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20010828 数の存在

 「数(すう)が存在する」という言い方は適切なのだろうか。これを吟味するには「存在」とは何かを定義しなければならないが、何かとてつもなく難しそうなので、適当に考える。存在するとは見たり触ったりすることが出来ることで、頭の中で「考えたり」「思ったり」していることは「存在」するとは言わないとしよう。これでヒト以外の動物にも「存在」が定義できるような気がするが、「存在」という言葉自体がこの「存在」という言葉の定義に当てはまらなくなっているので、結局は「ヒト」にしか判らない。

 漠然とあるかないかを考えると、やはり「数」は抽象的な概念であって存在するとは言えないような気がする。虚数$${^{*1}}$$を 学校で習った時、「自乗して負になる数なんてあるのか」と驚いた記憶があるが、数そのものが単なる概念であるので、上の考え方に従えば実数だろうが自然数だろうが「あるのか」と言われれば「ない」としか言い様がない。

 こう考えていくと当然、数は人知れずひっそりとどこかに隠れて「ある」のではなく、人間がそれを数として認識して初めて現れるので、人間がどんどん数を作り出していくものであると考えるべきであろう。現れると言っても人間の脳の中での世界である。

 例えばキーボードを打って「19620201647731」という数をここに書いたとする。この数字列を「数」と認識すれば、ここで初めて数として出現したことになるだろう。web上で検索しても出てこないので、少なくともweb上では初めて出現した数である。

 この数はどんな数かと言えば素数$${^{*2}}$$である。素数かどうかを試すページ$${^{*3}}$$で入力してみると「素数」と出た。つまり素数としての「数」を今作ったと考えてもいいのではないだろうか。この数が素数であるとは今まで誰も知らなかった訳である。もっと言えばこの「19620201647731」と言う自然数の存在すら人類は知り得なかったかも知れない。

 世の中には奇特な人がいて、こんな素晴らしい素数$${^{*4}}$$を「作って」くれた。

*1 20010501 複素数(2)
*2 Prime Curios!: Home Page
*3 Prime Curios!: A Primality Test
*4 Prime Curios!: 88888...88887 (2691-digits)

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