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20040806 拳銃の消音器

 映画に出てくる拳銃などの消音器$${^{*1}}$$はどんな仕組みなのだろう。消音器を付けて音が消えるのならば、武器として音が出ていいことなど殆どないので最初から付けておいてもいいような気がする。

 消音器の原理は自動車のマフラー$${^{*2}}$$とよく似ているらしい。拳銃から大きな音が出る原因は二つ$${^{*3}}$$ある。一つは薬莢$${^{*4}}$$に入っていた火薬の燃焼によるガスが急激に膨張することによって発する爆発音、あと一つは弾丸が音速を超えた時に発生$${^{*5}}$$する衝撃波$${^{*6}}$$による音らしい。

 これら音の原因を抑えれば銃の音が小さくなる。燃焼ガスが急激に膨張すると大きな音がするというのを風船で例えて説明したページ$${^{*7}}$$があった。風船を破裂させれば大きな音が出るが、吹き込み口から空気を抜けば音は殆どでない。拳銃の消音器でも同じ原理である。膨張した燃焼ガスを銃口からゆっくり排出させる。更に燃焼ガスの温度を下げることによって膨張する度合いを小さくする。

 あの消音器の筒の中はどんな構造になっているのだろうか。消音器の特許はアメリカで沢山出願されている$${^{*8}}$$。特許の説明図を見てみると基本的には節の間隔が狭い竹のような構造$${^{*9}}$$になっていて、真ん中には弾丸が通る道が作ってある。節によって放出ガスが冷やされながら徐々に膨張するので大きな音が出ない。自動車のマフラーによく似た構造$${^{*10}}$$だ。

 なぜ最初からこの消音器が付いていないのか。膨張の速度を抑えられた燃焼ガスが消音器の中で弾丸の行く手を妨害して威力や飛距離を減じてしまうのだろうか。映画を見ていると至近距離の相手を静かに殺傷する場合に使っている。

 枕に銃口を押しつけて発射の音を消す場面が映画に出てくる。枕で銃口から出てくる燃焼ガスが膨張する速さを抑えるためだろう。自動車のマフラーにもガラスを綿状にした吸音材を用いたもの$${^{*11}}$$があるので、何となく効果がありそうだ。

*1 SMITH & WESSON AUTOMATIC PISTOL SERIES Mk22 Mod 0
*2 フジツボ
*3 Dirty business | New Scientist Lastword
*4 20010403 貨幣の品位(2)
*5 How does a silencer on a gun work? in The AnswerBank: How it Works
*6 20031118 鞭と手拭いとの音
*7 Howstuffworks "How does a gun silencer work?"
*8 Firearm Silencers and Suppressors
*9 us001017003.gif
*10 Howstuffworks "How Mufflers Work" Inside a Muffler
*11 Howstuffworks "How Mufflers Work" Backpressure and Other Types of Mufflers

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