それでもビジネス書を読もう〜会社員のための読書入門〜
不思議なもので、ビジネス書はビジネスの本ではない。
看板に偽りあり、である。
ビジネスについて書かれていない、ビジネス書というジャンルの話をしよう。
ビジネス書は多くの場合、サラリーマン向けの自己啓発書だったり、会社員としてうまく立ち回るためのハウツー本だったりする。
それらの本に、「ビジネス書」なる、さも賢そうな呼び名が付けられていることに、ビジネス書の本質が隠されている。
(ちなみに、本当にビジネスの知識が欲しくて本を読む場合には、「経営」または「経営学」というジャンルの本を読むとよい)
以前の私のような、凡庸な会社員は、何を思ってビジネス書を買うのだろうか。
最も大きな動機は、「現状を打破したい」である。
今の人生、今の仕事、今の収入、今の社会的評価に、納得がいっていない人に対して、ビジネス書は優しい。
私の人生も、明日から変わるかもしれない。
そう思わせる効果がある。
ビジネス書は、「誰にでもできる」と言う。
ビジネス書は、「すぐにできる」と言う。
ビジネス書は、読みやすい文体で書かれている。
ビジネス書は、興味深いタイトルが付けられている。
ビジネス書は、自分がすごくなったと思わせてくれる。
ビジネス書は、ビジネス書は、ビジネス書は……とにかく最高なのである。
そんなビジネス書に、悪い点はないのだろうか。
実は、ビジネス書には、致命的な欠陥がある。
ビジネス書の弱点
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