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新規事業立案の考え方:①概観

本記事の目的

新規事業立案の流れや進め方、具体的な取組み内容、及び取組み時に意識していることを整理しています。
そのため、これから新規事業立案に携わる方新規事業立案に興味のある方の参考になれば幸いです。
また、今後コンサルティングファームへの就職・転職を考えている方にとっては、入社後の仕事内容をイメージする参考になれば幸いです。

新規事業立案PJが発生する背景

そもそも、コンサルティングファームにクライアントから新規事業立案に関する支援依頼が来る背景には下記のようなものがあります。

・既存事業に加えて、中長期的に新たな収益柱となる事業を作りたい
・競合他社が取り組んでいる新規事業を弊社でも立ち上げたい
・昨今盛んなテクノロジー(AI、IoT、ブロックチェーン等)を活用して新たな事業を作りたい
・一方で、社内では既存事業の推進・改善活動が中心で、新たな事業立上げの経験がなく、外部の力を活用したい。

僕が過去に参画したプロジェクトは概ね上記背景からスタートしていました。なお、立案する事業の収益規模感は案件毎に異なりますが、概ね3-5年後に売上数億円~数百億円規模の案件が多かったです。
(明確な売上規模感のイメージがクライアントにないケースもあります)

新規事業の主なパターン

新規事業と一言で言っても実はいくつかのパターンがあります。

スライド1

簡単にまとめましたが、大きく3つぐらいのパターンに分かれると僕は思ってます。
①:事業領域確定型
②:自社既存アセット活用型
③:フリースタイル型

①:事業領域確定型は、事業の業種やテーマ(活用技術等)が既に定まっている場合です。
例えば、
『IoT関連新規事業を検討中だが上手く進まないため支援してほしい』
『今後有望領域と見込まれる医療領域で新たな事業を立ち上げたい』
等のケースです。私が参画していたプロジェクトでは、このケースが多かったです。

②:自社既存アセット活用型は、クライアントが保有するアセット(技術や工場、人財や知見、等々)を活用することが決まっている場合です。
例えば、
『工場内の遊休資産(空きスペースや機械)を活用し、新たな事業を考えたい』
『多数の技術特許を保有しているが、有効活用できていない』
等のケースです。

③:フリースタイル型は、事業領域や活用アセット等定まっていない状態から新規事業を立案する場合です。
例えば、
『とりあえず、何か新規事業を行いたい』
『競合他社が新しい事業を始めたので、弊社でも行いたい』
等のケースです。(あまり遭遇するケースは少ないですが…)

ただし、この場合でも概ね何らかの観点や評価軸を基に、事業の軸足を定めた上で検討を進めることになるため、①:事業領域特化型②:自社既存アセット活用型のいずれかに集約されるはずです。

新規事業立案の進め方(概観)

では、そんな新規事業立案をどのように進めるかを簡単に整理しました。
なお、本来は論点に合わせてアプローチはカスタマイズするのですが、ある程度汎化するために、大枠と主な取組内容を整理しています。

スライド2

大きく4つのステップで進めていきます。
(ここで立案した新規事業案を具体化するのは、次工程のイメージです。)
A:外部・内部環境分析
B:事業モデル策定
C:実現性検討
D:ロードマップ・収益性概算

A:外部・内部環境分析は、個人的には一番重要だと思ってます。なぜならば、ここでのインプットの量・質が、その後に策定する事業モデルの質を左右すると言っても過言ではないからです。
一方で、検討全体の中ではあまり時間を掛けたくない部分のため、概ね1-2週間程度で膨大な量のリサーチを行い、そこから示唆抽出をする必要があるため、プロジェクト内では最初の踏ん張り所です。
ポイントは、ある程度事業モデルの仮説を持った上で分析を行うことです。

B:事業モデル策定は、A:外部・内部環境分析の結果を踏まえて、参入領域やサービス内容等を検討します。
”新規事業”と聞くと、世の中に全く存在しない物を作ることを想像する方もいるかもしれませんが、基本的には、既存で存在するある要素と別の要素を組合せる事で作り上げることが多いです。
(そのため、A:外部・内部環境分析は、組合わせる要素の引き出しを充実させる上で重要)

C:実現性検討は、B:事業モデル策定で検討した内容が、実現できそうか、又はどのように実現するかを検討します。
そのため、事業モデルを実現するために必要なケイパビリティ(要素・機能等)を整理し、自社内製化で賄えるか、難しい場合には社外企業との協業が必要、等の検討を行います。
個人的に新規事業立案PJで面白いと思うのは、このフェーズです。というのも、自分が立案した事業モデル(案)が他社等から評価されるか否かを検証できるからです。
特に、社外企業との協業が必要な場合には、実際に協業候補企業の担当者にアポを取り、事業モデル案や協業プランを説明する資料を作成し、プレゼンする所まで行います。ここまで上手く進むと、事業立上げの具体化開始が見えてきます。

D:ロードマップ・収益性概算は、立案した新規事業を今後どの程度の期間で展開するかを整理し、その結果どの程度の収益が見込めるかを概算で試算します。
概ね、3-5年程度の期間において、幾つかのステップを切ってロードマップを描くことが多いです。
(理由は、担当役員の人事が概ねその期間のため...)

詳細は次回以降に説明

新規事業立案を行う際の大まかな流れや考え方は説明したが、では具体的にどのようなタスクを行うのか、その時に何を意識しているのか等については、また次のnoteで説明しようと思う。

本記事のまとめ

新規事業にも大きく3つのパターンがある
①:事業領域確定型
②:自社既存アセット活用型
③:フリースタイル型

新規事業立案の進め方(概観)は下記
A:外部・内部環境分析
B:事業モデル策定
C:実現性検討
D:ロードマップ・収益性概算

新規事業立案を行う上で参考になる書籍

過去に様々な新規事業立案プロジェクトに参画してましたが、数ある書籍の中でこれは参考になると思った書籍をご紹介し、まとめとさせていただきます。

1.3000億円の事業を生み出す「ビジネスプロデュース」戦略 なぜ、御社の新規事業は大きくならないのか?

事業創造プロジェクトを多数手がけるドリームインキュベーターの取締役・役員が、新規事業の立上げ方を物語形式で説明していく良書。

2.新事業開発スタートブック あなたの会社にイノベーションを起こす

ATカーニーやソフトバンクにおいて数々の新規事業を手掛けてきた著者による書籍。コンサル・事業会社両方の観点で新規事業開発に関する知見・ナレッジがまとめられており、大変勉強になる。

3.リクルートの すごい構“創”力 アイデアを事業に仕上げる9メソッド

BCG日本代表の杉田さんによる、リクルートがなぜ次々と新しい事業を生み出せるのか、その理由やエッセンスが多分に含まれた良書。特にプラットフォーム事業を検討する上では、リクルートのリボンモデルやそれに紐づく要素は必見。

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