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デザイン経営ハンドブックを読んでみて

今回のお話

経産省からこんなデザインに関するレポートが上がっているのをご覧になられましたでしょうか。

デザイナーはもちろん、ディレクターや営業、エンジニア などどの職種においてもWEBサービス・プロダクトに関わる人は目を通した方が良いでしょう。

もちろんデザイン経営だと思っている経営者もそのバズワードが意味することを事例を通して知ることができるかもしれません。

デザインとは「社会」を知ること

お洒落な雑誌ばりのデザインなデザイン経営ハンドブックとなっています。
2ページ目の若林恵さんのこのタイトルがまさにデザイン経営を表しているかと思います。

少し前に「100日後に死ぬワニ」関連で面白かった記事が以下ですが、マーケットを理解する=社会を理解するではないわけです。

その「社会」には様々な規範(=こうすべきであるということ)があり、それがレイヤーとして人々の頭の中にあります。
それは同じモノを見ていても異なるレイヤーの規範で見ているケースもあります。

デザインというのも単なる「意匠(=見た目をきれいにすること)」というレイヤーで見ずに「問題解決」と捉えると、デザインは「社会」を知ることになると確かに言えますね。

社会とは、常に変遷する規範と人々がいて、断面的に(あるいは断定的に)社会とはこうであると言い切れないのも事実です。

その中でデザインを通して「社会」を知るとは、変わりゆく人々と規範を捉えながらその中にある「問題・課題」をすくいとって有形・無形の価値のある解を提供していくことに他ならないように思えます。

装飾・意匠としてのデザインもアートであり、それだけでも価値はあるのですが、ビジネスと掛け合わす際には、ビジネスとしての成果と社会規範を上手く融けあわしていくことが重要であります。

そのため、UI/UXの設計やビジョン・ブランディング、制度設計などグランドデザイン的なことからボタンの色・形まで「デザイン」を行うのがデザイナーの仕事であり、デザイナーに関わる人たちが留意しておきたい事柄なのかなと。

その上で「デザイン経営」というのも企業を社会の中の一個体として捉えた際に、その一個体として社会とのインターフェースを設計してビジョンやブランディングなど価値を融かしていくことなのではないかとこのハンドブックを見て感じました。

企業に「デザイン」を「文化」として融け込ませる

利益を上げること、売上を拡大すること。
企業の存在目的として功利主義的な考えがあります。
もちろんそれも存続のために重要であり、儲けはいりませんというような仕事(それを仕事と呼ぶべきかはさておき)では誰もがその組織にいようとは思わないです。

その上で、デザインを「文化」として融け込ませるためにはどうすれば良いのでしょうか。

その一つの答えは、ハンドブック内の7番田村さんの記事の中にあると思っています。

デザインやブランディングをアウトソーシングして作らせるなどは、強引な生地の切り替え(=パッチワーク)のようなものだと書いてあります。

そして重要なのは「当事者意識」を持つこととも書いてあります。
サービスやプロダクトを自分ごと化して、そこに意味性を付与していくことが大切です。

意味性とは、サービス・プロダクトのユーザーがそれに対して「価値がある」と思うことですが、その意味性をユーザーに届けるにあたってはまずサービス・プロダクトを運営する企業組織に、どんな意味性を届けたいか(=すなわちユーザーに価値提供してくのか)を理解し、軸としてもっておくこと。

それ自体が「文化」になり得るのだという意味なのかなと理解しています。

もちろんテクニカルに一次情報を取りに行くリサーチが必要であることや人類学、社会学のバックボーンを持った人を採用するなど「文化」としてデザインを融け込ませるには、必要なことが様々あるかと思います。

ただ、それに至る道の間には、いろいろなステークホルダーに対してそれらが重要であると認識させることもまた重要なことがらのように感じます。

それはボトムアップでいくのか、競合たちの足並みを揃えるためにトップダウンになるのかはケースバイケースなのでしょうが、組織の一員として「当事者性」や「意味性」を意識した働きかけが必要なのだろうなと。

最後に

昨年、一昨年からデザイン経営、デザイン思考などデザイン○○には耳がタコになるほど聞いたり、書籍が発売されたりなど市井に溢れんばかりな状態だったと思います。

経産省からこのようなハンドブックが出されたのは驚きですが、そこまで浸透しているということなのかもしれません。

論理と直感、定量と定性とハイブリッドに使い分けて柔軟に「思考」していくことがデザイン思考なのかもしれませんね。

社会を知るために「マクロ」にも「ミクロ」にも情報に当たるように、デザインするにあたって社会の気分感や隣にいる人が思っていることまで様々に「声」を聞き分けて問題を見つけていくことをよりやっていかないとなと思った次第です。

それでは、また。

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