ユーザーインサイトを捉えるための書籍6選
今回のお話
インサイトという言葉を聞いたことはありますか?
消費者心理なんていうこともありますが、個人的には以下が自分の中でしっくり定義できています。
インサイト=ユーザーの言語化できていないニーズ
インサイトと呼ばずともサービス・プロダクトの施策検討においては、新機能や既存機能の改善においては必ずユーザーが感じている課題感なり気分感を捉えようと定量的・定性的に取り組むかと思います。
今回は、そんなインサイトを様々な角度から学べる書籍についてみていきましょう。
マーケティング本ならまずはこれ
インサイトと言いながらマーケティングの本かよと思ったかもしれませんが、インサイトを捉えるためにはマクロやミクロと様々な視点・角度からユーザーを見ることが重要だと思っています。
その上でマクロ的にもミクロ的にも有用なのが、マーケティングの知識かと思います。そのためマーケティングに関する本を紹介していきます。
ドリルを売るには穴を売れ
新人マーケターがイタリアレストランを立て直していく小説形式ながらもマーケティングの基本的な考え方を学べる一冊です。
どうしてもマーケティングなりUI/UXなりデザインなり学ぶ上で意識してしまいがちなのは、普遍不朽の公理・公式が存在するということです。
そのため、ものすごく専門的な書籍から入って挫折することが多いと個人的にも感じているのですが、やはり新しいことや門外漢なものにはかなり入門的な本から始めた方がいいのではないかと思っています。
そういう意味では、小説形式で短時間で読めてしまい腹落ちしやすいこの本は非常におすすめです。
USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門
言わずと知れたUSJのV字回復を成し遂げた森岡さんの本です。
様々なマーケティング関連の書籍を出されていて、凝縮されているのは以下の書籍ですが、入りやすくそれでいて理論と実践を上手く融合して学べるのは本書かと思います。
たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング
会社にも導入し、自分でも買って読み返している一冊です。
定量・定性の両刀使いな書籍でかなりオススメな一冊となっています。
N1分析や9セグマップという著者が長年の経験から生み出した技はまさに業(アート)と呼べる領域です。
なんとなくマーケティングの門外漢からすると何百人・何千人とアンケートやインタビューをしてそこから導かれる統計的分析結果から施策や顧客獲得をしていくイメージがあったのですが、N1分析は反直感的ながらも理にかなっていて学びが大きいものでした。
一家に一冊レベルでおすすめな一冊です。
ユーザー心理を学ぶなら行動経済学
マーケティングの知識や視点も重要です。
インサイト=ユーザーの言語化できていないニーズとすれば、ユーザーの心理や行動のインセンティブを把握する必要があります。
そういったミクロなユーザーの動きを体系的に理論化しているのは経済学です。ゲーム理論やその派生であるマッチング理論など現実世界にも適用されている手法がかなり多く、インセンティブ設計において多分に学びが多いです。
ただユーザーの心理的な側面を捉えるには行動経済学の方がいささか向いているかもしれません。
実践行動経済学
ノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラー教授による行動経済学の書籍です。
理論的なことを様々な事例や平易な説明で書かれているため、かなり腹落ちしやすい一冊です。
以前、自分でもこのセイラー教授が提唱するナッジという手法とUXデザインを絡めた記事を書いているのでよかったら読んでみてください。
予想どおりに不合理
ダン・アリエリー教授の書籍です。NHKでも昔行動経済学に関する番組をやっていたりなど日本で行動経済学と聞いてぱっと思いつくのもこの一冊かもしれません。
人間の行動はいつも合理的なわけではなく、よく不合理な行動をします。それを予想することができれば上手くインセンティブを設計できるかもしれません。様々な実験の事例から施策に役立てるものがあるかもしれません。
ファスト&スロー
我々の思考のシステムは直感的に動作するシステム1と論理的に動作するシステム2の相互作用によって成り立っているとシンプルでいて気づきが多いのがこの一冊です。
確かに、普段の行動を振り返ってみても正しく論理的に計算して行動しているように思える時もあれば、直感的にほしいものを買ってしまう(パルス消費など言われますね)こともありますよね。
こちらも心理学と経済学の領域を跨いで学べる一冊です。
最後に
実際のサービス・プロダクトのユーザーの行動を定量的に、定性的に向き合って理解することも大切です。
ただそれだけでなく様々な書籍からインプットしておくこともまた重要です。
インプットが先かアウトプットが先かに関しては、どちらも先にある(=姿勢の問題ではあるがどちらに偏りすぎてはいけない)というのが持論であります。
書籍で学んだことを実地で使ってみる、上手くいかなければ改良して自作してみる。
上手くいけば上手く行った理由を考慮して書籍で学んだことが有用だったのかそうでないのかを切り分けると。
その思考のプロセスこそがユーザーインサイトを掘り当てていくプロセスなのかなとも個人的に感じます。
多分、これがユーザーインサイトであるという100%の純度のものなどなくてある程度「エイヤ(=思考の末の暗闇へのジャンプ)」があるものかなと思います。
まだまだ学ぶことがたくさんあって嬉しいなと思います。
それでは、また。
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