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東京のホテル宿泊記録(⑥hotel Siro)

9月の4連休の前半2日で池袋の"hotel Siro"というホテルへ泊まってきました。6月にオープンしたこのホテルは、マウントフジアーキテクツという建築家の設計で、建築界隈の情報を発信するアーキテクチャーフォト®(@architphoto)のツイートでこのホテルに一目惚れし、近いうちに泊まりたいと思っていました。

今回はいつものようにA面としてホテルのデザインにスポットを当てて、宿泊記録を書いていきます。

池袋は、南池袋公園、芸術劇場前広場、ハレザなど、この数年でオシャレなスポットがたくさん出来て、街の様相が変わってきていますが、駅の北側のエリアはシネマロサをはじめとしたレトロなビルや西一番街通りのような飲み屋街が色濃く残っています。

そんな繁華街のさらに外れ、スナックや風俗店等が建ち並ぶやや怪しげな街並みの中にhotel Siroは突然現れます。

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ランダムに配置された鉄骨階段が印象的なファサードで、看板が無くとも一目でここがお目当てのホテルであることがわかります。階段ではこのホテルのシンボルである白いフクロウが出迎えてくれます。

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サムネ写真は外階段を見上げた様子。やりたいことやりました感がワクワクするでしょう。実際にこの階段を降りましたが、高所恐怖症の人には怖くて使えないと思います(笑) 華奢な鉄骨階段の踏み面は頼りなく、都市に投げ出された感があり、非常にスリリングです。(都市への投げ出され感、というところは、次回B面のテーマになると思います)

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中に入るとこんな感じ。1階にフロントとカフェがあり、2階以上が客室というシンプルな構成です。ホテル名のとおり、全体として「白」を基調しており丸い柱や木ルーバー・カウンターなど優しくも洗練された雰囲気が漂っています。

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ちなみに内装に関しては、2~4階はCAPD.inc、5~7階はSo,u、1階共用部と8~10階はマウントフジ、とそれぞれ異なるデザイン事務所が手がけており、三者三様の色が出ており、HPを眺めているだけでも楽しいです。

私が泊まったのは、8階のスタンダードダブル(15㎡)のお部屋。しかしこの部屋、私がこれまで泊まったどんなホテルともまるで違う部屋で本当に面白かったので、今回はそこを中心に話していきます。

自動チェックイン機でチェックインを済ませ、早速部屋に向かいます。エレベーターで8階まで上がると一旦外に出ます。外廊下を歩いて部屋までいくので、ホテルというよりマンション感があります。ちょうど隣地が工事中で防音シートがそこまできているのはやや圧迫感。。。

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下の写真の右側の取っ手が見えるところが入口。三連引き戸になっており、完全に開け放すことができます。通常、ホテルというと内廊下で開き戸で、防音対策やプライバシーのことも考えると、完全に「閉じた空間」であることが求められますが、このホテルではその常識に反した「開いた空間」を目指していると言えます。

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引き戸とはいえ、しっかりオートロックのカードキー電気錠がついていますので、カードをかざしてまず重たい引き戸を開けます。次に障子を開けると、客室とご対面です。15㎡とコンパクトな部屋ですが、通常の部屋と違い部屋内に廊下がないこと、また引き戸で開け放すことができることから、狭さを感じさせません。右手に見えるドアの奥が水回りとなっています。

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手前はコンクリートの土間になっており、フローリングとの間に薄手の白いカーテンが設けられています。土間にはデスクが設けられています。奥行は450mmとやや狭いですが、小さなPCくらいなら収まりそうです。ちなみにハンガーにかかっているのは無印のノーカラーシャツですが、この部屋にマッチすると思って、敢えてシャツをかけて撮ってみています(笑)

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障子を開けるといきなり外廊下全開なので、なかなかに不思議な光景です。

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さらに、引き戸まで開けると完全に外部空間と一体になります(笑)

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水回りは大きな開口(磨ガラス)が設けられているので、非常に明るい空間です。それぞれ写真で確認するとこんな感じです。白タイルの壁とグレーの磁器タイル床、フチのない鏡や真っ白のタオル、黒いドライヤーなど統一感が有り、気持ちが良い空間です。

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このホテルの図面はこんな感じです。こうして図面にすると改めて思いますが、非常に部屋がコンパクトにまとまっています。「土間空間」「寝室空間」「水回り」が一列に配されているというシンプルな空間構成ながら、「引き戸」「障子」「カーテン」「開き戸」という様々な建築要素で空間をうまく仕切り、多様な利用ができるように工夫されており、ホテル客室デザインの新しい可能性を感じます。

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ちなみに、開け放して写真を撮るのが楽しくなって、独りで楽しい時間を過ごしましたが、やはりこのホテル、建築とかデザイン系の人に話題になっていたこともあり、泊まっているも建築関係の人が多そうでした。

実際に夜な夜な引き戸を全開にして廊下から写真を撮っていると2つ隣の部屋から出てきた設計事務所勤めというお兄さんと出くわして、少し話したり、まんまとこのホテルの思惑にハマっている感じもあります。

次回のB面について、通常はホテルの運営やブランドなどソフトの話をしていますが、今回はあまり写真で紹介できなかったディテールにもスポットを当てつつ、都市とホテルの関係性などについて語っていきたいと思います。

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ホテルの宿泊記録を書いています。過去ログはこちらから。


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