咳をしているから1人
こんな昨今だから、みんなウィルスに過敏になっていると私は思う。
私もどうしても気になるが性格上、重苦しい空気が苦手なので、除菌スプレーとかを顔や手にふきかけて「うぉー。溶ける。」とか完全なオジサンが言ってみたりするのだが、みんなだいたい反応が苦笑いだ。
私の事をバイ菌そのものだと思っているか、バイ菌ギャグが弄りたくない位につまらないかのどちらかだ。
うん、どっちでもツラい。
今日も今日とて、ギャグの精度に反省しながら、仕事が終わり、多くの人を乗せた電気で動く鉄の塊に乗車する。
鉄の塊、別名、電車という閉鎖された空間では、この昨今、咳をしている人の一挙一動が注目される事がある。
「私はバイ菌じゃないぞー!」とか、間違っても車両に乗って、今日の反省を声に出して他の人に聴こえるように発言してはいけない。
こんな状況では咳をしている人は、みんな避けたいのだ。あとヘンテコにバイ菌発言をする人は、私も避けたい。
23時の時刻を過ぎた電車は、都心から郊外に向かう。
こんな時間なのに電車は混みあっている。
マスクをしている人が乗り込んできた。
咳をゴホゴホと強く咳き込みながら。
咳をして乗り込んできた人の周りには気のせいかスペースができる。混みあっている車内なのに。
みんなアンテナを立てて、様子を伺う。
大丈夫だろうか。
顔が赤いのは酔ってしまっているのだろうか。
乗り込んでから、ずっとゴホゴホと咳こんでいるから私も申し訳ないけど耳をダンボのように大きくしながらアンテナを立てている。
ゴホゴホと苦しそうな人の電話が鳴った。
電車の中だけど、電話に出て話してしまう。
「はい、大丈夫です。ゴホ。ハーハー。病院には昼間いきました。ゴホゴホ。」
「はい、検査ちゃんと受けました。ゴホゴホゴホゴホ。はい、違います。大丈夫です。」
車両内の緊張感が気のせいか緩む。
「はい、インフルエンザでした。ゴホゴホ。大丈夫です。」
全然大丈夫じゃねぇ!!!
心の中で猛烈にツッコミながら、ちょうどホームに入った電車を私は降りた。
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