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アムール虎ん
2022年6月15日 22:20
マリアは葛藤を抱えた従順で自立したひとだった。出会いがいつだったのかはわからない。忘れた。気づくと、よくDMで会話していて、マリアは私の体調を気遣ってくれることが多かった。時折ため息を吐くように、心の奥底のものをつぶやいた。「彼とどうなっていくのかな」マリアはM女という立場で、自称S男とつきあっていた。本気で好きになってはいけない恋、だった。周りはS男の不埒な交流関係を知っ
2021年10月14日 02:44
最後がいつの季節だったのか、はっきり覚えていない。ただ足元には、白い小さな花が絨毯のように散っていたのを覚えている。その人は「またね」と、言わなかった。私も「今度はいつ?」と、聞けなかった。何も言わずに車のドアは閉まって、私は置き去りになった。最後の会話を思い出してみる。「朝陽なのにまるで、夕陽みたいだね」そう言った彼の横顔。長いまつげがくるんと、綺麗に上向きに揃っていた
2021年10月9日 12:45
夜の海を知っている。打ち寄せる波。街灯もない国道沿い。真っ暗なのに波頭だけが白く見える。不思議な夜の海。私は軽自動車から降りて、防波堤に腰掛けた。足元にはテトラポットが見える。そこに、波が打ち寄せてはざざざ ざざざと、繰り返し音を立てていた。私は、男を待っていた。友達の彼氏。仲良しの友達の彼氏。これから抱かれるために。待ち合わせをして、抱かれて、キスして、わかれる。