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藤井風の「まつり」は日本のウエッ祭

 MV開始五秒後から始まる「まつり」のイントロは恐らく笛をサンプリングしたものと思われ、古き良き日本のお祭グルーヴを現代のポップソングにアレンジし、祭の儚さと切なさと心地よさを呼び起こしてくれる日本のウェッ祭ソングが、藤井風の「まつり」だ。

  そんなウェッ祭のグルーヴはアメリカ西海岸のウェッサイに強く影響を受けたのかもしれない。次の曲はドクタードレーfeatスヌープドッグの楽曲だが、開始51秒ぐらいから始まる音色のイントロと本場ウェッサイのグルーヴを聴き比べて欲しい。

 本場のウェッサイは流石に笛をサンプリングした訳でも、日本の祭を意識している訳でもないが、どこか共通点したものを感じる。特にイントロと曲全体のグルーヴは、藤井風側が最大級のリスペクトを持って、約30年前の本場ウェッサイをオマージュした楽曲だと勝手に想像してる。

 ちなみにご存知の方も多いだろうが、「ウェッサイ」とはウエストサイドの事で、アメリカの西海岸で生まれたヒップホップ文化の総称だ。ちなみにイーストサイド(東海岸)で生まれたヒップホップ文化の事は、語呂が悪いのか「イッサイ」とは言わない。。

 話を戻すと、藤井風側がどこまで本場ウェッサイを意識して制作した楽曲なのかが、個人的には気になる。(全然意識していないという事は、さすがにないとは思うが・・)

 というのも、藤井風は岡山県出身で日本の西寄りウエストサイド側の生まれだ。その藤井風が、本場ウェッサイ風の日本のウェッ祭となる曲をリリースしたのは意義深く、色々かかっていて面白いなと感じた。(ただの深読みかもしれないが)

 私自身の勝手な推察による憶測の域を出ない言い分からの主張で誠に申し訳ないが、藤井風は今後ウエストサイドJPOPの象徴となるアーティストになると確信している。

 なぜなら今後JPOPは世界で飛躍するからだ。
その理由は大小様々あるが、飛躍する事は間違いない。

  マクロ要因としては、日本のハードパワー(これまでの日本経済を支えてきた製造業等)は残念ながら少子高齢化も相まり衰退していく。賃金が相対的に上がらなくなる経済構造の日本は、このままでは内需の停滞が加速する。そうなるにつれ日本のソフトパワー(エンタメ)は外需に活路を見出すしかないので、JPOPがこれまでよりも飛躍する確率は高まる。つまり世界という舞台のバッターボックスに立つ機会が増える事で、成功の確度も高まるということだ。

 ミクロ要因としては、良くも悪くもガラパゴスだったこれまでのJPOPをアイデンティティーにした才能溢れる音楽人が、今のJPOPの主流になりつつあるからだ。
 この人達は、私のように邦楽に洋楽性を求める古い価値観とは違い、洋楽被れしていない。洋楽とは一線を画したオリジナルポップスがヒットチャートを占めたバブル下の昭和JPOPや、洋楽に憧れ羨んで作られたデフレ下の平成JPOP等を先入観無しで、素直に聴け良い部分を今の音楽に反映できる人達だ。つまり邦楽と洋楽の良い部分をミックス出来る音楽家が主流となる日本の音楽界隈は、近い将来激アツだ。

 何もそれは表舞台に立つ歌手だけではない。裏方にも注目している。藤井風と二人三脚で名曲を生み出し続けている「Yaffle」やYOASOBIの「Ayase」、そしてMPCプレイヤー兼トラックメイカーでもある「STUTS」等のプロデューサー陣が、世界各国のアーティスト達に楽曲を提供して、バズる音楽を生み出す事もきっとあるだろう。そういった積み重ねが近い将来結果となり、日本のポップスシーンを世界に引き上げてくれると信じている。

 つまるところ、JPOPは機を熟したんだ。

 そしてJPOPがWPOP(ワールドポップ)になった時、あの時の藤井風の「まつり」は、日本のウエストサイドを代表するアーティストのウェッ祭だった、と世界の人達が気づく前に、いち早く指摘しておきたかった。

 もしくは藤井風の音楽が世界に広がれば広がるほど、「似すぎ」と突っ込まれてしまう可能性もあるが、それこそ藤井風の音楽がワールドワイドになった証ということだろう。





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