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へっぽこぴーりーまん書紀〜2社目編⑥

(→前編より)

「遅えんだよ!!今更!」
フロアに怒鳴り声が響きわたる…

転落

客先対応の不手際、事務処理のもたつき、ケアレスミスによる手戻り、納期遅延…
2社目に入ってとにかく良いところなしのボク。
しかし30代以上の大人の組織で、以前のブラック企業のように恫喝まではされない。
様々な失敗による視野の狭窄。気分の落ち込み。→パフォーマンスのさらなる低下(もともと実力値としては低かったのだが)→投げやりな業務になってしまう。

とうとうボクは社会人の基本である納期遵守さえ困難になっていた。
自覚なく報告もせず、納期を破る。
厳しく注意されないことをいいことに、
提出期日を複数回破ってしまったときだった。
自覚なく出社したボクを先輩社員の淡路が裏に呼び出す。
先輩「オマエ あの社内資料提出してないやろ?」
…事態の重大さを把握せずポカーンとしてるボク。いや正確には事態を直視することから逃げていたのだろう。
先輩「資料を提出したあと支店長に謝れ!今すぐに」
支店長はそんなに部下に厳しく注意することはないと評される人だった。(実際はかなり短気なのだが、あくまでビジネス面では大人の対応をしていた。)

しかしボクは、そんな注意をされてもなお自分のメンツばかりが気になる。

(同じフロアに人がいるなかで謝罪なんてできない。恥ずかしい。謝罪をするのは後にしよう。人のいないタイミングを見よう。)などと考えてしまう。
資料を提出。
そうこうしているうちに、謝罪のタイミングを逃して、午前中の業務が終わってしまう。

昼食後。僕と支店長以外に人のいないフロアなのを確認し、ボクは支店長に「〇〇の資料提出が遅くなり申し訳ございませんでした。」

支店長は昼食を終え、ボクに背中を見せワイシャツをズボンに入れ直しているところだった。
その手がピタリと止まる
「遅えんだよ!!!今更!」
フロア中に怒声が響きわたる。
凍りつくボク…眼の前の景色がまさに暗転した感覚になった。

しばし静寂に包まれるフロア
とてもこの時間が長く感じた。

「あー。転職しても結局一緒なのか。なんでいつもこうなるんやろう…」そんなヨレヨレの気持ちと、怖がる気持ちと、情けない気持ちと…色んな感情が渦巻いた。

背中越しに荒れた呼吸を整えるように
間をおいてボクに向き直り支店長は言った。

「納期は守るように」と。作り笑顔で。その作り笑顔で、更にボクは惨めな気持ちに陥った。

支店長との仕事

支店長は結構書類の書き方や資料などの指摘、仕事のルーチンにマイルールがあり細かい人だった。
別に先にルールを提示しているわけでなく、後出し・都度で指摘をされるので、苦手なタイプだったというのもある。

例えば、卓上に書類クリップ一本を残して帰宅して翌日「なぜ残して帰るんだ。気にならないのか。」と問われたこともある。
あるときは、卓上のノートパソコンを畳まずに帰宅した。
畳まないのはありえないと怒られた。

支店長は高い確率で、ミスを全体メールで指摘する人だった。これもボクにとっては苦痛だった。
ミスをするのに輪をかけて、更にミスに対して縮こまる要因になってしまう。
(発端のミスをするのは僕の責任であるのは紛れもないが。)

不安神経症(?)

もともとのボクのパフォーマンスが低かったことに加えて、細かい指摘を受けるうちボクは細かいことが気になり過ぎてスムーズに仕事ができなくなってしまう。
悪いのは、そのことにより「遅くても正確に業務ができる」のでなくミスをしてしまうということだ。

学生時代の漢字テスト。
書き慣れた文字なのに、目を凝らして見る。
そうするといつもと違う形に見えてきてしまう。
もともと正解を書いたのに迷いだし、書き直したりするうち間違えた経験がある人もいると思う。
例えるとそんな感覚である。
メールの返信、簡単な事務作業、仕事の会話。本来できるはずの初歩的な作業がそんな状態になる。

事務所の戸締まり

極めつけは、事務所の戸締まりである。
事務所の各箇所を施錠して、電気をすべて消して、戸締まり点検表に記帳。
鍵を所定のところに戻す。
こんな極めて簡単な作業を間違う。抜ける。
当然支店長は、全体の前でミスを指摘する。
怖くて何度も何度も見直す。
…それでも人より高い確率で、戸締まり漏れ、消灯漏れ、記帳漏れなどがある。
帰宅後、気になって眠れず深夜2時に自転車で2時間かけて事務所に行き確認をしたこともある。
一言で言うと「病んでいる」状態だった。

負け犬、かませ犬状態

犬をしつけるときに、飼い主が最初にムチをふるい言うことを聞かせる。
そんな感じで、ボクは支店長にシャウトされて以来、支店長に対して苦手意識を持ち怖がり避け続けるようになってしまう。
立ち向かっていく勇気はもはやない。情けない男である。
たちの悪いことに犬と違い、ボクは命令を忠実に履行できない。犬のほうがまだ賢い。
ボクは負け犬、それ以下の"かませ犬”状態であった。
信頼を完全に失い、「できない奴の」レッテルがべったり張り付いた。
同僚からのあたりも厳しくなりはじめて…
(→次回に続きます)

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