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どこかで焦りが生じていた。 それが判断を鈍らせたのかもしれない。 〈仁!左、来るっ!…
(……寝てやがる) 時刻、2135。 確かに今日は顔を出すのが遅くなったが、まだ宵の口。…
樹々が秋の装いになり始めた頃、仁の退院が決まった。 連絡を受けた檜皮が早速病室までや…
飛行部隊での初日、仁は顔合わせもそこそこに1期メンバー10人のフライトをチェックした。 …
「おぅ、聞いたぜ」 翌朝、顔を合わせるなり白群が口を開いた。 「腕一本で操縦か。面白い…
「饗庭が上層部寄りなのは知ってたが……黄丹の腹心だったとはな」 「面識は?」 「俺は名前…
最後の夜間訓練が終わり、鳶は官舎に戻った。 夜明けまでは未だ時間がある。彼は静かにドアを開けた……リビングに灯りが点いている。 「お疲れ様です、浅葱」 「あ、補佐官。お疲れ様です」 「ご苦労だったな、鳶」 「……常磐?!お休みではなかったんですか」 てっきり寝ていると思っていた人物の声まで聞こえて、鳶の目が丸くなった。 「傷に障ります、こんな時間まで」 「コイツと話したい事もあるからな。そう心配するな、ちゃんと仮眠は取ってる」 「……そうですか?」
軽いプロペラ音が何処からともなく響いて来た。 「珍しいな。民間機か」 「……ああ、今日…
式典の閉会を告げる声が、モニターを通してがらんとした空間に響き渡る。 一拍の間を置い…