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20001209 幽霊

 幽霊とは何か、と聞かれると何と答えるべきか困ってしまう。幽霊会社$${^{*1}}$$とか幽霊人口$${^{*2}}$$という場合は、亡霊が経営する会社でもお化けの人数と言った意味ではない。この場合は実際には存在していないのだけれども手続き上存在するように見せかけているだけ、といった意味である。そう言った意味の「幽霊」ではなく、怪談などに登場する幽霊$${^{*3}}$$のことである。

 今まで目の前で話していたり色々なことで係わっていた人が、突然死んでしまって全く動かなくなったら、今まで喋っていたり考えていたりした「精神」どこに行ってしまったのかと思いたくなるのが人情だろう。今まで動いていた肉体はそこにあるのにそれを動かしていた精神だけがどこかに消えてなくなってしまうと言うのは何か気が済まない。

 これが幽霊や霊魂の発想の根本ではないかと思う。ただし、そこには生とと死との明確な境界がなければならない。幽体離脱$${^{*4}}$$とか生き霊$${^{*5}}$$というのがあるが、これは死者の霊から派生した考え方ではないかと思う。

 霊の発想は、普通に人間以外の動物にも適用されてきた。$${^{*6}}$$や$${^{*7}}$$等の霊の話しはよくある。 それでは人間以外の動物ではどこまで幽霊が出来るのだろうか。どこまでと言うのは生物はヒトを頂点として、それ以外は人間よりも下等であるという考え方なので不遜の極みではあるが、この際は話しの行きがかり上、仕方がない。

 哺乳類の幽霊はそれ程違和感がない。しかし鳥類、爬虫類となってくるとそれらの幽霊というのはちょっと怪しくなってくる。両生類、魚類、頭甲類$${^{*8}}$$、そして脊椎動物以外の動物の幽霊という発想は全くなくなってくる。

 数十年前、人間が死ぬ瞬間に少し体重が減る$${^{*9}}$$ということが判ったという研究が報告されたことがあった。この体重の減少分が人間の魂であるというようなことが言われていた。この現象は人間特有なのだろうか。人間以外の動物に関して同じ様な実験をしたかどうか分からないが、例え実験をしていなくてもその現象の原因が判らないのに人間だけに起こると決めつけるのは早計だろう。

 そうなるとどこまでの動物にこの死ぬと体重が減るという現象が見られるのか。うまく説明が出来るような気がしない。アメーバやウィルスにも幽霊があるのか。人間が息を引き取ると体重が減ったのは、実は水分の体からの蒸発や腹部の内容物が放出された為ではないだろうか。

 ところでシュレディンガーの猫$${^{*10}}$$はいつ幽霊になるのだろう。

*1 大蔵・法務省、金融持ち株会社設立に「株式交換」「幽霊会社」方式が浮上
*2 住民基本台帳人口と国勢調査人口
*3 怪談・心霊現象を解明する
*4 幽体離脱とは?
*5 百鬼夜行 3巻拾遺3巻. [1] - 国立国会図書館デジタルコレクション
*6 荼枳尼天だきにてん
*7 猫目小僧(妖怪伝 猫目小僧)
*8 ヤツメウナギの分類 Class Cephalaspidomorphi (Monorhina) 頭甲類
*9 Physical Evidence of the Soul
*10  シュレディンガーの猫

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