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高校生だもの。#10

「 晴夜、舞台。」

夜は全部違った景色に見える。

都会じゃないのに大人チックになる駅前は、歩くと大人になった気がする。

居酒屋の前を照らす紅い提灯も、定食屋の温かい灯りも、煌々と光る街頭ですら、どこか昼間と違った雰囲気を醸し出す。

ゆっくりと歩いてみる。お気に入りの曲を聴きながら。曲と歩幅を合わせれば、私は今だけ女優になれる。

今日はジャズを聴きながら、当てもなく夜の街を歩く若者の役。

昨日はメロウな曲を聴きながら、家出してきた学生の役。

半分ほんとで半分うそ。

私の影を照らすスポットライト。これは街頭と店先の灯り。

主演もキャストも私だけ。監督もエキストラもいない。

ふわふわとした気分のまま、私は帰路につく。

#創作大賞2022

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