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20010403 貨幣の品位(2)

 現在、日本で発行されている貨幣は6種類ある。その中で10円玉と5円玉の品位、つまり合金の割合には幅がある。この謎については先日記事にした$${^{*1}}$$。

貨幣の品位は法律で決められている。作る度に品位が変化してしまうようでは国の信用が疑われてしまうだろう。ところが10円玉と5円玉は、それぞれの品位が10円玉は銅95%亜鉛4~3%すず1~2%、5円玉は銅60~70%、亜鉛40~30%になっている$${^{*2}}$$。他の貨幣はちゃんと割合が一定になっているのに。

 わざわざ幅を持たせる理由は何だろう。うまくピッタリ配合できないからだろうか。そんな筈はない。他の硬貨はちゃんと合わせているのだ。材料の高騰や不足で硬貨が変更される$${^{*3}}$$ということはかつてあったらしいが、元々10円や5円に配合されている金属が高騰になったり不足になったりしているとは考えにくい。それに少々品位を変更する程度で配合する金属材料の高騰や不足を吸収できないだろう。

 どうしても判らないので造幣局$${^{*4}}$$に尋ねてみた。現行の5円玉と10円玉は終戦から間もない昭和20年代に製造が開始された。貨幣の材料として戦時中に使用された弾丸の後ろに付いている薬莢$${^{*5}}$$を溶融させて利用したらしい。この薬莢は銅と亜鉛の合金で出来ているのだが、大砲の場合、銃の場合、また海軍や陸軍によって合金の配合の比率が異なっていたため、貨幣の方で品位に幅を持たせて戦争の残骸を有効に使ったようだ。

 終戦直後の事情によるのであれば、いつ頃からかは判らないが、薬莢が底をついた時からは品位は一定で製造されているはずである。

*1 20010129 貨幣の品位
*2 現在製造している貨幣
*3 古銭Q&A
*4 造幣局
*5 Winchester Ammunition - What America Shoots!

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