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「契約の解除」と「契約を更新しない」の落とし穴

「契約を解除するため、契約の更新をしない。」

普通に耳にする言葉です。

しかしじつはこれ、法律的な概念としては少しおかしな表現になります。というのも、“契約を解除する”ことと“契約を更新しない”ことはまったく別モノの概念になるためです。

契約書でもその違いを理解した上で明確にしておく必要があります。

まず大前提の違いとして、

契約の解除 = 契約期間中ではあるが契約を途中で終了させる行為

契約を更新しない = 契約期間が満了した後の更新をしない行為

という違いがあります。契約期間中の出来事か契約期間満了後の出来事か、その違いが解除と更新の違いになるわけですね。

ちなみに、契約を更新しない場合は、“更新拒絶”という考え方により契約書で手当てすることになります。つまり、契約を更新しない取り決め=更新拒絶という考え方になります。

“拒絶”というなかなかパンチの利いた字面のため、契約書の文言であまり見ることはないと思いますが、更新拒絶とは、要するに契約を更新しない場合、何か月前に相手方に通知するかなどの“契約更新しない予告”という考え方です。

このあたりのワビサビは、更新をしやすくしたい側、したくない側の契約当事者間の思惑により契約書の書き方が変わるところです。

また、解除と更新拒絶の違いはそれ以外にも、

解除が一方当事者の意思表示のみによって成立するものに対し、更新拒絶は両当事者の合意のもと契約書等で手当てをするという大きな違いがあります。

そのような違いがあるのですが、解除も更新拒絶も結局のところ、契約書で当事者のルールを決める場合が多いため、あまり深く考えずに同じような概念として混同しているパターンが多いのではないかと思われます。

とはいえ、契約において注意しなければいけない点として、解除の場合、一方当事者の意思表示のみで解除ができるため、契約で意図的に設定する場合を除き、本来“合意解除”は存在しないという点に注意が必要になることです。

たとえば、こちらが“いいよ”といわなければ解除はされないものと勘違いしていると、契約書にある“無催告解除”という罠にハマってしまい、こちらの意思に関係なく、相手の都合で簡単に解除されてしまう恐ろしい結末を迎えることもあるのです(“中途解約条項”という飛び道具の存在も)。

一方の更新拒絶については、更新をしない旨の通知を、契約満了前のいつまでに(6ヶ月前?1週間前?)する必要があるのか、また、書面で通知するのかメールで通知するのか、はたまた口頭でもいいのかなど、それらを気にせずにいると知らない間に契約が終了になっていた、なんて怖い話もある点に注意が必要です。

ただ、どちらの問題も契約当事者の付き合いの長短や濃淡、または契約の類型によっては簡単に解除をしたり更新拒絶をすることが認められるのかという現実問題があるのですが、

新規の契約

これについては、解除と更新拒絶の概念を確実に押さえたうえで、契約書を手当てする必要があることはいわずもがなです🕶


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