OOUIで本質に目を向ける
今回のお話
最近よく目にしたり耳にするワードに「OOUI」というものがあります。
Object-Oriented-User-Interface=オブジェクト指向UIというものです。
我々の生活の中におけるUIの多くは、タスクベースであり、「動詞」から始まることが多いです。(詳細は本論で記載します)
改めて知るとOOUIの方が自然な気はします。
今回は、身近なものからOOUIというのものについて考えていきましょう。
タスクベースvsOOUI
先週あたりにオブジェクト指向UIデザインという本が出版されました。先に引用した記事もこの書籍の筆者の記事です。
記事に書いてあるタスクベースとOOUIの違いについて、まずは言葉の意味から見ていきましょう。
タスクベースUI:動詞→名詞
OOUI :名詞→動詞
タスクベースUIとは、まず先にタスク(動詞)を選択し、その後に対象(名詞)を決めるUIということです。
記事の例にもあるように自動販売機がいい例です。自動販売機の購入の導線は以下の通りです。
お金を入れる→商品を選んでボタンを押す
まあ当たり前ですよね。ただよく考えると普段の購買活動では、商品を選んでからお金を払いますよね。そこの順序が「逆」になっているのがタスクベースUIと呼ぶことができます。
一方でOOUIは、まず対象(名詞)を定めてから、タスク(動詞)を選択するUIのことを指します。
自販機と同じく身近な例を挙げるとコンビニの購買活動もOOUIという風に捉えることは可能でしょう。
商品を選ぶ→レジでお金を払う
商品という名詞が先にあり、お金を払う=動詞が後にあります。これは一般的な動作ですよね。
自然な流れで考えるとOOUIの方が良さげに見えます。ただ絶対OOUIの方がいいというわけでもないようです。物事にはどちらか絶対ということはあまりありません。ケースバイケースの中で活きるケースも存在するのです。
記事にあるように銀行のATMの画面などは完全にタスクベースです。ただ利用ケースが限定的な場面でありある程度制限を掛けた方が合理的な場合は、タスクベースUIを用いる方が良いというケースもあります。
そう言った意味では、タスクベースUIは「選択の余地が限定的な定型処理向き」であり、OOUIは、「選択の余地がありコントロールをユーザーに委ねる処理向き」と言えるでしょう。
身近なタスクベース・OOUIなプロダクト
ここからはより具体的に両者が当てはまっているプロダクトについて例を通して見ていきましょう。
タスクベースなプロダクト
マックデリバリー
個人的にかなりお世話になっているアプリです。お腹が空いた際は腹一杯頼めるのでジャンキーな気分になりたい時にうってつけです。
左から順に画面が遷移していきます。
まずトップに見えるのが「今すぐ注文」=動詞です。
そしてデリバリーするための商品=名詞を選択し、購入画面へと遷移していきます。
まさにタスクベースなUIになっているでしょう。ただこの場合は「良い」と思います。なぜならデリバリーアプリを立ち上げる時点でデリバリーを行う気持ちがすでにユーザーにあるためです。
であるとするならば、先に今すぐ注文なのか否かを決めてあげる=どれくらいで届きそうか教える方がユーザー体験上良さそうです。
余談ですが、マクドナルドのアプリは、デリバリー、モバイルオーダー、マクドナルドと3種に分かれており、呼ぶ、取りに行く、メニューを見るとアプリのDL選択自体がタスクベースになっているのです。
OOUIなプロダクト
クラシル、メルカリ
左がクラシル、右がメルカリです。どちらも日本代表なプロダクトですが、OOUIになっているかと思います。どちらも献立を作るやレシピを見る、商品を購入する、出品するという「動詞」ではなくレシピ、商品=「名詞」が先にきていますね。
その後、レシピを見たり、献立を作ってみたり、商品を購入したり、出品したりとなります。
まさにOOUIになっていますね。
ユーザーにしてほしいことは決まっているもののユーザー自身にコントロールする権利はあり、その行動を首尾よく促すための検索機能やレコメンドがあったりしますね。
今よく使うプロダクトの大半がOOUIに意識的に無意識的になっているかと思います。どちらにせよケースバイケースで良し悪しはあるかと思います。
最後に
記事内の筆者の言葉を引用してみましょう。
アプリケーションのトップメニューから業務名という形骸を取り去り、ユーザーを仕事の本質に向き合えるようにすることが、オブジェクトベースUIモデリングの目的となります。業務システムのデザインはすなわち仕事のデザインなのです。このことを、アプリケーション設計に関わるすべてのステークホルダーが意識するべきだと考えます。
UIやUXと聞くとどうもかっこいい「見た目」の話になりがちですが、その実何が本質的かを設計することがデザインと呼ぶのだと個人的にも考えています。
ころころ移り変わるタスクよりも本質的なオブジェクトに目を向けてデザインしていくというある意味ひとつの「覚悟」があるのがOOUIなのかもしれません。
書籍も読み込んでみて自分でも手を動かして実践していきたいなと思います。
それでは、また。
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