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20030712 テッチ

 「水木しげる妖怪画集$${^{*1}}$$」という本に「テッチ」という妖怪が掲載されている。

 その妖怪は八丈島$${^{*2}}$$に棲んでいて、その姿は老婆である。体中にできものかかさぶたが出来ているらしい。最も大きな特徴は長く垂れ下がった乳房である。その乳房はたすき掛けにしているらしい。「テンジ」とも呼ばれる。

 この絵を初めて見たのは小学生の頃であった。近所に二つ学年が上の子供がいて、その子のあだ名が「テッチ」だったので、妖怪「テッチ」の絵を喜んで見ていた記憶がある。

 かなり長い間このテッチという妖怪を忘れていたが、何かのきっかけで思い出した。

 web上には全国の妖怪の資料が網羅されている「怪異・妖怪伝承データベース$${^{*3}}$$」というものがある。これで「テッチ」「テンジ」を検索したが、抽出されなかった。いろいろ語句を考えて検索したところ「乳」という語句で「テッチ」らしい記述を見つけた。

 「乳っこかつぎ$${^{*4}}$$」という妖怪である。三宅島$${^{*5}}$$の妖怪だから八丈島に近い。山からきれいな女が乳を両肩に掛けて出てくるらしい。この妖怪を見てきれいだなと思ったらもう化かされているという。「テッチ」にそっくりである。ただし、「水木しげる妖怪画集」に出てくる「テッチ」の顔は老婆そのものである。

 東京の多摩地区にも「テッチ」に似た妖怪$${^{*6}}$$がいた。乳を伸ばしてたすき掛けにしている老婆である。

 老婆の垂れ下がった乳房がどんどん長くなると妖怪になるという発想が楽しい。爺の場合はどこが伸びると妖怪になるのだろう。

*1 20030131 水木自慢
*2 八丈町のホームページ
*3 怪異・妖怪伝承データベース
*4 乳っこかつぎ
*5 三宅島を離れた村民のみなさまへ
*6 山姥

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