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ボーナスデーにおとっときの本を読む――『万感のおもい』


2月29日。
約4年に1度のうるう年。
過去3年間にはなかった1日。


もう2月が終わってしまう……2月少なすぎだよ……と愕然としていたが、昨年ならもう3月だったと思うと29日があることのありがたみをひしひしと感じる。

2月末の締め切りがあったのもあり、人生で1番うるう年が好きになっていると言っても過言ではない。毎年あってくれてもいいよ。なんなら他の月みたいに30日まであっていいんだよ(強欲)。


***


昨晩見た「うるう年はボーナスのようなものだから好きなことしようぜ」的なツイートがずっと頭に残っていた。


差し迫ったもの(締切)をはじめ、やろうとしていたものは10時頃にひと段落した。ここで1回ボーナスタイムを挟んでもバチは当たらないだろうと、おとっときの本を読むことにした。



万城目学さんのエッセイ『万感のおもい』。

こちら、先日のしおり云々のときに購入したものである。

エッセイ本としては非常に珍しい横型。そして絵本のような厚さと硬さの表紙。ジャケ買いならぬ装丁買いしてしまう人も多発しているんじゃなかろうか。


と言いつつ、実は一度諦めている。以前来たときに一目ぼれしたものの、単行本や絵本の価格帯は衝動買いできなかったのだ。


ちなみに万城目さんの作品は『プリンセス・トヨトミ』を遠い昔に読んだくらいで、エッセイを書いていることもお恥ずかしながら知らなかった。

しかしパラパラとめくってみたとき、ここ最近で1番相性が良い人な気がした。今買えないけど、いつか絶対読むぞと思ってその場を後にしたのである。

改めて、しおりキャンペーンには感謝申し上げたい。推しは出なかったけど(まだ言ってる)。



***

そして今日。

半日経ったか経たないかくらいの勢いで1冊まるまる読み切ってしまったが、やっぱりあのときの第一印象は間違いじゃなかった。


言葉選びやリズムなどが非常に心地よい。豊かな表現力をさりげなく見せながらも、親近感も抱ける飄々とした感じが嬉しかった。

ユーモアがありつつ、砕けすぎない感じ。考えや思いを押し付けるでもなく、逆にこちらに考える隙間を与えてくれる柔らかさがあった。



本書はタイトルと同じく「○○のおもい」という章タイトル5つで構成されているのだが、特に好きだったのは「ついでのおもい」。

1つ目の「作家のしあわせ」では彼の人となりの一片を感じ、これから読み進めていく上での準備をさせてくれる。

書き出しからグッと引き込まれる話も多く、「エレベーターと向田邦子」に関してはタイトルから興味津々。そして冒頭文でさらに前のめりになった。書き出しってやっぱり大事なんだなあ。


ひとりでエレベーターに乗っていると、三回に一回ほどの割合で、向田邦子について考えてしまう。

同書、20頁。


あとがきによると、エッセイは「ブログ調」を意識しており、実際にブログも長い期間運営されていたとのこと。作家としてのポテンシャルをブログ調と言う読みやすい形で提供できるの、率直に言って強すぎではなかろうか。


本作が「万」シリーズの4作目とのことなので、他3冊も追々読まねばなるまい。2冊目を読めるのはどんな日か、今から楽しみである。



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