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へっぽこぴーりーまん書紀〜2社目編⑦


(→前編から)

受け身

支店長から一喝され、ボクはそれまで以上に縮こまってしまう。自信の無さから声は小さくなり、社内の付き合いも最小限になった。一番の問題は、仕事姿勢が完全な対社内、社外ともに「受け身」「指示待ち」になってしまったことだ。何かを能動的にやった結果、コテンパンにバッシングされる。細部まで指摘される。発端は相手の意図を汲んで適切に行動できなかったことが悪いだけなのだが、それが続き僕のデフォルト評価は「ダメなやつ」「間違える」になる。
そんなレッテルが、川の近くで捨てられたビニールの情けなさでべったりと張り付いてきた。
ボクはミスの指摘や批判を恐れて指示があるまで動かぬ「受け身」姿勢となってしまう。

同僚からのレッテル貼り

そんなボクの姿を見て、同僚からの「レッテル貼り」も進み、定着してガッチリと根を張ってしまい抜けなくなる。特に他の人であれば問題がない、注意されないであろうことも、ボクだから注意を受けるという事例もおき始める。本社会議事件はその最たるものだったと思う。


本社会議事件

ボクの2社目は、本社が東京にある。年何度か全国の営業が集まる会議があり、出張となる。その日は13時半から会議があり、ボクは12時50分くらいに現地入りする予定だった。「何をやってるんだ、早く来い!」東京に着き歩いていると同僚の志摩(仮名)から連絡が入る。えらい剣幕だ。特に電車は遅れていないし、早く現地入りしろという指示は出ていない。着くと、志摩が本社のフロアデスクに座っていた。志摩は着いたボクに対して凄んだ。「何時だと思ってんだ、てめぇ」「なめてんじゃねえぞ!あ!」「目をかけてやったのにふざけんな!」東京の営業フロアに多くの人がいる中での叱責。ボクは戸惑い赤面しそうになったのと、怒りで一杯になった。

地に落ちたボクの信頼と視聴率


しかし、今の客観的なボクの立場を見ると反論すると更に不利になるのは明白だった。志摩は大阪に来る前、東京で長く勤務し活躍していた。
「そこそこ社内で支持があり、東京で働いたことのある志摩。それに対して言い返す今いわくつきの新人。」そんな構図をとる勇気は出なかった。
ボクは会議に遅れたわけでもなんでもない。志摩と何か会議前に約束をしていたわけでもない。事実、その後に大阪からの同僚淡路(仮名)が入室している。この叱責だけは意味不明である。
今にしてみると志摩が、先輩感を東京の元同僚の前で出したかっただけなのでは。とさえ思う。ただ、それだけボクが舐められるようになってしまった。という現実を突きつけられた気がした。
要は、ボクの発言や行動に説得力が無く、疑われる・怒られる立場であることが前提。ボクが発言することに対しての視聴率が、支持率が皆無になったという。「正しいことを言うときでさえ支持されない。」
ワイドショーでスキャンダルをもとに只管バッシングされ続ける政治家や芸能人のような。
そんな厳しい現実・袋小路に追い込まれたことを痛感した。

別室事件〜お荷物と言われ…

ボクのブラザー(指導社員)は先輩社員の淡路だった。淡路は、ドライな性格で仕事とプライベートを完全に割り切るちょうど10歳上の社員。一見ソフトに見えるのだが、我は強かった。
一匹狼的なところも散見され、自分のことについてはルーズなところも見受けられた。(まぁ30代社員ってそんなもんだろう。)
入社して半年〜1年経った頃だったろうか。(辛い思い出だったので、時期の記憶が曖昧だ)
ボクは淡路に別室に呼ばれた。
「入社してしばらく経ったが"へっぽこぴーりーまん”は全く何もできてない。」ということを詰問形式で迫ってくる。
ボクが回答できずに沈黙していると、「オマエは経歴嘘ついて入ったんか?エクセルとか、パワポとか全く問題なく触れるんとちゃうかったんか。全然できひんやんけ!嘘か。」と吐き捨てられる。
「嘘ではないです」とボクがこたえる。 すると淡路は
「いやできてへんやん!」とつらつらボクの失態をあげつらい詰問する。

更に沈黙していると、「オマエは支店のお荷物や!」と言う言葉が突き刺さった。
これは流石に堪えた。悔しかったというか、もはや痛かった。痛すぎてボクの感情が麻痺させたのか。
涙さえ出なかった。
言われた内容もそうなのだが、それ以上にここまで「コイツには気を遣わず何でも言っていい。」「利害関係を考慮する必要がない」という状況に堕ちていることが明確であり、情けなく悔しかった。

この2件のエピソードは支店長の一喝とあわせて、悪い記憶として根強くボクの心に残ることになる。

(→次回に続きます)

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