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第二話:歴史が交差する点(小春日和の京都街歩き)

前回記事はこちらから。

前回は前書きで終わったところだった。街歩きコースをおさらいしておく。

図9

スタートは河原町御池の交差点だ。(結局いろんな調べものをしているうちに書きたいことが増えて、今回はスタート地点から1歩も歩かない笑)

北西の角にあるのはサムネにもなっている京都市役所。京都大学建築学科の創始者である武田五一が設計監修(実際の設計は武田に師事した京都市営繕課の中野進一)し、1931年に竣工した京都の近代建築の名作であるが、耐震性不足や老朽化、市役所機能が大きくなり事務室が手狭になってきたことから、大改修が始まったのが2015年頃。

その長い改修期間のクライマックスまできている。既に北側街区の新庁舎が完成しており、旧庁舎の耐震改修工事も終盤に差し掛かってきている。

なので、ここ数年はずっと市庁舎前には仮囲いが設置されていて中をうかがい知ることはできないのだが、京都人的には市庁舎前の広場での月1のフリーマーケットがおなじみだ。我が家も小学校の時にフリマに出店したことがあるが、自分の家は商売をやっていたわけではないので、リアルでモノが売れるのはワクワクした記憶がある。大人になってからも、何か買うわけではないけど、たまに覗きに行っていた。

そして、この京都市役所の東側の角には京都ホテルオークラがそびえたつ。

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京都の景観論争の話題を調べると真っ先に出てくるのが、この建物だ。高さ60mは周囲と比べてもひときわ高い。私が物心ついた時にはもうそこにあったので、なんということはないのだが、建築やホテルのことをいろいろ学んでいくと、景観を壊しているというよりも、この整然と並ぶグリッド上のファサードには風格さえ感じる。

ちなみにトリビア的な小話だが、足元に桂小五郎の像が建っている。なんでもこの場所は、幕末まで長州藩の屋敷であったそうだ。適当に歩いていてもこういう石碑や像を見つかり、その度に京都の街の歴史の深さを感じる。(写真はGoogleストリートビューより)

図8

そして、京都市役所のはす向かい、南東の角にはこんな建物(①)が建っている。(外観写真は撮り忘れたので公式HPから拝借しました、、、)

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元は京都信用金庫の河原町支店が建っていたのだが、こちらも2015年頃から解体・建て替えが進み、2020年にQusetionというガラス張りの建物がオープンした。

なんでも、京都信用金庫が様々な企業と協働で運営するインキュベーション施設となっているらしい。コワーキングスペースやセミナースペースといったハードのサポートから、ビジネスマッチングや開業支援といったソフトのサポートまでを一気通貫して行うことをコンセプトとした施設となっており、単なる金融業の枠を超えた地域・ビジネス創成支援という、地域金融機関の新たな役割について考えさせられる非常に画期的な場所だ。

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こういった施設が京都に誕生したことを知って一度訪れたかったのだが、日曜日だったので見られたのはエントランスを兼ねたカフェ・バーのスペースのみ。ただ、この建物のありかたは、以前もふれた、「京都でビジネスを行うことの意義」に改めて考えさせられる。

東京資本や外資の大企業がドカドカと入ってくるのはある程度は仕方ないのだが、こういった地場の企業がスタートアップを支援していることを知ると、やはり京都は観光産業でガンガン稼ぐという一方で、ニッチなものづくりやIT産業などでしたたかに生きる、という方向性もあって、両輪でやっていくのが良いと思う。

ちなみにここでは詳しく触れないが、南西角の街区には本能寺がある。1か所の交差点で、戦国時代から明治維新を駆け抜け、令和のビジネスまでタイムトリップできる街はそうそうないだろう。そういうことを考えていると京都に生まれ育ったことが誇らしく思えてくる。

歴史の交差点をスタート地点にして、ようやく街歩きをスタートすることにする。

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