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東京のホテル宿泊記録(③ホテル1899)

今回紹介する「ホテル1899」は2018年に新橋にオープンした「お茶」をテーマとした宿泊特化型ホテルです。ホテルを運営する龍名館が創業した1899年にちなんだ名前となっています。

龍名館は長らくお茶の水と八重洲の2店舗で旅館⇒ホテルを運営してきた老舗で、「ホテル1899」はそんな老舗が約100年ぶりに新しい用地を仕入れ、新しいブランドとして作ったというチャレンジングなホテルです。

もとは駐車場だったという土地に建てられたホテルは、1階がカフェ・レストラン、2階がフロント・ロビーとバックヤード、3階以上が客室というシンプルな構成。日比谷通り沿いは飲食店が多く並び、昼夜多くのサラリーマンで賑わいますが、宿泊したのは4連休の土日。コロナの影響もあり、人は疎らでした。

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このホテルは前回、前々回のようなリノベホテルではなく、外観について特別触れることはないのですが、交差点の角立地を活かして、角部屋は綺麗な割のカーテンウォールとなっているというところが印象的でしょうか。

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ホテルのロゴは「一八九九」という漢字をうまく組み合わせて「茶」の文字を表しています。一方の英数字のフォントはシンプルで文字サイズも可愛らしい感じ。館内サインやアメニティ等、いろんなところでこのマークが使われており、印象に残ります。なお、インテリア及びサインデザインはゲンスラー社という有名なデザイン事務所です。

1階レストラン脇の裏口のような扉からホテルに入り、エレベーターで2階のフロントロビーへ。

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フロントの右手がチェックインカウンター、左手は宿泊客がお茶を飲むことのできるラウンジとお茶関連の様々な商品が並んだショップコーナーとなっています。私は近所で夜ご飯を食べたあと、こじんまりしたラウンジで煎茶と抹茶をいただきました。

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チェックインをすませ客室へ。

今回はここからがメインです。というのも、上記紹介のとおり、2階のフロントスペースは非常にこじんまりしていますし、1階のカフェ・レストランは現在コロナの影響もあり、平日昼間のみの営業となっているため、自ずとホテルの客室で過ごす時間が長くなるからです。

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泊まったのは「スーペリアダブルB -ENGAWA-」(20㎡)です。(ノート上でそこまで見にくくないのですが画像にすると見づらいですね、、、黒い線で描くより赤とか青の方が見やすいな)

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手前が土間空間(300×600のタイル貼)で、その奥が小上がり(H400mm)になっており、抹茶色のタイルカーペットの上にマットレスが直置きになっています。壁はビニルクロス、天井もクロスが貼ってあったと思いますが、いずれも特段グレードが高いという感じでもなく、それでいて上品で嫌味がありません。照明はダウンライトと間接照明が併用されており、一般的なホテル客室よりやや明るく清潔感がありました

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小上がりの手前の水回りがこんな感じ。この水回りの空間がとても面白かったです。

黒いシンクとユニットバスに面した丸窓(不透明フィルム貼)が印象的です。茶室からインスピレーションを受けているのだと思われます。そして、t注目したいのがこのシンクの上の戸棚です。右側には、グラス×2、マグカップ×2、湯呑×2、急須が整然とディスプレイされており、備付けのケトルを使えば自由にお茶やコーヒーを飲むことができます。(お茶パックは4種類、別の味のものが置いてありました)左側の磨ガラスの引き戸を開けると、鏡と照明がオシャレに収まっています。

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水回りと直交する幅500mm程度の小ぶりのテーブルはちょうど小上がりに接する形で配置されています。写真に写っている椅子に座ると、ベッドの方を向くので「何か違和感があるなぁ」と思っていたのですが、小上がり側に回り込んだ時に気づきました。このテーブル、椅子は1つなのですが、対面で使えるようにデザインされているのです。小上がりの方に腰掛けると、ちょうどマットレスが腰にあたるので、非常に座り心地がよく、うまくデザインされています。(下図の上側参照)

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この水回りとテーブルの周りだけでだいたいのことが済んでしまうのですが、展開図を見ていただいてもわかるとおり、非常に多くの要素が凝縮されていて「うまい」の一言に尽きます。小上がり部分の高さも、ENGAWAの名前に相応しく、部屋で寛ぐという行為に着目して繊細にデザインされている印象を受けます。余談ですがアメニティの種類も充実しておりワクワク感もありました。

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また、細かなところですが、最近のホテルはタブレットで照明・空調のコントロールやフロント呼び出し、チェックアウトができるようになっているところが結構あります。例に漏れず、このホテルも部屋でチェックアウトをして、フロントに寄らずにホテルから出ることができます。

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1点だけ、残念だな、というのがユニットバス部分です。トイレと風呂が一体なのですが、洗面がついていません。トイレで用を済ませたあと、わざわざ客室側の水回りで手を洗うというのは、やや不衛生なような気がします。(シャワー自体はすごく使いやすかったです)

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このホテルで過ごした感想としてはシンプルに「居心地が良い」ということに尽きます。高級感があってホテルで寛ぐぞー!という感じではなく、肩肘を張らず自然に居心地が良い感じです。私はホテルに泊まった時、どちらかというとラウンジやカフェ等の共用部をあちこち見て回って、時間を使うことが多いのですが、今回はこんな感じでほとんど客室内で過ごしていました。

「お茶」という明確なテーマを中心に綿密にホテルのデザインがなされているからこその居心地の良さでしょう。次回のエッセイパートで、そのあたりを掘り下げていければ、と思っています。

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ホテルの宿泊記録を書いています。過去ログはこちらから。




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