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【読了】『世界が青くなったら』---800字感想

雑誌の書籍紹介で見かけて気になった、武田綾乃さんの『世界が青くなったら』を読みました。

朝起きたら世界から「彼」が消えていた” という、最近映画や小説・アニメなんかでよく見る What if(もしも)× パラレルワールドの物話。

帯には「青春恋愛ファンタジー」とあり、そんなファンシーな(!)小説は久しく読んでないな、と思って新鮮な心持ちで手に取りました。

設定はSFですが、ストーリーや描写は一貫して爽やか。
ファンタジーでありながら、ミステリー要素もあってワクワク感を持って読むことができましたが、個人的には展開や全ての人間の背景が少し上滑りというか薄っぺらく感じて、あまり誰に対しても感情移入することができませんでした。

設定は壮大で、「奇跡を起こす」話なのですが、危機的と思われる状況に遭遇しても、なんとなく「そんな大変なことにはならないだろう」みたいな感覚がずっとあって、最後まで読まないと眠れない!みたいな緊迫感がなかったのは少し残念でした。

主人公の女性の、恋人に対する熱い想いや、彼を失った悲しみみたいなものが、今ひとつ伝わって来なかった。
「愛してる」とか「大切」という言葉はよく目にしましたが。

彼女だけでなく、みんなもっと暑苦しくていいのよ…という気持ちになりました。笑

でも、その爽やかさこそが「青春恋愛ファンタジー」なのかな?

SFやファンタジーであれば、そのシーンをイメージしながら読むのも楽しみの一つですが、それもいまいち迫力があるものにはなりませんでした。これは自分の想像力の問題かもしれませんが…。

「まぁ、みんな色々あるよね。頑張って生きよう」みたいな感想に終始してしまって、枠をはみ出して脳や心に訴えかけてくる感じがもっと欲しかったな、と思いました。

基本的に登場人物に悪い人がいないので、読んだ後しんどくならないというのが、生きることに疲れた現代人にはお勧めポイントなのかもしれません。


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