『微睡』
指先からする錆の香り
雨に濡れた自転車で水溜まりを超える
明日が今日になる
部屋の隅で重なるシャツ
湿気と汗が篭もる部屋に柔い煩悶と情痴
黒が青に変わる
I love you を陳腐と下手なミュージシャンは笑った
I love you と私は歌った
I love youを笑ったあのミュージシャンは今
I lose youと悲しげに歌っている
眠る横顔を見た。
眠る横顔を見た。
微睡の中で
枯れていく花なら育てなければいい
ズレていく時計ならはじめから合わせなきゃいい
ちぐはぐこそ条理 隣にいたいのである
ゆえ不調子なほどに愛しいのだ
失いたくだけはないのだ
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