の問題が混在しており、たとえば「和訳」と「選択問題」が混合されていて、「解き方」を意識しないと取り組みづらい=読むのに集中しきれない問題が多い。

そのため、できるだけ「選択問題のみ」の長文問題集をこの段階で選ぶことをお勧めする。昔は探すのが大変だったが、現在はこの意味で定番で扱える問題集がある。

全レベル問題集 英語長文のレベル3である。レベル2でも4でもない。3をやってもらえれば、割と普通の長文が、全部選択問題で掲載されているため、腕試しにはちょうど良い。

③「解く」のがやや難しい長文問題集

「やっておきたい」はここで出てくる。なぜか? ②で述べたような「問題の難しさ」がこの問題集にはあるからだ。和訳も選択問題も同時に効率よく解くことの負担が大きくなってくる。

でも、ここのレベルは、学校の課題と重なるんです。課題の英語長文、ほとんどの人にとっては難しいですよね? そのため、学校で定期的に長文を解く課題が出ているならそちらで十分となる場合が多いです。足りない人だけこのレベルからやりましょう。

ただ聞く(上記の教材を中心に)

ただ聞くの方は、上記の教材を進めながら、最終的に音読(音声)だけで長文の内容が理解できるまでやりこんでもらう、ということになる。

実はこれは最終的なリスニング対策とは一歩離れている。会話じゃないし。ただ、英語のつながった音などを意識的に捉える前に感覚的に掴んでおいてほしい。

それでもリスニング教材もやりたいです、ということであれば、共通テストのリスニング問題集を1つ用意してやってもいいだろう。ただしこの段階で時間がないのに無理にやる必要はない。読む方に集中して、音声をそこに当ててほしい。

さらに余裕がある人は「英語耳」とか、youtubeで自分の好きな情報を配信している英語話者のチャンネルをみるとかなんでもできますわな。

注意:「聞き流し」は無意味と割り切って

すでにシャドーイングできるレベルになっているものを「聞き取れる前提で」聞き流しするのは全く問題ないと思いますが、わけのわからないものをただ聞き流しても無意味です。勉強した気分になる前に、もっと真剣にやる時間を増やした方がいい。音声情報に意識を向けろ。声を出して真似しろ。

同様に、○○分で全部まとめる系の動画も、再生数を稼ぐ以上の意味はないだろう。どうせあれを見たところで、自分でも同様にアウトプットできるところまでやってやろうという気分になる前に勉強した気分になってお腹いっぱいなのだ。作ってる本人が一番勉強になっている。だから似たような動画を出しても再生回数は高いまま。誰も離脱してないの。

フェーズ4:「解く」「書く」

「解く」

共通テストとかまさにそうだが、単に何かを知っているだけでは(知らないなら当然に無理)あまり太刀打ちできずに終わる。7割以上を目標とするのであれば、「解く」ことに対して真剣に向き合う必要がある。

大学入試の問題(一般入試の筆記試験)は「落とすため」「差をつけるため」に作ってあって、「単に知っているかどうか」を測るものと、「知っていた上でそれを使いこなせているかどうか」を測るものとある。

ただし、「大量に知っていること」で「使いこなす力が弱い」のをカバーできてしまう側面があるため、英語力(えいごぢから)が強い人は、大量に覚えることを提案しがちだが、それも1つの方法ではある。

ここではそういう話がしたいわけではなく、「使いこなす」ことに焦点をおいて話をしたい。フェーズ3でも「ただ読む」「ただ聞く」にフォーカスを当てているのは、フェーズ4で「解く」ことに集中できるようにするためだ。

ただし、このフェーズに到達したからといって、定型表現の暗記やら文法規則の習得やらが完璧なわけではないため、そうしたインプットを網羅していく取り組みは依然として必要。さらに1段階上のインプットが必要かどうかは現在の実力と、目指している大学(の問題)によるだろう。

さて、具体的に「解く」のに特化した問題集は実はそこまで多くない。

共通テストを受けるのではなければ、大体の私立の大学は、フェーズ3「ただ読む」ができれば、素直に受かってしまう大学がほとんどである。ただし、他の科目が問題なければという前提。他の科目の話はしてない、念の為。

なので地方国公立大学が第一志望で、二次試験に英語があるというなら、まずフェーズ3までを這いつくばってやるしかない。そのあとは同レベル帯の長文問題集と、赤本。

フェーズ3までが素直にできていれば、さらなる解法研究が必要となってくるのは、共通テスト(4技能試験に強い場合は別)、難関私大、国公立の中堅〜上位難関である。

これらも、ブロック大レベルや地方旧帝大であれば、共通テスト攻略(受験ではなく)が終わってからCANPASSと過去問研究をやっていけば何とかなる大学が多い。過去問研究に手間をかけてほしい。赤本自体はテンション高めるためにあってもいいが必ずしも必要ではない。

あとは、それぞれの試験・大学に合わせた過去問研究の素材(赤本ではなく、各大学対策が具体的に書かれた問題集・参考書)があると良いだろう。いくつか列挙しておく。

「書く」

読む時に考える英文法と書くときに考える英文法になるべく齟齬がないようにした方が効率が良いのは間違いない。

英作文は、それが課される大学を志望する場合にしか気にしないかもしれないが、基本文を英語で出す練習をすることで、読解の方にも役に立ってくるのは間違いないため、「英作文がある大学を受けるかも」のレベルでも、解くフェーズに至った段階で、並行しておくのをお勧めする。

英作文の教材選びはトラディショナルなものを選びがち(ハイパートレーニング)だが、最近はカジュアルで取り組みやすい(効果も出る)ものが増えているため、それぞれのレベルに合わせて「一番基礎のもの」を徹底してやった方が良い。

「自由英作文」が課される場合には、「和文英訳」をある程度できるようにしてから「自由英作文」に取り組むのがよい。そうなっている1冊の本か、それぞれのテーマで1冊ずつあると良い。秋以降の受験生に勧める本はレベルに合わせて以下の2冊だが別にこれに限らない。

ハイレベル(中堅〜旧帝大)を求める場合はこれぐらいが良い。

総括

英語力(えいごぢから)をつけて、各大学の試験形式に向けて解く練習をしよう。以上。

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